昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
以前、両親に聞いた話。
とある不動産案件で両親が契約内容に不審な点があることに気づきました。
日本国内での不動産取引の話で、購入契約書内でおかしい部分に父が気づいたのです。
ちなみにアメリカの場合は特に個人の住居用物件の場合はリアルターに仲介を依頼する場合、そこに登場するのは大抵は「その州の不動産協会が作成したテンプレート」です。
独自の契約書が出てくる場合もありますが、そんな時は買主である自分が
「不動産協会が作成したテンプレートを使いたい」
とリクエストするとよいと思います。
「〇〇の理由で不動産協会規定の契約書は使えない」
というのであればフェードアウトし、真っ当にテンプレートを使ってくれるリアルターに変更した方が無難です。
特に慣れていない方にとっては契約内容はどんなことが書かれているか分かりませんから、住居用物件を購入する際は不動産協会規定の購入契約書を使った方が安心ではないでしょうか。
両親が目にしていた契約書は日本国内の取引であり、かつ不動産会社が作成した契約書でした。
結果として両親は契約を進めることを中止し、手付金の払い戻しを受けることになりました。
ところが問題はその後です。
手付金を全額取り戻すには相当複雑な手続きが必要であり、けれどもその複雑な手続きを仕上げないことには
「200万円損をする」
ことが分かりました。
それを知った母の反応。
「まー、そんなに複雑なら200万円なんていいわよ。」
これを聞いた父は何を言ってるんだとカンカンに怒り、黙々と自分で複雑な手続きを仕上げて残り200万円を取り戻したのでした。
この話は実に、佐藤の母の性格を如実に表しています。
いわゆる完全な「街のおっかさん」タイプの人で
「金は天下の回り物」
「必要な時に必要なだけ入ってくる」
そんな風に心から信じている、天真爛漫な尊敬すべき女性です。
そこに緻密な分析家の父がいるからこそ2人はバランスが取れ、今日まで大失敗をすることなくやってきているのだろうと思われます。
最後は直感で決断する
話を昨日までに戻し、ここまでに
「数字でざっくりと対象物件を判断する」
方法について見てきました。
これらのプロセスを通して
「この物件は数字ではいける」
となったらようやく物件そのものを調査し、それでも問題なければオファーすることになります。
そして契約が開始されるといよいよデューディリジェンス(Due diligence)の期間となり、ざっくりとした数字以上により細かい数字を本格的に調べていくステージに入ります。
ここではデューデリジェンスの詳細は割愛しますが、オファー前には見えなかった(契約なしには見せてもらえなかった)部分を深く深く追求して
「当初の見立てにズレがないか」
「見逃している数字はないか」
を細かく見ていくのです。
そして最後は
「分析はこれで完璧」
「この数字から判断するに、本物件は完璧だ」
そんな風に購入を最終決断する、、、
と言いたいところですが、
「アメリカ不動産投資は終始に渡り分析のみ決断する」
これはあまりお薦めしません。
なぜなら、そもそも「世の中に完璧な分析など存在しない」からです。
このことは分析を生業とするコンサルタント系の方々には感覚的にも理解頂けるものと思いますが、例えば問題が複雑であればあるほど
「この問題の最善解は何か?」
を問われた時、十人のコンサルタントに問えば十の解決方法が提案されるはずです。
現実として全員が100%同じ答えを出してくることはなく、100%同じ答えになるのはエクセル上の計算で済む数式の問題のみです。
アメリカ不動産もまた数字のみで答えが出せるほど単純ではなく、その因数は物理的要因を含めて数多くあります。
「私の分析は完璧だ」
などとのたまう人ほど避けなければなりませんし、実をいうと私(佐藤)自身は自分の投資に関しては最後は
「直感」
で購入可否を判断しています。
分析は直感力を高める為に
「つい先日まで数字での判断について項を上げていたのに」
「その本人が結局は直感で決めるとは?」
と思われるかもしれませんが、正確には数字分析に意味がないのではなく
「数字で最終決断することは避けた方が良い」
のです。
「数字上はかなり納得。けれども心の中にはしっくりこない、何となく嫌な予感が抜けきれない。。」
「数字はまあまあ。けれども総合的にみて『キタコレッ』の感触が抜けない」
そんな場合、どちらが後に上手くいく傾向があるかは推察頂けるのではないでしょうか。
これは恐らく私(佐藤)のみの体験ではないと思いますし、実際に
「直感を無視して分析のみで進めたところ、大失敗した。。」
そんな話は枚挙に暇がありません。
スポーツメーカー「ナイキ」のある役員会でのこと。
当時まだ無名だったタイガー・ウッズを広告塔に起用するか否かの話し合いで創業者フィル・ナイト氏が
「彼にはマイケル・ジョーダンが無名の時に感じたものと同じものを感じる」
と発言したといいます。
結果としてナイト氏の「直感」は正しかったわけで、タイガー・ウッズは後にマイケル・ジョーダンと同様にナイキにとって広告戦略の重要なアスリートに成長しました。
「彼には同じものを感じる」
とは議論には向かない発言ですが、それでも全員が答えにたどりつかない時にナイト氏の直感がその後もう一つの成功に導いたのは事実なのです。
とはいえ、ナイト氏は
「直感のみでビシバシと決断を下して成功を収めた」
かと言えば、そんなことは決してないはずです。
冒頭にご紹介した母は間違いなく「直感のみ」に人生を生きるタイプであり、不思議なくらい友達が多く周りの人々から好かれています。
これに対し父は数字に強く、寡黙に世の仕事に従事してきた人です。
私(佐藤)が目指す理想像はこの2人を足して2で割ったようなタイプであり、より正確には
「緻密な分析を続ける」
「けれども最後は直感で決める」
「いやな予感が残るなら数字がよくてもオファーしない」
「完璧な数字でなくとも、直感が良しとするならチップを置く」
そんな風に、分析を繰り返しながら直感の精度を高めていけるように心がけています。
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