昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
全米の
Migration Patter(マイグレーション・パターン:人々の移動傾向)
についてお伝えしています。
不動産投資は事業そのものであり、事業という目線でその目的を言葉に落とし込むと
「住を必要とする世帯に居住空間を提供する」
ことになります。
衣食住は生きていく上で必須の要素であり、住はいつの時代にも必須になるものです。
さりとて、住は必要とはいえども世界中どこの地域でも同一に住居物件が必要とされるわけではなく、
⇒ 居住物件が必要な地域
⇒ 居住物件は必要ない(住環境に適していない)地域
はハッキリ分かれています。
そしてより厳密に言えば、居住物件が必要な地域でも
⇒ 住に対する需要が増え続ける地域
⇒ 住に対する需要は減り続ける地域
があるものです。
需要の増減は同じ地域でも時期によって違いが起こり得ますが、概ね都市計画に成功している地域では着実に人口が増え続けていきます。
そこで不動産投資を事業の観点でいえば
「住の需要に応えること」
が至上命令であり、それを事業として安定させようと思えば
「人口が増え続け、需要が安定する地域市場に投資する」
ことが重要です。
それが理由で、事業に投資する前に
「どの地域の人口が増え続けているのか」
「人はどこからどこに動いているのか」
をよく分析することが大切になるのです。
そしてパンデミック以降に全米の
Migration Patter(マイグレーション・パターン:人々の移動傾向)
は更に大きく変化し、昨日もご紹介した引越し業者大手のノースアメリカ バンラインの統計では
人口増加が最も著しかった州
サウスカロライナ州 | 66% |
アイダホ州 | 65% |
テネシー州 | 65% |
ノースカロライナ州 | 62% |
フロリダ州 | 59% |
人口減少が最も著しかった州
イリノイ州 | 69% |
カリフォルニア州 | 66% |
ニュージャージー州 | 64% |
ミシガン州 | 61% |
ニューヨーク州 | 61% |
とのことで、どの地域に人が流れ続けているのかが一目瞭然に分かります。
Migration Patter(マイグレーション・パターン)について、本日も続けます。
人々が流れていく理由
人々が引っ越しをする理由は様々ですが、少なくとも米国では昨今の引越し理由ナンバーワンは
「Cost of Living(生活費)」
です。
その生活費の中で大半を占めるのは間違いなく「居住費」であり、アメリカ人の毎月の支出の大半が
- 家賃
- モーゲージ
等の支払いに充てられています。
事実、ノースアメリカ バンラインの統計によると引越しの動機は
1.生活費を下げたい
2.家族の近くに暮らしたい
3.どこでも仕事が出来る(リモートワーク)
4.新しい仕事に就く為
5.子供を良い学校に行かせたい
6.パンデミックの影響を受けにくい地域で暮らしたい
の順番になっており、高い生活費に対する懸念がトップです。
そこで主だって生活費の懸念から
「他州に暮らしたい」
とする人々は全米の中でもどこに流れているのでしょうか。
先の統計のとおり、2021年の順位としては
- サウスカロライナ州
- アイダホ州
- テネシー州
- ノースカロライナ州
- フロリダ州
の順番でした。
特に興味深いのは、
アリゾナ州
テネシー州
ノースカロライナ州
サウスカロライナ州
これらの州は過去5年間に渡り常に全米で引越し先のトップ5に入っています。
すなわちこれらの州はパンデミック以前から人口増加がトップレベルにあり、
「住に対する需要」
という意味では非常に安定していることになります。
そこで引越しの動機は「生活費(特に家賃)を下げたい」であることは間違いありませんが、これらの地域に引っ越す人々が引越し先に期待するのは主に下記の3点です。
より広い居住空間
こちらは「Neighbor.com」の調査結果となりますが、2021年に引越しを実行した人々の約半分は引越し先に
「広い居住空間を期待していた」
とのこと。
ここはその地域の物件中間価格が影響してきますが、
アリゾナ州
テネシー州
の物件の中央価格は全米物件中央価格よりもまだ低い位置にあります。
その一方で
カリフォルニア州
ニューヨーク州
ニュージャージー州
の中央価格は軽く$800,000を超えており、本項の時点での為替では
「中央価格が1億円近い」
ということになります。
それを考えるとアリゾナ州やテネシー州では遥かに安い価格帯で広い居住空間が期待できるわけですから、人々の多くがこれらの州に流れていくわけです。
リモートワーク環境
そして先の居住空間とリンクする話ですが、人々が引っ越しする先に求めるのがリモートワーク環境です。
実際のところ今の時代はパソコンがあればどこでもインターネットにつながる時代ですから、リモートワーク環境の条件が
「インターネットに快適な速度でつながる環境」
だとすれば、そこに付加価値をつけるのは
「広いホームオフィスのスペース」
になります。
この点について「Redfin.com」の統計をみると、2021年初期の調査では
「物件の売主もしくは買主の2/3はリモートワーク環境が整えば引越したいと考えている」
とのこと。
そして実際にパンデミックを機にリモートワーク環境はどんどん整いつつありますから、より広い居住空間(ホームオフィス)を求めて引っ越す人々は本年2022年も引き続き増えるだろうことが予想されます。
税金
必ずしも最上位の動機ではないにせよ、
「引越し先の税金は安いか」
これも人々が引越し先を選ぶ際の動機として大きな位置を占めています。
実に、人々が次々と流出している州はいずれも
- 州税
- 地方税
の合計が高く、
ニューヨーク州(12.7%)
ニュージャージー州(12.2%)
イリノイ州(11.0%)
カリフォルニア州(11.0%)
という重税を避けるべく人々は州外へ出ていく傾向があります。
これに対し、引越し先に選ばれる州はいずれも
アリゾナ州(1.8%)
テネシー州(所得税なし)
サウスカロライナ州(0~7%)
と、ゼロもしくは非常に安い税金が約束されているのです。
。。。
かくして、今のアメリカでは州単位ではどこに人々が流れ続けているのかがよく分かります。
ここからズームインして、人口流入が続く州内でも一際目立って人口が増えている地域を見ていきましょう。
明日に続けます。
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