昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
商業物件の賃貸契約で目にする見慣れない(聞き慣れない)用語についてお伝えしています。
率直に、私(佐藤)自身はこの2023年のアメリカの向かう先を結構ポジティブに見ています。
昨年までも米国経済の底は固いことは十分に証明され、
- IT系企業
- 金融系企業
を中心に大規模なリストラが断行される中にあっても、米国全体としては雇用者数が伸び続けていることも好材料です。
この流れで各種企業も本年は
「慎重ながら積極的に」
という機運が高まることが予想され、FRB(連邦準備制度理事会)により舵取りが
「金利上昇の手綱を断続的に緩めていく」
となるのであればより米国社会の動きは活発になり始めると見ています。
そのような背景の中に商業賃貸が活発化しつつある流れを受けて商業賃貸契約用語をプチシリーズでお伝えしていますが、実を言うと商業物件のみならず今の市場では住居用物件でも動きがすでに活発化し始めています。
特に年が明けて以降はキャピタルゲイン市場である南カリフォルニアでも
「1つの物件に複数のオファーが入る」
状態が戻りつつあり、つい昨年末に
「安く購入するには景気後退の大底までが勝負」
とお伝えしましたが、にわかこの2023年に米国経済の見通しが出てくるとなると案外、買い手市場の期間は短く終わるのかもしれません。
そんな活性化しつつある市場を俯瞰しつつ、本日も別の専門用語に触れてみたいと思います。
今日は商業賃貸契約の中で必ずと言っていいほど出てくる言葉、Alterations Clause(オルタレーションズクラウズ)について見ていきましょう。
Alterations Clause(オルタレーションズクラウズ)
一口に商業物件と言っても様々な形態があることはお伝えした通りですが、商業施設を思い浮かべるだけでも
- 飲食販売
- 物品販売
- サービス販売
- 衣類販売
- 食材販売
等、様々なモノやサービスを売るテナントが入っていることが分かります。
そして確実に言えることは、それぞれの業態や職種に応じて
「賃貸スペースの使い方が全く違う」
ということです。
この辺りは自分が商業施設に行った時のことを思い出すとよく分かると思いますが、それぞれのテナントに必要な独自のレイアウトは
飲食店 … 厨房、テーブル 、レジ
物品販売 … 商品棚、レジ
サービス販売 … 各種サービス機器 、レジ
衣類販売 … ショーケース、商品棚、ハンガー掛け、試着室 、レジ
食材販売 … 大型冷蔵庫、商品棚 、レジ
等、簡単に上げるだけでも多種多様なものがあります。
そしてほとんどの場合、これら各テナントがその商売を行う上で「必須」とされる設備は賃貸スペースのどこかに常設する必要があり、結果として
「契約後は賃貸スペースに改築が必要」
となるものです。
住居用物件賃貸の場合は介護等の特別な理由で改築が必要となる場合はあると思いますが、それ以外は住居用賃貸物件に対して特に改築を求める場面はなくそのまま入居となります。
これに対して商業物件を賃貸する際はオフィススペースの賃貸でない限り、ほとんどの場合は賃貸後に改築が必要になるものです。
そうすると商業物件賃貸契約には「原則改築は行われる」ことになりますから、物件オーナーとしてはテナントのビジネスが滞りなく進められるように改築を認める必要が出てきます。
ただし改築を認めるからと言って、
「賃貸スペース内は好きに改築してもらっていい」
というわけにはいきません。
物件オーナーにとっては
▼ 常識の範囲を超えて賃貸物件に改築が行われはしないか
▼ 当初予定していなかった賃貸契約を超えた追加的な工事義務が家主に発生しないか
▼ その改築が物件の構造的強度に影響を及ぼすことはないか
▼ その改築が不動産価値を下げてしまわないか
▼ 将来のテナント候補を必要以上に絞り込むことにならないか
▼ 外観や特徴が周囲のテナント物件に悪影響を与えてしまわないか
等の心配事が出てくるものであり、貸してこそ商売になる賃貸業であったとしても
- 物件オーナー利益
- テナント利益
- 地域利益
を考えた時に
「商売用にスペースを使って頂くものの、家主とテナント双方の利益を損なわない範囲で改築を実行して頂く必要がある」
ということになります。
そこでこの約束は
「改築はお手柔らかにお願いします」
と口頭で伝えるものでもなく、お互いの相互認識として
- 改築してよい範囲
- 改築前後のルール詳細
- 改築ルールに不履行があった場合
等、然るべき改築に関する明文化された決まりごとが必要になります。
かくして、商業賃貸においてテナントに必要な改築を許可するにしても一定の決まり事を明文化する条項が商業賃貸契約書の中の
Alterations Clause(オルタレーションズクラウズ)
です。
Alterations Clause(オルタレーションズクラウズ)はほぼ全ての商業賃貸契約書の中で目にする言葉ですので、その特徴についてポイントを押さえておきましょう。
明日に続けます。
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