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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
ミクロ視点で地域市場の単位でアメリカ不動産市場を俯瞰しています。
今回は
「物件を市場に投入したものの、買い手がつかずに値下げを強いられた市場108選」
をご紹介し、その中でも
「2022年5月までの過去1年間で値下げ物件割合が拡大した順」
に並べ替えてみました。
通常、物件を市場に投入する際はリスティングエージェントを雇う場合
1.略語でComps(コンプス)と呼ばれる技術で近所の売却実績と比較
2.「1」の結果をもってリスティングエージェントが適切な価格を提案
3.売主が売却額を最終決定
という流れが一般的です。
けれども値下げを行う売却案件が増えつつあるこれらの市場では
⇛ 過去の売却実績との比較では適正値が取れない
⇛ リスティングエージェントの予想以上に勢いが落ちている
⇛ 売主の期待どおりにいかない
等の要素が相まって、
「市場に投入したものの、値下げを実行せざるを得ない」
という様相が広がっていることになります。
そこで値下げ実行割合が広がっている市場の上位20市場を改めて見ていきましょう。
順位 | 地域名(英語) | 地域名(日本語) | 2022年5月 | 2021年5月 | 中間価格 (2022年5月) | 割合の変化 |
1 | Provo, UT | ユタ州プロボ | 47.80% | 12.20% | $550,000 | 35.60% |
6 | Boise, ID | アイダホ州ボイシ | 44.20% | 11.90% | $549,990 | 32.30% |
4 | Salt Lake City, UT | ユタ州ソルトレイクシティ | 45.80% | 18.70% | $556,000 | 27.10% |
5 | Sacramento, CA | カリフォルニア州サクラメント | 44.30% | 20.70% | $610,000 | 23.60% |
7 | Ogden, UT | ユタ州オグデン | 42.60% | 19.30% | $500,000 | 23.30% |
3 | Denver, CO | コロラド州デンバー | 46.90% | 24.00% | $614,000 | 22.90% |
19 | Stockton, CA | カリフォルニア州ストックトン | 36.60% | 15.30% | $580,000 | 21.30% |
15 | San Diego, CA | カリフォルニア州サンディエゴ | 37.60% | 16.90% | $875,000 | 20.70% |
2 | Tacoma, WA | ワシントン州タコマ | 47.70% | 28.20% | $575,000 | 19.50% |
17 | Cape Coral, FL | フロリダ州ケープコーラル | 37.20% | 17.70% | $420,000 | 19.50% |
25 | Phoenix, AZ | アリゾナ州フェニックス | 32.90% | 13.40% | $486,000 | 19.50% |
32 | Riverside, CA | カリフォルニア州リバーサイド | 29.30% | 10.00% | $577,000 | 19.30% |
35 | Anaheim, CA | カリフォルニア州アナハイム | 28.70% | 10.20% | $1,059,000 | 18.50% |
12 | Harrisburg, PA | ペンシルベニア州ハリスバーグ | 40.60% | 22.30% | $260,050 | 18.30% |
8 | Portland, OR | オレゴン州ポートランド | 42.00% | 24.60% | $570,500 | 17.40% |
18 | Spokane, WA | ワシントン州スポケーン | 37.00% | 19.60% | $453,946 | 17.40% |
23 | Lakeland, FL | フロリダ州レイクランド | 33.70% | 16.40% | $334,950 | 17.30% |
13 | Tampa, FL | フロリダ州タンパ | 39.60% | 22.50% | $384,000 | 17.10% |
11 | Seattle, WA | ワシントン州シアトル | 40.60% | 24.20% | $850,000 | 16.40% |
31 | San Antonio, TX | テキサス州サンアントニオ | 29.50% | 13.50% | $351,000 | 16.00% |
ここから上位2つの市場を見ていきます。
ユタ州プロボ
まず全米の地域市場の中で最も値上げ実行割合が高まっているのは
ユタ州プロボ
です。
プロボは当ブログでも過去に
でご紹介したことがある都市です。
上記リンク先のように当時は中間層でも住宅が購入出来る都市の第一番目に上げましたが、
「『Techhub(テックハブ:ITインフラが充実した場所)』であり、プログラマーの数としては全米で最も多い都市の1つ」
とご紹介した通りIT産業が流行した地域です。
この雇用の流れが人口にも貢献し、当時は住宅価格範囲が
$211,700 to $553,100
であったものが、2022年5月には中間価格が
$550,000
と当時のトップ価格帯に押し上げられてきています。
けれども統計を見る限りその勢いは明らかに落ちてきており、2021年5月の時点で12.20%だった同市場内の値下げ実行物件の割合は翌年5月には47.80%まで拡大。
その時点で全米最大となる
「1年間で35.60%の値下げ実行割合の拡大」
が確認されています。
プロボ市場の勢いはほぼ間違いなく過去よりも落ちていることが明らかであり、買い手市場に変化した流れはこのまま続くことが予想されます。
アイダホ州ボイシ
値下げ実行率の拡大がユタ州プロボについで広がったのが
アイダホ州ボイシ
です。
ボイシもまた過去に当ブログで取り上げた市場の一つですが、近年は全米でもトップレベルで成長してきた市場の一つでした。
実に全米の中で2020年の引越し先ナンバーワンに選ばれた実績があり、全米で最も勢いがあった市場です。
特にパンデミック以降は特に人口流入が続き、結果として当地の不動産物件価格を大きく押し上げてきました。
当ブログでボイシについて触れたのがパンデミック直後の2年前ですが、あれから2年後の今では当地の不動産価格はピークタイムを迎えて
「これまでの勢いの価格では売れない」
という買い手市場に変化し始めていることが分かります。
ただし見誤ってはいけないのは、このことは他の市場にも言えますが
「ボイシという土地柄の魅力そのものが失われたわけではない」
ということです。
当時のブログでは
「
ボイシの魅力は
過ごしやすい気候
自然に恵まれた環境
治安の良さ
が際立つ点にあります。
特に治安の良さは特筆するべき点で、通常はアメリカのどの都市でも州都あるいは州内の最大都市となると大抵は治安が悪いものです。
ボイシ市のように州都かつ最大都市でありながら治安が良いパターンは非常に珍しく、
都会で暮らすのと変わらない便利さ
けれども自然に囲まれている
生活費も安い
安心して暮らせる
となると、いよいよもって大都会の喧騒や生活費の高さに辟易している人々からすれば腰を落ち着けたい候補に上がるのは自然と言えます。
」
とご紹介しましたが、このあたりの魅力が失われたわけではなく、あくまでも当地は
「不動産価格が適正値に戻り始めている」
そんなフェーズにあることを理解しておきましょう。
明日に続けます。
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