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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
数年前、とある案件が持ち込まれてきました。
「この案件に投資するべきかどうかを見て欲しい」
との投資診断の依頼です。
内容を拝見すると大型マルチファミリーの案件で
「Mezzanine Debt(メザニンデット)への出資案内」
でした。
Mezzanine Debt(メザニンデット)とは日本語でいう劣後債(れつごさい)のことで、通常の一戸建て物件を融資を受けて購入する場合は普通は
自己資金(頭金) + 融資額
の式で購入し、元金一部と利息の合計を毎月返済することになります。
ところが同じ住居用物件でも商業の範囲となる大型マルチファミリー物件の場合、その購入資金が一戸建て物件のように単純ではなく
自己資金(頭金) + 融資額① + 融資額②
という具合に1つではなく2つ(場合によっては3つ)の債務により構成される場合があります。
その返済優先順位を
融資額①
融資額②
とした時に、後者の2番手に回る融資資金がMezzanine Debt(メザニンデット)と呼です。
例えば物件所有者が資金繰りが苦しくなり、返済が出来なくなり債務不履行に陥った場合は物件そのものを差し押さえられることになりますが、その物件を整理して元金残高を整理する際に融資元が受取る優先順位はそのまんま
融資額①
融資額②
となりますから、Mezzanine Debt(メザニンデット)は比較的不利な立ち位置にある債権ということになります。
補足すると、Mezzanine Debt(メザニンデット)そのものは決して性質の悪い借金と見なされる必要はありません。
現実には商業物件のレベルで融資額が多額になるほど
「思ったほどのLTV(物件価値に対する融資割合)が期待できない」
という場合は借入れる金額が少なくなり、その足りない分をMezzanine Debt(メザニンデット)で補うことはよくあるものです。
ただしMezzanine Debt(メザニンデット)は債権としては劣後債であるが故に金利も高く設定されており、通常はMezzanine Debt(メザニンデット)を使う場合は借入れる側は相当な金融リテラシー(この場合は借金をコントロールする力量)が必要となります。
またこのMezzanine Debt(メザニンデット)債権を購入する投資も普通に存在しており、金利が高い分その利息(リターン)も大きいものです。
冒頭の案件も同様にリターンの高いMezzanine Debt(メザニンデット)でしたが、けれどもプロジェクトそのものの内容と進捗を見た後で
「このMezzanine Debt(メザニンデット)債権購入は止めておいた方がよいです」
とお伝えしたのでした。
数字でリスクを計測する
話を昨日までに戻し、
Cash on Cash Plus(キャッシュ・オン・キャッシュ プラス)
と称して
Actual Cash on Cash(実質キャッシュ・オン・キャッシュ)リターン
Project Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)リターン
の違いを見ていきましたが、ことセルフフリップに関してはそのプロジェクトに関するリスクを事前に数字で推し量る作業は必須です。
そして本シリーズでまとめておきたい結論としては
「セリフフリップのプロジェクトに関してはProject Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)を使う」
というお薦めの鉄則があります。
とどのつまり、Actual Cash on Cash(実質キャッシュ・オン・キャッシュ)をしてセリフフリップ案件を診断してしまうと昨日までの例のように
「40%のキャッシュ・オン・キャッシュリターン」
となり、良好なプロジェクトと錯覚してしまう傾向があるのです。
実際には借り入れはフリップ完了後に行うパターンの自己資金のみでプロジェクトに取り組むProject Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)で見ると3.44%という結果であり、
「それでも3.44%のリターンがあるじゃないか」
ではなく実際にフリップを経験してみると分かりますが、3.44%程度のボリュームでは何かあった時のクッションにはならず
⇒ 材料費が値上がりした
⇒ 予想以上に工期が伸び、追加予算が必要になった
⇒ 役所の審査を通らず、やり直しの作業が出てきた
等、少しでも予想外のことが起こると3.44%程度の利益はいとも簡単に吹き飛んでしまいかねないのです。
そして本項の冒頭にお伝えした実例もまた
「このフルリノベーションはProject Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)の段階で失敗している」
「予算不足を補う為にMezzanine Debt(メザニンデット)が必要になっている」
「恐らくこのプロジェクトは更に工程が遅れ、ここから更に多くの費用がかかる」
と読めたからこそ
「この債権の購入は控えておいた方がよいです。」
とアドバイス出来たことになります。
かくして、セルフフリップにあたってはその見立てはあくまでも
Project Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)
をもって検証し、十分にリスクを吸収できる利益が生まれる見立てがつく案件に限り前に進めた方がよいと思います。
このあたりの勘どころは回数をこなすにつれてより感覚的に見えてくると思いますが、全ての支出要素を漏れなく加味した上で
「このProject Cash on Cash(見込みキャッシュ・オン・キャッシュ)リターンなら大丈夫」
と言えるレベルであれば、結構な確率でそのセフルフリップは成功するはずです。
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