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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
YoY(Year-over-year:前年比)
MoM(Month-over-month:前月比)
Inventory(在庫)
の3つの視点でアメリカ不動産市場を捉えています。
- 大型のタンカーを操縦している
- 操縦室から双眼鏡で先を見通す
- 足元の波の動きを見る
という時、ゆっくりと力強く動く波の動きは
「船のゆらぎ」
で体感することが出来ます。
日露戦争の際、日本海海戦直前の連合艦隊参謀であった秋山真之は
「本日天気晴天なれども波高し」
との旨の電報を大本営に送り、
「見はらしがよく、けれども波は高い(命中度の高い自陣にとって有利)」
という戦地の状況をもって海戦に挑みました。
現在のアメリカ不動産市場を同じように例えるなら
「前方薄雲りにて波やや高し」
という感じでしょうか。
ここからのアメリカ不動産市場の動きは来年2023年までにはより明確に見えてくるように思いますが、たった今ははっきりとは見えず、先がまだ分かりにくい状態です。
確かなのは、足元の波の高さは着実に高くなりつつある様子。
アメリカ不動産市場の場合、この足元の動きを体感する指標が
Inventory(在庫)
の変化です。
本日も続けます。
Inventory(在庫)
近年のアメリカ不動産市場のInventory(在庫)状況を確認する上で、まずはポイントをおさらいしておきましょう。
Inventory(在庫)の定義は
「その時に市場に出されている物件の数」
です。
早朝のさかな市場を訪れる時、買付にきた人々の目の前には所狭しと魚が並べられることになります。
魚の絶対数が少ない時は価格は上がる傾向にあり、反対に魚の数が豊富すぎる時は価格が下がる傾向があります。
これと同様に、不動産市場においても需要と供給の関係が成立して
市場に出ている物件が少ない ⇛ 売り手市場で物件価格は高くなりがち
市場に出ている物件が多い ⇛ 買い手市場で物件価格は低くなりがち
という傾向が出てくるのです。
現在のアメリカ不動産市場の中では、需要と供給のバランスが最も適切になりがちなのは
「Inventory(在庫)が1.5M〜1.6M(150万〜160万)戸」
とされているます。
この前知識をもって、今回はRedfin(レッドフィン)から統計情報を引っ張ってみましょう。
上記のグラフは
2012年3月 〜 2022年7月
の全米のInventory(在庫)数を表す棒グラフです。
見ての通り、2012年7月をピークに在庫数は波を打ちながら徐々に下がってきた経緯があります。
2012年当時は優に200万戸を超える在庫が全米にあり、結構な供給過多の状態にありました。
この頃を記憶している方も多いかもしれませんが、2012年といえば
「2008年から本格的に加速した不動産価格大暴落が底値をついた時期」
です。
2006年からチラつき始めた値下がりの兆候は徐々に顕著となり、2008年からはいよいよ転げ落ちるように価格が下がってきました。
同時に
市場に出ている物件が多い ⇛ 買い手市場で価格は低くなりがち
の式で買い手がつかず、そのまま在庫が増えていったのです。
その下げのピークが2012年であり、上記のグラフのように最終的には200万戸を超える物件が市場に溢れ出たことになります。
この時は物件価格が非常に安く、2012年以降は
自宅用物件購入希望者
投資用フリップ業者
等がこぞって市場で物件を購入し始め、徐々に在庫の絶対数が減少していく流れとなりました。
パンデミックで一気に在庫が減少
ちなみに上のグラフのようなInventory(在庫)を観察してみると、その変化は綺麗に波打っていることが分かります。
この波は「アメリカ不動産の年間周期」を見事に反映しており、毎年7月がアメリカでは引越シーズンのピークタイムの為に
「引越しで家を売却したい」
という世帯も多いことから在庫が増え、反対に冬には夏ほどの動きはないことから在庫数も少なくなるわけです。
その周期に沿って2012年以降はそのInventory(在庫)絶対数そのものが徐々に徐々に減少していったことになります。
またもう一つ注目しておきたいのは
「パンデミック以降のInventory(在庫)の変化」
です。
見ての通り2019年の夏までは例年通り波が盛り上がってきていたものが、2020年夏は反対に大きく下がり始めていることが分かります。
これはパンデミック以降にFRB(連邦準備制度理事会)の方針により実質ゼロ金利政策が実施された結果、モーゲージ金利が大きく下がり
「家を買うなら今だ!」
とばかりにこぞって人々が物件購入に動いた結果で一気にInventory(在庫)が減少し、それに伴って価格も急上昇した為です。
そこでたった今のInventory(在庫)状況を見ると大きく分けて2つのことが分かります。
まず1つ目は
「Inventory(在庫)の適正数とされる150万強にはまだまだ届かず、在庫数は100万以下で枯渇気味」
そして2つ目には
「けれども、2022年夏の在庫数は2021年の在庫数を大きく上回っている」
という点です。
これらが
「足元の波の動き」
という意味で、アメリカ不動産市場のInventory(在庫)そのものは
「未だに100万戸以下で枯渇気味だが、その在庫数は大きく回復し始めている」
という様子が見て取れることになります。
まさに
「前方薄雲りにて波やや高し」
で、波の盛り上がる様子が見え始めているわけです。
明日に続けます。
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