昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
Sさんがオファーされたキャッシュフロー型投資の案件について、情報をほぼ全開示でお伝えしています(Sさん、改めましてご協力をありがとうございます!)。
昨日までは
- 物件の状態
- 数字の見立て
をお伝えしました。
実際には私(佐藤)が投資家の方々を水先案内する時、数字上のプロジェクションは
現在 ~ 15年
の範囲で細かく数字を出しています。
ただしここは他のベテラン不動産投資家たちも等しく認識するところですが、自己否定も兼ねてハッキリ言うなれば
「予想はあくまでも予想」
であり
「15年先の予想など無意味に等しい」
ものです。
このことは
- 住居用物件
- 商業用物件
の双方に言えることですが、どんなプロでも10年先を正確に予想することは不可能です。
不可能どころか、誰も5年先すら正確に言い当てることは出来ないもの。
プロジェクションそのものはあくまでも
「毎年〇%で資産価値が推移した場合の試算」
が基準となるもので、将来のリターンを保証するものではありません。
その為、私(佐藤)自身はプロジェクションに入れる資産価値の伸び率はいつも保守的に入れるようにしています。
そのプロジェクションでSさんがオファーされた物件(現在はオーナーです)を見立てると
「不慮の天災・事故が発生しない限り、マイナスキャッシュフローになる可能性は極めて低い」
という良質なレベルですが、実際のところ
キャッシュ・オン・キャッシュ
の基準ではどのような結果になりそうかを見ておきましょう。
本シリーズは本日で最後です。
キャッシュ・オン・キャッシュで考察してみる
「キャッシュ・オン・キャッシュリターン」
を一言でいえば、
「要は、自分が投じた現金に対してどれくらいのキャッシュリターンがあるのか?」
という尺度です。
少なくともキャッシュフロー型投資で成果を測る上ではこのキャッシュ・オン・キャッシュの尺度で数字を見ることは大切ですし、より正確に資産形成の成功度を推し量ることが出来ます。
例えば
「100万円を預けた」
「金利は0.2%だ」
「年間の利息(リターン)は2,000円だ」
という時は
「100万を投じてその上に2,000円が戻ってきた」
わけですから、
0.2%(2,000円 / 1,000,000円)
この金利がそのまま、キャッシュ・オン・キャッシュリターンの割合ということになります。
そこで本物件の取得に際しSさんが投じた実際の数字を項目ごとに並べてみます。
物件価格:$72,000
物件取得費用:$1,593.80
リノベーション費用:$31,972.50
合計投資額:$105,566.30
補足:物件価格
Sさんは当初この物件を$65,000でオファーしましたが、その後に売主からのカウンターオファーで何度がやり取りすることとなりました。
1.$65,000でオファー
2.売主より$75,000でカウンターオファーが届く
3.真ん中を取って$70,000でこちらからカウンターオファー
4.売主より更に$72,000でカウンターオファーが届く
⇒ $72,000で手打ち
補足:リノベーション費用
今回のフルリノベーション費用は$31,972.50ですが、この費用に含まれる項目を並べてみます。
- 壁、ドア、トリムの塗装
- 天井の補修と塗装
- ビニール床を設置
- リビング、廊下、3つのベッドルームにLVT(Luxury Vinyl Tiles:ラグジュアリービニール製タイル)を設置
- 8つのブラインド設置
- バスルーム補修
- 屋根修理
- 3つの窓を完全交換
- 庭の清掃
- キッチンキャビネットのペンキ塗り
- キッチン引き出しをアップグレード
- 食器洗い機を設置
- 外回りの小さな損傷を修繕
- 建物全体の洗浄
- 家の外壁のペンキ塗り
- 新しいコンロの設置
- 新しい冷暖房設備の設置と配線の取り付け
- 新しい冷蔵庫を設置
- 4つのクローゼットに棚と洋服の棒を取り付け
- 電気工事許可証の取得と監査料
- 機械部分許可取得料
- ガス圧テスト料
- 6つの天井に電気を導入
- シンク下の木材を取り除き、カビを除去処理
- 屋根交換
- 屋根部分の腐った合板を完全に交換
- 屋根裏に断熱材を導入
- 裏庭に水溜りが発生しないように処置
- 2つの追加部屋にLVTを導入
これらの項目をもってフルリノベーションを行うことで、総額$105,566.30で物件が完全に生まれ変わることになります。
そこで昨日は初年度の純収入を
$8,175.33
と見立てましたので、この数字をそのまま使えばキャッシュ・オン・キャッシュリターンは
7.74%($8,175.33 / $105,566.30)
となります。
ただし本日までに状況が変わり、Sさんはこの物件を
$1,195
で市場に投入します。
今のメンフィス市場は家賃上昇率が極めて高く、周囲の同等物件と比較して保守的に見ても$1,195でいけると判断した為です。
そこで家賃を$1,195にして計算しなおすと、初年度の年間純収入は
$9,903.33
と修正され、結果としてキャッシュ・オン・キャッシュリターンは
9.38%($9,903.33 / $105,566.30)
と予想されます。
キャッシュ・オン・キャッシュリターンが9.38%であれば、
「金利が0.2%の定期預金」
の約47倍の成果です。
「けれども家賃収入に対して税金がかかるのでは?」
と思いたくなりますが、本件はフリップ案件であることを思い出しましょう。
すなわち
物件取得費用:$1,593.80
リノベーション費用:$31,972.50
これらは全て「経費計上対象」ですから、この数字に減却償却も含めると、米国内に限って言えば向こう5年間は税金がゼロになる可能性があるのです。
そして本件のクライマックスはここからです。
本日の時点で本物件にzillow.comが見立てる価値は
$133,200
です。
そうすると低く見積もっても仕上がり後の物件価値は
$145,000
を下回ることは考えられないと思います。
そこで保守的にリノベーション後の価値を$145,000として、Sさんがこの価値をもって75%でリファイナンスする場合は
$108,750($145,000 X 75%)
これだけキャッシュアウト出来ることになるのです(実際はこれ以上になると思います)。
そこでSさんはここまでに
$105,566.30
を費やしていますから、
$3,183.70(108,750.00 - $105,566.30)
と、なんとファイナンシング後には$3,000以上のお釣りがもらえることになります。
そして物件価格に至っては
$73,000($145,000 - $72,000)
で、すなわち結果だけで語るならば
「無料でフリップ完了物件を取得できた」
「年間$8,000以上のキャッシュフローが見込める」
「米国内では向こう5年は税金がかからない可能性」
「エクイティだけでいきなり$73,000を獲得」
となります。
これは正に現代の錬金術であり、Sさんはキャッシュアウトした現金を次の物件に充て、それを繰り返すのならば次々と(結果として)自己資金を使わずに資産形成を継続していくことになるのです。
。。。
このようにクライアントの皆様が着実に資産形成を進めていかれる様子を確認できる度、私(佐藤)はいつも高揚感と共に体が震える感覚を覚えます。
弊社サービスとして水先案内をご提供する上ではもちろん弊社からのコンサルティング料金は発生しますが、そのコンサルティング料は早晩回収するどころか、その後も長きに渡り資産が積み上げられていくのです。
かくして次々と離陸していかれる投資家の皆様の背中を後ろからお見送りするのは実に心が晴れ晴れするもの。
先行きの見通しが立てにくい現代だからこそ、せめて自分と大切な人たちの老後は
「学びと実践」
を繰り返しながら防御力を高めていくべきでしょうし、微力ながら少しでもそのお手伝いが出来たとすればこれ程嬉しいことはありません。
率直に
「やっぱり、不動産投資家の後押しは自分のライフワークなのかもしれない」
そんな風に感じています。
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