昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
全米の商業物件について空室率が増加している地域順に見ています。
昨日は
- 空室率が高い地域
- 空室率が上昇している地域
の双方を大都市圏が占めている様子を捉えました。
ちなみに統計そのものは
2020年第1四半期 ~ 2022年第3四半期
の2年半の変化ですが、2020年第1四半期はパンデミックが始まったばかりの混乱の時期です。
この時はほとんどのビジネスがロックダウンを強いられた時期であったものの、
「直ちにオフィス物件を解約」
というわけにはいきませんので、パンデミック直後の混乱はそれほど空室率増加に影響していないと思われます。
それよりも注目するべきは
「パンデミック終了後も空室率が増加している」
という点であり、空室率が増加しているかつ空室率10%以上の都市圏において
ヒューストン
ダラス/フォートワース
サンフランシスコ
ワシントンDC
シカゴ
フェニックス
ロサンゼルス
オースティン
アトランタ
ニューヨーク
これらの地域市場ではリモートワーク意向のトレンドと合わせて見る限り
「商業物件への需要が大きく戻る可能性は今のところ低い」
と言えるかもしれません。
引き続き全体像を見ていきましょう。
商業物件空室率の変化 ~ 中位
地域(英) | 地域(カナ) | 2020 Q1 | 2022 Q3 | 2年半の変化 |
West Michigan | ウェストミシガン | 4.89% | 6.59% | 1.71% |
San Luis Obispo/Paso Robles | サンルイスオビスポ/パソロブレス | 1.52% | 3.17% | 1.65% |
San Antonio | サンアントニオ | 8.83% | 10.45% | 1.62% |
Philadelphia | フィラデルフィア | 7.61% | 9.22% | 1.61% |
Baltimore | ボルチモア | 10.10% | 11.68% | 1.59% |
Lincoln | リンカーン | 5.26% | 6.84% | 1.58% |
Greensboro/Winston-Salem | グリーンズボロ/ウィンストンセーラム | 7.47% | 9.01% | 1.53% |
San Diego | サンディエゴ | 9.61% | 11.14% | 1.53% |
Salinas | サリナス | 3.56% | 5.02% | 1.46% |
El Paso | エルパソ | 4.64% | 6.09% | 1.45% |
Duluth | ダルース | 2.90% | 4.34% | 1.44% |
Milwaukee/Madison | ミルウォーキー/マディソン | 7.13% | 8.57% | 1.44% |
Cleveland | クリーブランド | 6.14% | 7.51% | 1.36% |
Richmond VA | リッチモンド(バージニア州) | 6.94% | 8.30% | 1.36% |
Birmingham | バーミンガム | 8.58% | 9.92% | 1.34% |
Jackson | ジャクソン | 7.20% | 8.54% | 1.34% |
Jacksonville (Florida) | ジャクソンビル(フロリダ州) | 8.18% | 9.51% | 1.32% |
Louisville | ルイビル | 5.58% | 6.89% | 1.32% |
Corpus Christi | コーパスクリスティ | 7.36% | 8.56% | 1.19% |
Indianapolis | インディアナポリス | 7.62% | 8.81% | 1.19% |
Hawaii | ハワイ | 5.65% | 6.82% | 1.17% |
Fresno | フレズノ | 6.12% | 7.23% | 1.11% |
Albany/Schenectady/Troy | オールバニー/シェネクタディ/トロイ | 4.10% | 5.17% | 1.08% |
Santa Barbara/Sta Maria/Goleta | サンタバーバラ、サンタマリア、ゴレタ | 4.22% | 5.21% | 1.00% |
Portland/South Portland | ポートランド/サウスポートランド | 3.84% | 4.81% | 0.96% |
Coeur D'Alene | コーダレーン | 3.61% | 4.53% | 0.93% |
Syracuse | シラキュース | 6.22% | 7.11% | 0.89% |
Tucson | トゥーソン | 8.71% | 9.59% | 0.89% |
Orlando | オーランド | 6.94% | 7.82% | 0.88% |
Cincinnati/Dayton | シンシナティ/デイトン | 8.41% | 9.26% | 0.85% |
Deltona/Daytona Beach | デイトナ/デイトナビーチ | 4.50% | 5.32% | 0.81% |
Tampa/St Petersburg | タンパ/セントピーターズバーグ | 6.85% | 7.66% | 0.81% |
Providence | プロビデンス | 5.75% | 6.55% | 0.79% |
Springfield | スプリングフィールド | 3.02% | 3.77% | 0.76% |
Peoria | ピオリア | 5.32% | 6.07% | 0.75% |
Lexington/Fayette | レキシントン/フェイト | 6.69% | 7.43% | 0.74% |
South Florida | 南フロリダ | 9.08% | 9.77% | 0.69% |
Hartford | ハートフォード | 8.01% | 8.68% | 0.67% |
Anchorage | アンカレッジ | 5.70% | 6.34% | 0.64% |
Kingsport/Bristol/Bristol | キングスポート/ブリストル/ブリストル | 4.74% | 5.37% | 0.63% |
Columbus GA | コロンバス(ジョージア州) | 6.03% | 6.59% | 0.56% |
Tallahassee | タラハシー | 5.62% | 6.18% | 0.56% |
Buffalo/Niagara Falls | バッファロー/ナイアガラフォールズ | 7.39% | 7.84% | 0.45% |
Hampton Roads | ハンプトンローズ | 7.36% | 7.77% | 0.41% |
Spokane | スポケーン | 7.52% | 7.89% | 0.37% |
Asheville | アシュビル | 2.92% | 3.27% | 0.36% |
昨日に続く上の表は空室率は増加しているものの、その増加率は
0.36% ~ 1.71%
とマイルドな変化を示す地域市場です。
ただしマイルドな変化とはいえ、
ボルチモア
サンディエゴ
サンアントニオ
この辺りの都市圏ではもともとが10%の空室率を超えています。
先のダラス、ニューヨーク、ロサンゼルスといった地域には及ばないものの、もともと低くない空室率に加えてジリジリと空室率が高くなりつつある地域です。
また反対に増加率が1%に満たない地域では
「商業物件はまだまだ必要とされる」
という傾向と捉えてもよいのではないでしょうか。
興味深いことに、増加率が1%を切る地域では
オーランド
デイトナ/デイトナビーチ
タンパ/セントピーターズバーグ
スプリングフィールド
南フロリダ
等のフロリダ州の都市が顔を並べています。
フロリダ州そのものはパンデミック以降に人口増加が著しい地域の一つですが、商業物件空室率もさほど増加していない意味では同じキャピタルゲイン市場でも
ニューヨーク
カリフォルニア
の大都市圏とは中身が違うことを証明しているようです。
商業物件空室率の増加について、明日に続けます。
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