こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
Sさんにお届けしたキャッシュフロー型物件をケーススタディとしてお伝えしています。
昨日見た外観のとおり、
「外回りを含めてフルリノベーションが必要」
ということは一目で分かりました。
長期に渡り放置されていた物件はそれなりに荒れているものですが、この物件のレベルであればフルリノベーションに絡む外回りの手直しとしては
「難易度は低いレベル」
です。
どのような状態でも
- 外観の手直し
- 木の剪定
- 裏庭を含む外回りの整美
を実施することにより見事に見た目が綺麗に生まれ変わりますが、少なくともこの物件の外観や外回りのサイズでは法外な金額にはならないだろうことが予想できます。
このまま今度は屋内を確認していきましょう。
REOとの違い
高い確率でやはりフルリノベーションが必要となるだろう物件の一つに
REO(Real Estate Owned:債権者が所有する物件)
があります。
REOとはファイナンシングをもって購入された物件が売主による債務不履行の結果に差し押さえとなったものの、
1.出資者(通常は銀行)がオークションで売却を試みたものの、売却に失敗した
2.市場でREO物件として整理
という流れで市場に出てくる物件です。
銀行等の債権者は差し押さえた物件をオークションに出すことで元金残高を回収しようと試みたものの、失敗とされる原因の多くは
「希望価格に届かずに元金残高を回収できない」
為にオークションでの売却を諦め、そのまま債権者権利によりしばらく物件を保有するしますが、この類の物件がREOと呼ばれるものです。
REO物件は市場価格よりも安く購入出来る場合がほとんどであり、かつこのパターンも購入後にフルリノベーションをかけることで価値を高め、最初からエクイティを潤沢にした物件運用の開始が可能となります。
ただし、REOの弱点は
「購入前に屋内を確認できない」
ことです。
それはある意味ギャンブルであり、良くいってもお正月の福袋ですから、中に何があるのかは権利を所有するまでは分かりません。
Sさんにお伝えした物件も最初は
「REOかな?」
と思いましたが、幸いにもREOではなかった為にオファー前の屋内確認が出来ました。
屋内を見てみましょう。

ドアを開いてまず目に飛び込んでくるのがこのガランとだだっ広いリビングスペースです。
外から見るよりも中に入ると明らかに広さを感じることが分かります。
奥にはなぜか放置された便器が。

こちらは玄関側。
壁の状態が良いことが分かります。
ちなみに写真を見てのとおりでこの物件は所有者が放置していたままで電気も水道も通っていませんので、外からの光が届かない場所は懐中電灯で確認です。
そして注目は

このバスルームです。
この物件は1970年代に建てられたものですが、明らかにバスルームの床は手直しされています。
このトイレをみて
「うわ、汚い!」
と思われるでしょうか。
この手のフルリノベーションが必要な放置物件はもちろん掃除などされていませんから、あちこち汚い個所だらけです。
けれども見るべきは今の姿ではなく、
「手直しがなされた後の姿」
です。
全ての修繕の後には専門家による大掃除が実施されますので、今の見た目の汚さは全く問題ではありません。
そしてここままシャワー壁を見ると

この通り、ここもアップグレードされた形跡があります。
すなわちこの物件は
「1970年代に建てられた後、あちこちに手が加えられている」
ことは間違いありません。
そのおかげで抜本的なフルリノベーションというよりも
「必要個所の大掛かりな修繕」
で済むレベルであることが分かります。
ここから小部屋を見ていくと

中には何もないガランとした部屋が。
ここもまたブラインドはよれよれで壁も汚い様子ですが、フロアも張り替えてペイントを塗り、ブラインドも交換することでピカピカに生まれ変わります。

マスターベッドルーム。
ここも同様に壁のペンキ塗りや天井の手直し、また電球を入れる必要がありますが、フロアそのものはこのままでもいけそうです。
実際にフロアをよく見ると

このように比較的新しいことが分かります。
そしてキッチンを見ると、

このとおり、シンクそのものは新調する必要は全くなさそうです。
コンロの方は新しく交換する必要がありそうですが、十分に綺麗なキッチンとして生まれ変わるだろうことが分かります。
。。。
この物件は築50年程度ですが、バスルームを始めとして一部はアップグレードされていることが確認できました。
フロアも一部を張り替えるのみでいけそうですし、中レベルのリノベーションプロジェクトとなりそうです。
そして一緒に物件確認に入ってくれた業者に修繕見積もりを出してもらい、物件価格と合わせてどれくらいの総額になりそうかを「オファーする前」に見立てます。
REOとは違い、今回のようにオファーする前に内覧が出来るフリップ案件はかなり有利と言えます。
相手が伝えてくる売却価格と同時に、修繕見積もりをオファーするよりも先に確認することで
⇒ 修繕はどれくらいかかりそうか
⇒ 自分の予算で購入できるか(ある程度予算オーバーでも問題ないか)
⇒ 修繕後はどらくらいの価値になりそうか
を予め知ることが出来るからです。
これらの前情報をもって、Sさんも実際にオファーすることになりました。
実際にこの物件は希望売却価格がいくらで、どれくらいの修繕予算が見積もられたのでしょうか。
ここから、本ケーススタディを数字で追ってみましょう。
明日に続けます。
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