昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
新年早々、昨年末に引き続いて物件の価格調整が進んだ場合の
アンダーウォーター率
キャピタルゲイン保有率
の変化について見ていきました。
とどのつまり、これらのデーターが証明するのは
「現在は価格調整の時期にある」
「けれども決して暴落のレベルではない」
ということです。
このあたりは昨年から再三お伝えしているところですが、現在アメリカに不動産物件を所有している方々の中で
「このまま保有していてはまずいのでは」
「自分は逃げ遅れたかもしれない」
と考える方がいるとしたら、私(佐藤)個人の意見としては
「慌てずに、そのまま保有した方がよい」
と思います。
過剰に膨らんだものは萎むのは当然で、このまま価格は然るべきに方向に調整が進んでいきますが、もしも売却が必要ではないのであればそのまま慌てずに保有した方がよいのではないでしょうか。
私(佐藤)自身も保有する物件は一切売却するつもりはありませんし、今のタイミングはアメリカ不動産史で繰り返し起こる価格調整の中でも
「過度な資産バブル期の煽りで大きく価格調整が起こった」
そんな歴史の一部として記録されるように思います。
価格の下げが激しい地域と上がる地域
かくして全米全体としては価格調整が進む傾向は分かりましたが、昨日まで2日間に見てきたとおりその状況は地域市場により大きな違いがあります。
未だに堅調な推移を見せる市場もあればそれとは反対に大きく落ちていく市場もあり、傾向としては
「価格の上げが大きいほど価格の下げは激しい」
と同時にその反対もまた然りです。
そこで今回の締めくくりとして全米各地域市場の中でも
「最も価格の下げが大きい地域」
「価格は未だ伸び続ける地域」
の2種類の市場を見てみましょう。
データは統一してredfin.comからの引用となります。
都市圏 | 1スクエアーフィートあたりの前年比 (2022年2月) | 1スクエアーフィートあたりの前年比 (2022年10月) | 2022年2月~10月の価格の下落率 |
テキサス州オースティン | 24.20% | 1.30% | -23 ポイント |
アリゾナ州フェニックス | 28.70% | 6.00% | -23 ポイント |
カリフォルニア州サンノゼ | 20.40% | -1.60% | -22 ポイント |
ネバダ州ラスベガス | 29.30% | 8.00% | -21 ポイント |
アイダホ州ボイシ | 20.10% | 0.00% | -20 ポイント |
カリフォルニア州オークランド | 19.30% | -0.60% | -20 ポイント |
カリフォルニア州サクラメント | 20.80% | 1.20% | -20 ポイント |
カリフォルニア州リバーサイド | 25.60% | 6.80% | -19 ポイント |
コロラド州コロラドスプリングス | 22.50% | 3.80% | -19 ポイント |
ワシントン州シアトル | 22.20% | 3.60% | -19 ポイント |
上記は2022年2月と2022年10月の不動産価格の前年比を表しています。
2021年2月 ~ 2022年2月
の1年間では上記ほぼ全ての都市で軽く20%以上の価格上昇が確認されていますが、その一方で
2021年10月 ~ 2022年10月
この10月の時点では前年比の伸びが大きく下がっていることが分かります。
昨年10年の時点でも前年比で上昇し続けている都市が多いものの、伸び率の鈍化が激しかったわけです。
特に上記の中でも
テキサス州オースティン
アリゾナ州フェニックス
アイダホ州ボイシ
といった都市はパンデミック以前から価格上昇が顕著であり、パンデミック以後は更にその勢いが増して全米市場でも価格の伸び率が常にトップクラスでした。
それらの伸び率が異常値にあった地域市場こそ、昨年の10月までに大きく膝をついた形です。
今度は反対に、2022年10月の方が前年比価格が上昇している地域市場を見てみましょう。
都市圏 | 1スクエアーフィートあたりの前年比 (2022年2月) | 1スクエアーフィートあたりの前年比 (2022年10月) | 2022年2月~10月の価格の下落率 |
ニューヨーク州アルバニー | 2.80% | 11.20% | 8 ポイント |
コネチカット州ブリッジポート | 4% | 7.50% | 4 ポイント |
テキサス州マクアレン | 16.10% | 18.70% | 3 ポイント |
ウィスコンシン州ミルウォーキー | 8.40% | 10.80% | 2 ポイント |
デラウェア州ウィルミントン | 10.30% | 11.90% | 2 ポイント |
興味深いことに、上記5つの都市ではわずかながらもパンデミック期よりも価格上昇が続いていることが分かります。
これらはいずれもほとんどその名を知られていない地域市場であり、
「地味な市場こそがコツコツと積み上げていける」
という原理原則は今回の資産バブルの時にも改めて証明されているのではないでしょうか。
ちなみにテキサス州マクアレンは過去に私(佐藤)も視察していますが、ここはフォープレックス物件がかなり密集している地域です。
このような地域でフォープレックスを購入してハウスハック形式で暮らす場合、物件価値としても非常に安定していることになります。
。。。
昨年末に引き続き本年の価格調整の傾向について見てきました。
価格調整はこのまま引き続いていくと思いますが、その割合は
政策金利の動き
在庫数の変化
等の様々な要素で日々変化していきます。
本年は昨年からの価格調整がどのような推移で進んでいくのかがより明らかになる年になるかと思いますが、同時に調整価格幅が大きい市場ではかなりのディール案件が現れ始めていることも事実です。
引き続き市場の様子を伺いつつ、好機を逃さないように進めていきましょう。
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