こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
自宅を共同購入する前に知っておきたいルールについてお伝えしています。
私(佐藤)がアメリカに来て間もない頃、
「日本人とアメリカ人の感覚の違い」
を知って驚かされることが多々ありました。
その驚かされた感覚の違いの中で
「その真意は今なら理解できる」
「けれども自分はやはり日本人だ(それは出来ない)」
と思うことの一つに
「結婚前に離婚となった場合の約束を署名で交わしておく」
ことがあります。
永遠の愛を誓い合うはずの二人が、籍を入れる前に
「私たちが離婚となったら結婚後の共同資産については〇〇〇とする」
「結婚前にお互いが所有していた個人資産ついては〇〇〇とする」
等、離婚となった場合の約束事を決めておくのです(*実際の婚前契約は離婚時のみならず、結婚生活期間中の取り決めも含まれます)。
このような「もしも離婚となった場合」の約束事を婚姻前に弁護士を挟んで署名する人々は少なくなく、当時はその感覚がなかなか理解できないものでした。
佐藤が純粋すぎるのか、
「離婚する前提を考えるのなら、結婚する意味があるのだろうか?」
と婚前契約の真意が理解できなかったのです。
ちなみにここは想像に容易いかもしれませんが、このような弁護士を間に挟んで「婚前契約」なるものを整える人々は超富裕層にその割合が多いようです。
日本でもそれなりに知名度があるだろう方の例でいえば、スムーズジャズの第一人者として知られるケニー・G氏もそうでした。
ケニー・G氏は20年連れ添った妻と2012年に離婚しており、通常であれば資産は妻と半分に分かけるだろうところ、2人は婚前契約を交わしていた為に当時日本円で約40億円と推定される資産を妻が受け取ることはありませんでした。
つまり、この夫婦は少なくとも90年代初期には婚前契約なるものを普通に交わしていたわけです。
今の日本ではともするとこのような婚前契約の概念はあり得るのかも分かりませんが、そもそもが
「結婚とは契約だ」
という感覚は、少なくとも私(佐藤)は理解は示すものの相容れない考え方です。
けれども結婚とは別に、本シリーズでお伝えしてきた「配偶者以外との自宅共同購入」については
「共同購入とは契約だ」
これなら私(佐藤)も感覚的にもバチっとハマります。
むしろ再三お伝えする通り、何の約束事も交わさずに購入に飛び込んでしまうのは危険極まりないものです。
人生ドラマが展開される結婚生活とは明らかに違い、物件の共同購入とは純粋に財産の共有に他なりません。
最初の入り口はもちろんのこと、中途の管理期間、果ては出口に至るまで物件の取り扱いについては事細かく決めておくことはとても重要です。
何よりもルール化しておくことで安心感がありますし、約束を交わして法的効力が発生している以上は
「トラブルが発生した場合のお互いが同意した出口」
はすでに決まっていることになります。
そして、この物件契約前に交わしておくべき共同購入者との約束の中で話題に上げるのになかなか心苦しい、けれども必須の項目があります。
それはまさに結婚とは似て非なる
「別れが訪れた時の約束事」
です。
共同購入ルールその4 ~ 別れる時の約束事

自宅の共同購入者間で別れが訪れる時。
それは
- 何らかの理由で財産を別にしたい時
- どちらかが他界した時
のいずれかしかありません。
分かり易いのは相続に関する親族間のトラブルですが、資産を共同購入するということは正に親族であるかのように共同所有する資産に共に向き合うことになります。
購入当初はお互いが同意して購入したはずが、特にパートナー同士で共同購入の場合は
「片方に別のパートナーが出来た」
などという場合は大変です。
そこに感情論が起こらないはずがなく、その感情はそのまま資産の分け方にモロに影響してくることになります。
だからこそ、お互いの為にも別れる時のルールは事前に決めておくことが大切なのです。
これに対しどちらかが他界した場合はさほど心配する必要はありません。
この場合は昨日お伝えした不動産権がどの種類かによって対応は自然と決まるものであり、
「Survivorship(サバイバーシップ)」
と呼ばれる不動産権に絡む法的効力が発動して亡くなった側の権利が
Tenancy in common(テナンシーインコモン)⇒ 親族へ相続される
Joint tenancy(ジョイントテナンシー)⇒ 共同購入者に譲渡される
となります。
そうすると事前に話し合うべき内容は死別のタイミングというよりもむしろ、「他の理由での別れ」でどうするかです。
別れの時とは人間関係がこじれる場合のみならず、
⇒ どちらかが引っ越す為に共同購入物件を必要としなくなる時
⇒ やむを得ない事情により売却が必要になった時
等も考えられます。
その場合は残る側が権利を購入するのか、もしくは他人への権利売却を可能とするのかを決めておく必要があるのです。
このあたりは婚前契約の場合とは違い、不動産の共同購入と所有はあくまでも
「共同出資のビジネス」
と考えれば別れを含む出口戦略も話し合いやすいでしょうし、契約上も共同購入対象がパートナーの場合はわざわざ
「喧嘩別れした時は。。」
と表現せずとも
「いかなる理由であれ、お互いが共同保有を終了させたい時は」
等の表現をもって書面に落として弁護士に確認してもらえばよいことになります。
反対に、
「別れの出口戦略に対する事前契約には抵抗がある」
というのなら、共同購入そのものを控えておいた方がよいと思うのです。
。。。。
本日までに自宅を共同購入する際に事前に把握しておきたいルールを4つ挙げてみました。
「経済的負担を減らして自宅を所有出来る」
そう考えると心が弾むものですが、同時に
「途中で話がこじれると共同所有は大きな精神的・経済的負担になる」
ことも事実ですから、配偶者以外との共同購入を考える場合は本日までに挙げた4つのルールは履行しておいた方が良いと思います。
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