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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
Escalation Clause(エスカレーションクラウズ)についてお伝えしています。
中長期的な賃貸契約が結ばれるべき商業物件賃貸において、その毎年の賃貸の上昇について約束事が明文化されているのが
Escalation Clause(エスカレーションクラウズ)
であり、商業賃貸契約では十中八九目にする条項です。
ちなみにここで語るEscalation Clause(エスカレーションクラウズ)により影響される家賃とはあくまでも
「基本家賃」
のことです。
例えば商業物件のリース形態として
NNN(トリプルネット)リース
と呼ばれるものがありますが、これは
a … 固定資産税の割り当て
b … 保険の割り当て
c … メンテナンスの割り当て
の3つを足して
NNN(トリプルネット)リース家賃 = 基本家賃 + a + b + c
となる、物件オーナーにとって最もありがたい賃貸形態です。
そしてここで語るEscalation Clause(エスカレーションクラウズ)とはNNNリースでいうところの「基本家賃」のことであり、この基本家賃を同条項内で定めることになります。
そこで昨日はEscalation Clause(エスカレーションクラウズ)の中で
- 固定増額
- パーセンテージ増額
の2つについてお伝えしましたが今日は残りの2つ、
- 消費者物価指数増額
- ハイブリッド増額
について見ていきましょう。
3.消費者物価指数増額
消費者物価指数については誰もが馴染み深いところですが、
CPI(Consumer Price Index:消費者物価指数)
は物価の動きを測る尺度として使われる、各国がその金融政策を決定する際に大いに参考にする重要指数です。
この指数の変化こそが当該国内の物価の変化を表すものであり、特に近年はパンデミック以降の激しい物価上昇の中でこのCPI(消費者物価指数)が大きく上昇していることになります。
実際の米国のCPI(消費者物価指数)変化を
- 過去
- 現在
- 未来
の視点で並べると
年 | CPI(消費者物価指数) |
2017 | 2.1% |
2018 | 1.9% |
2019 | 2.3% |
2020 | 1.4% |
2021 | 7.0% |
2022 | 10.0% |
2023 | 7.5% (*) |
2024 | 5.0% (*) |
2025 | 4.5% (*) |
2026 | 4.0% (*) |
このように推移しています。
そして商業賃貸契約における家賃の消費者物価指数増額とは正にこのCPI(消費者物価指数)を基準にする増額のことです。
そこで昨日の例と同様に1,000スクエアーフィートの物件に対し
$40/スクエアーフィート
で初年度をスタートさせたと仮定すると、上記のCPI(消費者物価指数)を使うと
年 | CPI(消費者物価指数) | スクエアーフィート単価 | 基本家賃 |
2016 | 契約した年 | $40.00 | |
2017 | 2.1% | $40.84 | $40,840 |
2018 | 1.9% | $41.62 | $41,616 |
2019 | 2.3% | $42.57 | $42,573 |
2020 | 1.4% | $43.17 | $43,169 |
2021 | 7.0% | $46.19 | $46,191 |
2022 | 10.0% | $50.81 | $50,810 |
2023 | 7.5% (*) | $54.62 | $54,621 |
2024 | 5.0% (*) | $57.35 | $57,352 |
2025 | 4.5% (*) | $59.93 | $59,933 |
2026 | 4.0% (*) | $62.33 | $62,330 |
と、先々はとんでもない家賃に変化していくことになります。
すなわち消費者物価指数増額は物件オーナーにとっては非常に満足でも、テナントにとっては最悪の家賃推移になるのです。
CPI(消費者物価指数)の予想は完全に不可能であり、デフレ基調の国であればまだよいものの、それでも有事には物価上昇に伴って家賃が一気に引き上げられることになります。
その為、商業物件賃貸契約の家賃形態の中でもテナントとしては消費者物価指数増額は絶対に避けるべきオプションです。
もしも自身の商業賃貸契約のEscalation Clause(エスカレーションクラウズ)がCPI(消費者物価指数)ベースで増額される場合は是が非でも
「No」
と主張して避けるようにしましょう。
4.ハイブリッド増額
そしてEscalation Clause(エスカレーションクラウズ)に登場する家賃形態の中で最後のパターンがハイブリッド増額です。
前でのCPI(消費者物価指数)を基準にする消費者物価指数増額というのは物件オーナーにとって最も安心かつ利益を確保できる方法ですが、同時にそれはテナントにとっては絶対に避けたい家賃形態です。
そこで
⇒ CPI(消費者物価指数)を基準にしたい物件オーナー
⇒ 先行きの見えないCPI(消費者物価指数)基準は避けたいテナント
この両者の間を取った折衷案がハイブリッド増額の方式です。
論理思考で考えるのであれば
「物価上昇に伴い家賃も増額させるべき」
とはその通りですが、けれども特に昨今のような急激な物価上昇の時期にはテナントはかなり不利になります。
そこで
「通常は一定のパーセンテージ増額で理にかなう家賃増額をする」
「けれども過度な物価上昇時期には物件オーナーの立場も考慮し、そのパーセンテージ割合を少しだけ高める」
「けれども物価上昇が落ち着いた後はパーセンテージを元の割合に戻す」
と、双方に配慮しつつ柔軟に家賃増額を調整するのがハイブリッド増額です。
例えば前述の消費者物価指数増額の表をそのまま使うと
年 | CPI(消費者物価指数) | 家賃上昇割合 | スクエアーフィート単価 | 基本家賃 |
2016 | 契約した年 | $40.00 | ||
2017 | 2.1% | 3.0% | $41.20 | $41,200 |
2018 | 1.9% | 3.0% | $42.44 | $42,436 |
2019 | 2.3% | 3.0% | $43.71 | $43,709 |
2020 | 1.4% | 3.0% | $45.02 | $45,020 |
2021 | 7.0% | 4.0% | $46.82 | $46,821 |
2022 | 10.0% | 4.0% | $48.69 | $48,694 |
2023 | 7.5% (*) | 4.0% | $50.64 | $50,642 |
2024 | 5.0% (*) | 3.0% | $52.16 | $52,161 |
2025 | 4.5% (*) | 3.0% | $53.73 | $53,726 |
2026 | 4.0% (*) | 3.0% | $55.34 | $55,338 |
このように通常は3%増額でありながら、過度な物価上昇が確認できる年には1%だけ増額して4%とする場合もあり得ます。
すなわち激しい物価上昇の時期には物件オーナーとしても運営費がかさむのは事実ですから一定の配慮は必要となり、けれども過度な家賃上昇とならないように累進課税ならぬ累進率の考え方で
「CPI(消費者物価指数)が〇%上昇したら基本家賃上昇率は〇%まで上昇」
という約束を交わすのがハイブリッド増額であり、この方法なら物件オーナーとテナントの双方が納得のいく数字に落とし込めることになります。
。。。
かくしてEscalation Clause(エスカレーションクラウズ)では
- 固定増額
- パーセンテージ増額
- 消費者物価指数増額
- ハイブリッド増額
という4種類の家賃増額方法の中のいずれかが記載されていることになります。
このEscalation Clause(エスカレーションクラウズ)は自分の懐を直撃する条項ですので、署名する前にしっかりと目を通して、必要に応じて然るべき交渉を行うように心がけておきましょう。
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