こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
Assignment(アサインメント)とSublease(サブリース)の違いについてお伝えしています。
Assignment(アサインメント)とは昨日お伝えした通り
「権利・規約を全て賃借人(テナント)から譲受人(アサイメントを受けた人)に譲り渡す」
「けれども賃借人(テナント)による従来の賃貸契約履行義務は残る」
という行為と結果です。
例えば本来のテナントが
「賃貸契約期間が残っているが、別の場所に移りたい」
「けれども早期解約するとかなりの経済的負担になる」
「銀行との融資の関係上、賃貸契約を2つには出来ない」
「権利と規約を全て第三者に譲渡して残りの賃貸契約期間を乗り切ろう」
そんな風に「家賃支払いのみならず使用に対する規約履行の責任も引き継いでほしい」とする場合に使われるのがAssignment(アサインメント)です。
賃貸契約そのものは全うされなくてはならず、従来のテナント自身は家主との賃貸関係から完全に縁が切れることにはなりませんが少なくとも
「賃貸契約内容を第三者に全振りできる」
と考えてよいものです。
そこでもう一つのSublease(サブリース)との違いはまさにこの譲り渡す責任の範囲にあります。
Sublease(サブリース)の違いについて、詳細を見ていきましょう。
Sublease(サブリース)

権利と規約そのものを譲渡してしまうAssignment(アサインメント)に対し、Sublease(サブリース)は日本語的には
「転貸」
と訳されています。
ニュアンスとしてはこの言葉のまま
「貸し転がす」
であり、いわゆる「又貸し」です。
借りたものを更に貸す行為がSublease(サブリース)であり、この場合は
- 家主(物件オーナー)
- 転貸人(又貸しするテナント)
- 転借人(又借りするテナント)
の3者がいる時に
家主(物件オーナー) ↔ 転貸人(又貸しするテナント)
この大元の契約を交わした両者の間に存在する法的な縛りには全く変化はありません。
家主(物件オーナー)の目線はあくまでも最初に貸したテナントである転貸人(又貸しするテナント)に対し向けられており、やや乱暴な言い方をすれば
「又貸しの相手である転借人(又借りするテナント)がどうだろうが知ったことではない」
「家賃取り立て相手はあくまでも転貸人(又貸しする本来のテナント)」
ということになりますから、毎月の家賃支払いの動きでいえば
1.転借人(又借りするテナント)が転貸人(又貸しするテナント)に支払う
2.転貸人(又貸しするテナント)が家主(物件オーナー)に支払う
という流れとなります。
結果として又貸しを受ける、対象物件を占有するテナントは賃貸契約の中で
「占有権のみを付与されている」
と言え、それ以上でもそれ以下でもありません。
ということは物件を占有する転借人(又借りするテナント)の行為に対する一切の責任は転貸人(又貸しするテナント)にあり、本来のテナントはあらゆる面において契約上の責任からは逃れられないのです。
もしろん転貸人(又貸しするテナント)にも各種規約を履行する責任はありますが、それはあくまでも
転貸人(又貸しするテナント)⇔ 転借人(又借りするテナント)
この二者間の話であり、家主(物件オーナー)には関係がありません。
ちなみにアメリカでは近年このSublease(サブリース)を活用したビジネスが活発になっており、その要因がAirbnb(エアビーアンドビー)を代表とする民泊システムです。

民泊とは
「自分の住居を一時的に第三者に貸す行為」
ですが、 Sublease(サブリース) と絡めて考えるとピンとくるものがありませんでしょうか。
例えばコンドミニアム物件で賃貸暮らしをしていた場合、従来そこで暮らしているはずのテナントが
「民泊形式でSublease(サブリース)する」
という形態が近年増えているのです。
実際に民泊の場合、1泊の利益としては通常の賃貸1日分よりも遥かに大きい収益となります。
そうすると仮に1カ月間丸まる民泊で貸しに出しきれなかったとしても、
「1ヵ月のうち1/3も民泊に出せば家賃を支払ってもお釣りがくる」
という計算が成り立つパターンが多くあります。
このロジックでいけば民泊需要の高い場所では稼働率が高いほど利益率が高いのです。
実際にアメリカの不動産投資家の中にはこの
「民泊用Sublease(サブリース)の専門家」
も決して少なくはありません。
すなわちこの場合は
1.自分名義でアパートもしくはコンドミニアム物件を借りる
2.Sublease(サブリース)の権利を使って民泊に出す
3.民泊料から管理費と家賃を差し引いた残りを自分の利益にする
の式で相当軒数を回しているツワモノもいます。
「不動産物件を所有するリスクは背負いたくない」
「けれども不動産物件で利益を上げたい」
そんな風に考える人々にはうってつけの手法ではありますが、ここはもちろん売り上げが当月の家賃に満たない場合は持ち出しとなるリスクがあります。
。。。
かくして、似て非なる用語
Assignment(アサインメント)
Sublease(サブリース)
には明確な法的定義の違いがあります。
ちなみに忘れてはならないのは、 Assignment(アサインメント)とSublease(サブリース)は双方ともに「家主の許可」があってこそ実行が可能です。
現実にはAssignment(アサインメント)とSublease(サブリース)のどちらも許可しない賃貸契約の方が多く、許可されない中で第三者に貸していたことが知れるとそれこそ数日前にお伝えした
Recapture Clause(リキャプチャークラウズ)
が発動し、賃貸契約途中でも強制的に解約の憂き目に会ってしまいかねません。
そこで
Assignment(アサインメント)
Sublease(サブリース)
のいずれか、或いはその双方が許可されているかは事前に確認するようにしましょう。
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