こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
シンプルに数字で不動産投資案件を判断する趣旨でお伝えしています。
物件仲介を専任とするリアルターの中でも様々な人々がいますが、
「このリアルターは仕事ができる」
「相当に稼いでいる」
というリアルターの場合、彼ら/彼女らにはほぼ共通することがあります。
それは
「四の五の言わずに、物件案内の数をこなしまくる」
という姿勢です。
その物件を購入するか否かはお客様が決めることであり、リアルターはただの案内役です。
物件が契約に入りクロージングに至らない限りは手数料はゼロですが、クロージングに至るか否かはリアルターには決断出来ませんから、そうするとリアルターとして成功するコツは
⇒ 少しでも多く世の人々にリアルターとしての自分を認知してもらい
⇒ お客様の要望に徹底的に答え
⇒ 物件案内を数多くこなす
ことになります。
内覧してもその物件がお客様の購入基準に合わない場合、リアルターとしてはとかく淡々と次の物件の内覧にご案内しなくてはなりません。
翻ってこれが
「自分で投資物件を選ぶ」
という場合でも、前述のリアルターと似たような動きを取る必要があります。
投資判断の場合は
⇒ 地域市場の将来性は抜群
⇒ 建物の基準は自分の希望どおり
⇒ 数字では満足いく(いかない)
の流れで、もしも数字上のリターンが希望に届かない場合はそこにはいっぺんたりとも喜怒哀楽の感情を残す必要はなく、淡々と次の物件に進まなくてはなりません。
そうした時に
「何か月も希望の物件が出てこない」
時もあれば
「1ヶ月に数件、ドンピシャの物件が出てきた」
ということもあり、このあたりは実に不思議なものです。
そこで本シリーズでご紹介する手法は淡々と案件を精査する上で
「シンプルに、ざっくりとした数字で投資対象可否を判断する」
という時に使える技術をご紹介していきます。
実をいうと本シリーズは過去にも同じ趣旨で項を上げていますが、当ブログを初めて目にする方々にとっては
- 過去ログまで届きにくい
- ピンポイントの言葉で探せない
等の難があり過去ログが発見されにくい傾向がありますので、投資物件を判断する上で大切な技術であるが故に、本シリーズは改めて上げておきたいと思います。
数字精査で一番最初に進めるべきは
GRM(Gross Rent Multiplier:グロス・レント・マルチプライヤー)
です。
GRM(Gross Rent Multiplier:グロス・レント・マルチプライヤー)

GRM(グロス・レント・マルチプライヤー)そのものは
Gross:全体の
Rent:家賃
Multiplier:乗数
で、「年間家賃にかける乗数」の意です。
ここはキャップレートと似ており、キャップレートそのものは本来はある一定の市場範囲の中で商業物件同士を比較する基準として使われてきました。
すなわちその市場にはキャップレートの「基準値」なるものがあり、その基準値を元に物件価値の目安あるいは物件価格にキャップレートを掛けて期待できる
NOI(ネット・オペレーティング・インカム:年間純収入)
を推し量ることが出来ます。
これと同様にGRM(グロス・レント・マルチプライヤー)にも非公式ながら
「その市場の特定地域のGRM(グロス・レント・マルチプライヤー)」
なるものが存在しており、その数値をもって
「この物件価格は高いのか安いのか」
を判断することが出来るわけです。
或いはその地域のGRM(グロス・レント・マルチプライヤー)基準を使わずとも
「この物件のGRM(グロス・レント・マルチプライヤー)は◯◯だ」
「あっちの物件は◯◯だ」
という具合に物件毎にGRM(グロス・レント・マルチプライヤー)を算出して比較するのでも問題ありません。
要は
「その市場の基準と比較すると。。」
「物件同士を比較すると。。」
という式で一定の基準と比較することで
「この物件は買いなのか?」
をざっくりと見ることが出来るようになります。
具体例でいきましょう。
GRM(グロス・レント・マルチプライヤー)の例
$200,000の物件があり、この物件の家賃が$2,000だったとします。
この場合は年間のグロス・レントは
$24,000($2,000 X 12ヶ月)
であり、グロス・レントで物件価格を割ると
8.3($200,000 / $24,000)
となり、この「8.3」がGRM(グロス・レント・マルチプライヤー)と呼ばれる数字で
「この物件のGRMは8.3だ」
ということになります。
そこで物件同士を比較する場合、
「反対側の物件は価格が$180,000で家賃が$1,850だ」
というのであれば
$180,000 /($1,850 X 12ヶ月)= 8.1
です。
そして
「どちらがディールなのか?」
といえば、GRM(グロス・レント・マルチプライヤー)の場合は
「GRMが小さいほどキャッシュフローはよくなる傾向がある」
という側面があり、その意味では$180,000の物件の方が家賃は低くとも投資物件としては運用が有利と判断出来ます。
けれどももしも同地域のGRM基準値が6.5だった場合、
「とはいえ、$180,000の物件は市場平均よりは全然高い」
と判断できるわけです。
そこでGRM(グロス・レント・マルチプライヤー)そのものは
「近所の物件に対する収益性はどうか」
「同地域内の物件では収益性はどうか」
をざっくり見るための指標ということになります。
それでは各地域市場の基準となるGRM(グロス・レント・マルチプライヤー)はどれくらいかといえば、この答えは確実に地域市場(かつ特定のスポット)内で変わってきますので
1.地元リアルターにGRM基準を聞いてみる
2.自分で複数物件のGRMを算出してみる
という2つの手順で数字を取ると、より的確に投資対象としての適合性が見えてくるはずです。
明日に続けます。
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