こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
Cash on Cash Plus(キャッシュ・オン・キャッシュ プラス)
という考え方で
Actual Cash on Cash(実質キャッシュ・オン・キャッシュ)リターン
Project Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)リターン
の2つの側面から見ています。
実際のところ
「結果論」
として投資成果を測る際は私(佐藤)自身もアメリカ不動産投資の成果は
Actual Cash on Cash(実質キャッシュ・オン・キャッシュ)リターン
に相当する
「実際に投じた金額に対する、実際に生まれた利益の割合」
で結果を測定しています。
その目安としては
Actual Cash on Cash(実質キャッシュ・オン・キャッシュ)リターン
で
10% ~ 15%
あれば十分と言えるでしょうし、何よりも
- 投資行為
- 事業
のいずれでも
「結局のところいくら出資して、その上にいくらの実質的な利益が出たのか」
が最も大切な概念のはずです。
ところが、自分の資金がどれだけのリターンをもたらすかという尺度は極めて大切である一方で
「セルフフリップの実行可否はActual Cash on Cash(実質キャッシュ・オン・キャッシュ)で判断することは不適切」
という側面があります。
究極のところ
「出資した$〇〇〇〇に対して$〇〇〇のリターン」
この割合を高めたいのであれば、分母となる自己資金の割合を低くしさえすればよいことになります。
そして自己資金の割合を低くするということは
「他人様から借入れる」
ということに他ならず、もしも
「出資は自分がする。君は知識と経験を出してくれればいい。」
というエンジェルが現れたのなら100%のキャッシュ・オン・キャッシュリターンどころか分母はゼロですから、
「インフィニットリターン」
がそこに完成するのです。
けれどもまさにこの
「出資率を低くすればキャッシュ・オン・キャッシュリターンは良くなる」
というキャッシュ・オン・キャッシュリターンの本質にこそ落とし穴があります。
どういうことかといえば、少し前にお伝えしたとおり不動産投資(のみならず全ての投資或いは事業)において数字を活用することの意味合いは
「数字で成果を測る」
と同時に
「数字でリスクを測る」
ことにあります。
そして
「自分は出資ゼロでインフィニットリターンを実現!」
これは結果としては最高ですし、実際にリファイナンスにより自己資金を全額(或いはそれ以上)キャッシュアウトすることがセルフフリップの目的の一つであって然るべきです。
けれどもここは結果論であり、
「セルフフリップを実施する前の試算段階」
で
「インフィニットリターンを実現出来る!」
と結論付けてしまうと、存在リスクが見えなくなってしますのです。
そこでこの弱点を補完する概念、
Project Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)リターン
について見ていきましょう。
Project Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)リターンとは

Project Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)リターン
とは一言でいえば
「試算上のCash on Cash(キャッシュ・オン・キャッシュ)リターン」
であり、あくまでも見込みの数字です。
その計算方法そのものは
Actual Cash on Cash(実質キャッシュ・オン・キャッシュ)リターン
と大きく違いがあるわけではなく、それこそ正確に成果を見立てる上では一見細かすぎる項目の数字も含めて試算する必要があります。
そこで例をあげて考えてみましょう。
とあるフルリノベーションが必要な物件を
$200,000
で購入したとします。
ここにかかったリノベーションが
$50,000
としましょう。
一般的に物件価格が高額であるほど
⇒ 物件面積は広い
⇒ 修繕箇所は多い
傾向があるわけで、リノベーション費用も相応にかかることになります。
そこで合計$250,000がかかったプロジェクトに対し
$300,000
まで物件価値が上昇することが分かっていたとします(価値の試算は比較対象接近法で算出します)。
すると単純計算で
$50,000($300,000 - $250,000)
が利益となりますが、この試算で大切なのは
「より現実的な数字」
を引き出すことであり、8割9割、その現実的な数字とは
「支出」
に関わるものです。
そして現実の売却までの過程では
- 売却完了までにかかった物件維持費
- 売却時のクロージングコスト
- 仲介手数料
等、ありとあらゆる項目に対するコストが発生してきます。
そこでここでは最終的に売却するまでにかかった費用が
$40,000
としましょう。
そうすると最終利益は
$10,000($300,000 - $250,000 - $40,000)
となり、
Project Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)リターン
としては
3.44%($10,000 / $290,000)
という結果が出てきます。
銀行に預けて3.44%とは悪くないように聞こえますが、ことセルフフリップにおいてこの3.44%という数字が良いか悪いかでいえば
「相当悪い数字」
です。
一般的にセルフフリップを実施する前のCash on Cash(キャッシュ・オン・キャッシュ)リターンにおいては
「Project Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)リターン」
と
「リスク」
は反比例の関係にあります。
すなわち
「Project Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)リターンが高いほどリスクは低く」
「Project Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)リターンが低いほどリスクは高い」
のです。
この場合は3.44%と見込まれた中で、もしも
「リノベーションプロジェクトそのものが遅延して物件の維持費が費用総額の1.5%余計にかかった」
「予期せぬ追加工事で数千ドルが追加費用としてかかった」
となればどうでしょうか。
見立てでは$10,000の利益のはずが、この規模のリノベーション工事に対して$10,000の利益など、ちょっとした不測の事態で利益は吹き飛んでしまうのです。
そして始末の悪いことに
「自分が実際に投下する資金」
で計算してしまうと、プロジェクト全体のリスクが全く見えなくなることになります。
この落とし穴について、数字で深く見ていきましょう。
明日に続けます。
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