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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
Escalation Clause(エスカレーションクラウズ)についてお伝えしています。
「商業物件賃貸契約期間は1年以上が基本」
「けれども全期間を固定家賃にすると家主は大きく損をしてしまう」
「先を見据えて、全期間を通して家賃はこのように上昇していくものとする」
そんな風に賃貸契約期間を通して家賃を上昇(エスカレート)させていく約束が記載されている条項が
Escalation Clause(エスカレーションクラウズ)
です。
物件オーナーにしてみれば、アメリカのようなモノとサービスの値段が年々上昇していく経済圏にいる以上は
「毎年家賃を着実に上昇させる」
と定めておかないと、後に自分自身の首を絞めてしまうことになります。
インフレ基調の国においては家賃値上げというのは自分の儲けを大きくするためではなく、健全な商売を継続する上で必須なのです。
住居用賃貸契約でも毎年の更新時に家賃値上げを提案するのが常識ですから、大掛かりなメンテナンス費用・雇用費の負担がかかる商業物件においては長期賃貸の原則の中にあればこそ、しっかりと家賃の値上げを続けることが鉄則になります。
そして賃貸契約期間の確かな家賃上昇を事前に約束する条項がEscalation Clause(エスカレーションクラウズ)ですが、その種類は大きく分けて4つあります。
今日と明日はEscalation Clause(エスカレーションクラウズ)の種類について、家賃はどのように値上げが約束されるのかを深く見ていきましょう。
1.固定増額
家賃増額にあたり、最も分かりやすい増額パターンが「固定増額」です。
商業物件の場合はその基本家賃は「スクエアーフィート単位」で定められます。
例えば1,000スクエアーフィートの賃貸スペースが
$40/スクエアーフィート
で貸しに出される場合、その家賃は
$4,000($40 X 1,000スクエアーフィート)
です。
そして固定増額の場合、例えば年間に50セントずつ増額するのであれば
1年目 … $40/スクエアーフィート
2年目 … $40.50/スクエアーフィート
3年目 … $41/スクエアーフィート
と変化し、一方で面積そのものは増えるわけではありませんので家賃は
1年目 … $4,000($40 X 1,000スクエアーフィート)
2年目 … $40,500($40.50 X 1,000スクエアーフィート)
3年目 … $4,100($41 X 1,000スクエアーフィート)
と着実に増額していくことになります。
このようにスクエアーフィートに対して単純に一定金額でエスカレートされていくのが固定増額です。
2.パーセンテージ増額
その一方で固定増額ではなく一定割合で家賃が増額していくのがパーセンテージ増額です。
私(佐藤)が知る限り、商業物件賃貸の家賃体系としては毎年の増額はこのパーセンテージ増額を採用しているパターンが最も多いように思います。
先の例と同じで初年度が
$40/スクエアーフィート
あり、翌年以降の増額が
「3%ずつ増額」
という場合はスクエアーフィート単位の家賃が3%ずつ上昇して
1年目 … $40/スクエアーフィート
2年目 … $41.20/スクエアーフィート
3年目 … $42.44/スクエアーフィート
となり、1,000スクエアーフィートに対して
1年目 … $4,000($40 X 1,000スクエアーフィート)
2年目 … $41,200($41.20 X 1,000スクエアーフィート)
3年目 … $42,440($42.44 X 1,000スクエアーフィート)
と上昇していくことになります。
前述の固定増額と比較すると遥かに高い推移で進んでいくことになりますが、経済成長率そのものがパーセンテージで進んでいく以上は非常に理に適うのがこのパーセンテージ増額です。
この増額方式にはご存知の複利計算が使われることになり、まさに経済成長の考え方と並べて家賃を上昇させていくことになります。
そのパーセンテージそのものが貸主と借主の間で合意できるラインは
「この地域市場の経済成長率は〇%だから、この割合に合わせよう」
とする場合がほとんどです。
そこでもしもあなたが借主になる立場で
「パーセンテージ増額なのは構わないが、この割合はここの地域市場では高すぎるな」
と思う場合、
「今のこの地域市場の成長率は△%ですよね?」
「そうすると、このEscalation Clause(エスカレーションクラウズ)に記載されているパーセンテージはそれより□%も高くありませんか?」
「これは論理として成り立たないですよね。ここは増額率を△%にするべきでしょう。」
という、非常に明快なロジックで値下げを要求することが出来ます。
。。。
余談になりますが、家賃交渉のみならずあらゆる交渉では論理的に間を詰めていくことが肝要です。
日本で商売を行う場合はともすると感性的な理由を背景に数字が決められることもあるかもしれませんが、交渉術における世界標準はロジカルシンキングになります。
このことは米国も例外ではなく、文化的な背景からも交渉の際は論理が欠落している場合は全く相手にされず
「It doesn't make sense.(それは理にかなってないよ)」
と返されてしまうのがオチです。
反対にいえば、家賃交渉においても
「今の経済背景はこうだ」
「それに伴い市場の成長率はこうなっている」
「故に私たちの契約上の数字はこうあるべきだ」
そんな風にロジックに話を持っていくと感情を入れる余地はなく話し合いが進んでいくものです。
Escalation Clause(エスカレーションクラウズ)について、明日に続けます。
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