こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産金融の中でもNoninstitutional Lenders(非制度的レンダー)に分類されるパターンについてお伝えしてきました。
現代の金融資本主義の中で暮らしていく上ではお金に関する知識を高め続けることは必須です。
正直なところお金に対する執着はほぼ皆無ですし特に欲しいものはありません。
毎日の生活を穏やかに暮らせること自体に心から感謝ですし、不動産事業とお金の学びを続ける理由は車を運転するのに試験を受けて免許証を取る感覚と同じで、金融資本主義の中で快適にドライブ(生活)したいのならばお金の勉強は不可欠と思うからです。
貨幣制度で世の中が回っている上では不動産事業についても不動産金融に精通することは必須と言えます。
本シリーズでは体系的に、けれども極力簡潔に不動産金融の触りについてお伝えしているつもりですが、アメリカ不動産を資産形成の一つに考える方々にとって本シリーズが少しでもお役に立てれば幸いです。
Private Loan Company(プライベートローンカンパニー)

アメリカ不動産金融の中でもNoninstitutional Lenders(非制度的レンダー)に分類される機関は数多くあり、本シリーズでお伝えする以外にも多くの制度・法人があります。
ここではアメリカで不動産投資を実行する方々に必要になるだろう最低限の知識に留めていますが、制度化されたInstitutional Lenders(機関レンダー)とは対象的な存在となるNoninstitutional Lenders(非制度的レンダー)の中でも際立って対局の立ち位置にいるのが
Private Loan Company(プライベートローンカンパニー)
です。
Private Loan Company(プライベートローンカンパニー)は法律が全く届かない自由な存在というわけではありませんが、それでも
- 連邦政府
- 州政府
の双方からの規制が最も届きにくく、最低限の規制下で活動する最たる存在と言えます。
Private Loan Company(プライベートローンカンパニー)の資金源は
- 個人資産
- 商業銀行からの事業融資
のいずれかであり、いわゆる昔からの「高利貸し」もこのPrivate Loan Company(プライベートローンカンパニー)に含まれています。
またPrivate Loan Company(プライベートローンカンパニー)の融資対象は幅広く、従来はその融資先対象は
- 車の購入
- 高級家具の購入
等、消費者金融の需要に端を発しています。
現在はその中でも不動産金融に特化しているPrivate Loan Company(プライベートローンカンパニー)が存在しており、その融資対象は概ね商業物件になります。
そして不動産業界でPrivate Loan Company(プライベートローンカンパニー)が組む融資は概ね
Junior Loan(ジュニアローン)
です。

例えば$2,000,000の商業物件を購入する上で融資を組むとしましょう。
通常の融資を組むにあたり、商業銀行に申し込んでも
「この物件とあなたの財務状況では融資限度は50%です。」
と告げられた場合、$1,000,000は自分で工面する必要があります。
けれども自己資金は20%となる$400,000のみだった場合、$600,000不足します。
この不足する$600,000をどうにか工面しなくてはなりませんが、ここで考えられる融資元がPrivate Loan Company(プライベートローンカンパニー)です。
この例でいえば融資額の順番に
$1,000,000 … Senior Loan(シニアローン)
$600,000 ... Junior Loan(ジュニアローン)*プライベートローンはここ
$400,000 ... 自己資金
となり、同じ物件に対して別々の金融機関から2種類のローンが組まれることになります。
シニアとジュニアはその言葉のとおり優先順位としては
Senior Loan(シニアローン) … 優先第1位
Junior Loan(ジュニアローン) … 優先第2位
となり、この順番はそのまま
「債務不履行が発生した場合の担保権発動順位」
になります。
すなわち債務不履行発生後に物件が整理された場合、その売却益を元金残高に充てられるのはSenior Loan(シニアローン)が先であり、最後に残った売却益がJunior Loan(ジュニアローン)に回されるのです。
ということは必然Junior Loan(ジュニアローン)はSenior Loan(シニアローン)に比べて立場が不利ですから、その代わりに金利の設定としては
Senior Loan(シニアローン)< Junior Loan(ジュニアローン)
とJunior Loan(ジュニアローン)の方が高く設定されるのが通常です。
融資を受ける側からしても資金が不足する部分をJunior Loan(ジュニアローン)が助けてくれるわけですから、リスクコントロールをしつつSenior Loan(シニアローン)よりも高い金利を受け入れて、Junior Loan(ジュニアローン)をもって融資組みを実行することになります。
Private Loan Company(プライベートローンカンパニー)について、明日に続けます。