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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
来年以降のアメリカ不動産市場の動きを見立てています。
「2024年から2025年あたりまで、平均価格は下がり続ける」
「いや、2023年からは上昇基調に戻るだろう」
そんな正反対の専門家による見解があります。
普通に考えるとたった今は
「今が買い時と考える就労人口の割合は16%」
ということであれば、需要の低さから価格は下がる方向に進みそうです。
また全米各地で破格の割引が見え始めていることからも、負のスパイラル(投資家にとっては反対の意)が始まっていることは間違いありません。
それでも
「2023年以降に平均価格がわずかながらも上昇し始める」
と予想する見解に一理あるとすれば、ここまでに見てきたように
- 在庫のさらなる減少
- モーゲージ金利の落ち着き
これらはその理由にもなりそうです。
結局のところ経済サイクルは大衆心理の発露であり、
⇒ 経済サイクルに大衆心理が誘導される
⇒ 大衆心理に経済サイクルが誘導される
といった「鶏が先か、卵が先か」の話でサイクルが続いてくことになります。
歴史を見ても今の景気後退の後には再び上昇の時期がくることは確実ですが、もしも2023年に
「なんだ、資産バブルの反落は予想したほどではないじゃないか」
ということになれば、市場の供給不足も相まって価格上昇に向かう可能性も否定できません。
そこで大衆心理が経済サイクルの一端を担うとすれば
「今回の景気後退は後退といえるほどではない」
「米国経済はどうやら力強く上向いていきそうだ」
そんな心理が現れるか否かです。
そして過去の景気後退と比較するとき、モルガンスタンレー証券から
「今回の景気後退はドットコムバブルや不動産バブル後のレベルにはならない」
との予想が出されています。
このモルガンスタンレーの観点から考察してみましょう。
2つの景気後退に違いを見る
現在モルガンスタンレーの最高投資責任者を務めているのはLisa Shalett(リサ・シャレット)という女性ですが、彼女が興味深い論説を出しています。
Inflation-Driven vs. Credit-Driven Recessions
(インフレ主導の景気後退 対 クレジット主導の景気後退)
要点をいえば、
「インフレ主導の景気後退とクレジット主導の景気後退には明らかな違いがある」
ということですが、簡単にそれぞれの特徴をみていきましょう。
Credit-Driven Recession(クレジット主導の景気後退)
まずはネガティブな印象の強い
Credit-Driven Recession(クレジット主導の景気後退)
からいきますが、ここでいうCredit-Driven(クレジット主導)とは
「クレジット問題に誘導される結果」
の意で、嚙み砕いて言えば
「法人・個人資産の財務諸表に不健全な負債が多すぎる結果に誘導された景気後退」
です。
Credit(クレジット)
という言葉を直訳すると「信用」ですが、クレジットカード(信用カード)とは本来
「借金をして、けれどもそれをきちんと返済することで経済的信用を積み上げることができるカード」
とのニュアンスがあり、
「借金をどんどんしましょう」
「それを返済して見せることであなたの信用になりますよ」
とはよく言ったものです。
貯蓄を美徳とする感性ではまやかしにしか見えない仕掛けそのものですが、アメリカ社会はカード社会であり借金と返済の実績がないとクレジットスコアを築くことができない社会です。
そこでCredit-Driven Recession(クレジット主導の景気後退)の実例としては
2000年~2001年のドットコムバブルの崩壊
2007年~2008年の不動産バブルの崩壊
があります。
これらの時期に共通するのは
「法人・個人がバブルに浮かれ、無理な借金を積み上げた」
「バブル崩壊後に借金返済が不可能となり、金融危機が瞬く間に広まった」
というものです。
この時の傷は大きく回復にはそれこそ10年ほどの年月を要していますが、大きな借金をして破産してしまうと後の信用回復にはかなりの年月を要するのです。
Inflation-Driven Recession(インフレ主導の景気後退)
これに対し、たった今私たちが目にしているのは
Inflation-Driven Recession(インフレ主導の景気後退)
です。
Inflation-Driven(インフレ主導)とは過度なインフレに伴って起きてくる現象のことで、現在の状況をそのまま現わしています。
そこで米国経済の歴史でInflation-Driven Recession(インフレ主導の景気後退)が発生したのは今回のようなFRB(連邦準備制度理事会)主導による大幅な過去の利上げの時で、この時のS&P500社の利益の変化と並べてみると
1973年~1974年:11%まで利上げ、S&P500社の利益は15%減少
1982年~1983年:20%まで利上げ、S&P500社の利益は14%減少
となっています。
この時は今とは比較にならないくらい劇的な利上げが実行されましたが、実際に経済界に与えた影響は14%~15%程度。
これに対し、約100年近く昔にはなりますがかの大恐慌はCredit-Driven Recession(クレジット主導の景気後退)であり、この時の利益減少は57%、またドットコムバブル崩壊の時には32%の利益減との統計です。
とどのつまり、過去の歴史に習うのであれば
「Inflation-Driven Recession(インフレ主導の景気後退)はCredit-Driven Recession(クレジット主導の景気後退)よりもその影響は比較的小規模」
ということが言えます。
今回の資産バブルもその要因は
「ドットコム企業が伸びる!」
「不動産でキャピタルゲインを狙え!」
という類の砂上の楼閣ではありません。
その要因はスティムラスチェック(景気刺激の為の小切手)のようなお金のバラマキや各種対策で資産が持ち上げられた結果であり、意図せず各法人・個人の資産が増加した後にインフレが加速しています。
ここにドットコムバブルや不動産バブルの時期のような「危うい借金」はさほど存在しておらず、あくまでも後遺症としてのインフレが主導となる景気後退を経験しようとしているわけです。
結果として
「今回の景気後退の経済レベルのダメージとしてはドットコムバブルや不動産バブルの後の半分以下に留まる」
という見立てもつくことになり、
「大方が予想するほどには、不動産価格も下がる要因は起きてこない」
とも言えるわけです。
来年以降の不動産市場の見立てについて、明日に続けます。
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