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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
商業物件賃貸契約書に関するシリーズの仕上げとして、商業賃貸の家賃体系についてお伝えしています。
ここまでに見てきたとおり、
住居用物件賃貸
商業用物件賃貸
この2つにはその家賃体系に大きな違いがあります。
この違いの背景にあるのはもちろん
住居用物件賃貸 ⇒ 暮らす場所
商業用物件賃貸 ⇒ 仕事場所
という、その場所の使われ方です。
住居用物件の場合は単純にテナントはそこに住環境を求めているものであり、これはこれで物件オーナーには一定の責任が出てきますが、それでも住居用物件のテナントにとってはそこはあくまでも
「自分が暮らす場所」
でありビジネスで利益を上げる場所ではありません。
商業物件の場合は非営利団体でない限り、その賃貸目的はほぼ100%営利目的となります。
この場合は
物件オーナー
テナント
の双方が「ビジネス」を目的にしているわけで、ここに両者の共通項があります。
その為、物件オーナーもテナントを見る視点は
「自分の所有物件で暮らす人」
ではなく
「自分の所有物件で利益を上げる人」
ですから、家賃体系についても
「テナントが上げる収益の一部からこの商業物件の運営を支援頂きたい」
という発想が出てくるわけです。
商業物件のテナントにしてみれば
「え、でもこの物件はテナントである私は所有してませんよね?」
「なぜ物件運営の一部を負担しなきゃいけないのですか?」
と言いたくなるところですが、商業物件の場合はその規模に応じて負担がかかることになり、純粋に基本家賃のみでは利益が出にくい体質があるのです。
その為に昨日までにお伝えした
Gross Lease(グロスリース)
3種類のNet Lease(ネットリース)
ではそれぞれ、商業物件オーナーの負担の一部を請け負う体系になっていることになります。
そこで今日は商業賃貸物件の5つの家賃体系の最後、
Modified Gross Lease(モディファイドグロスリース)
について見ていきましょう。
Modified Gross Lease(モディファイドグロスリース)
![](https://wedgerc.com/wp-content/uploads/2023/01/shutterstock_258109304.jpg)
Modified Gross Lease(モディファイドグロスリース)は一番最初にお伝えした家賃体系、
Gross Lease(グロスリース)
の最初に
Modified(モディファイド)
という言葉がついていますが、Modified(モディファイド)は日本語では
「修正された、変更された」
と訳されています。
すなわちここでは前でのGross Lease(グロスリース)が修正されたもの、というニュアンスになるわけですが、
「Gross Lease(グロスリース)とNet Lease(ネットリース)の間を取って調整」
されたものがModified Gross Lease(モディファイドグロスリース)です。
ここまでに
「商業物件の運営はオーナーにとって負担が大きい」
「体系的にテナントに一部を負担してもらう必要がある」
という趣旨から、その家賃体系として
Gross Lease / Full-Service Lease(グロスリース / フルサービスリース)
Single Net Lease/ N Lease(シングルネットリース)
Double Net Lease/ NN Lease(ダブルネットリース)
Triple Net Lease/ NNN Lease(トリプルネットリース)
の4種類を見てきました。
それぞれに特徴があるわけですが、日本語的にいえば
「商業物件賃貸の4つの家賃体系の折衷案」
が
Modified Gross Lease(モディファイドグロスリース)
ということになります。
Modified Gross Lease(モディファイドグロスリース)が狙う焦点
![](https://wedgerc.com/wp-content/uploads/2023/01/shutterstock_1865739580.jpg)
そこで
「Modified Gross Lease(モディファイドグロスリース)は折衷案」
という意味ではどこにその焦点が置かれているのかといえば、Modified Gross Lease(モディファイドグロスリース)の場合は
「商業物件の運営コストを部分的に負担する」
という趣旨に軸足があります。
ここの明確な違いを単語で表現するならば、Modified Gross Lease(モディファイドグロスリース)の場合は
「Operating Costs(オペレーティングコスト:運営費)」
の一部をテナントが負担することになるのです。
その視点はあくまでも「オペレーティングコスト」であり、テナントへの負担は
固定資産税一部
保険料一部
メンテナンス料一部
と何かしら特定の項目に固定されて負担を請け負うのではなく、
「運営費全体の一部負担を請け負う」
という考え方になります。
物件オーナーが商業物件を運営する時にその財務諸表にはありとあらゆる項目が出てくることになり、そこには固定資産税や保険等の物件維持に関わるもののみならず
- ライセンス料
- プロフェッショナル料(弁護士等の専門家を雇う費用)
- 給与
等、通常の会社運営と酷似した項目が並ぶことになります。
このOperating Costs(オペレーティングコスト:運営費)の一定の割合を
テナントが占有するスクエアーフィート / 建物全体の入居可能なスクエアーフィート
で算出される割合で、家賃として各テナントに割り振るのです。
実際には各商業物件はその運営にそれぞれの独自性がある為、Modified Gross Lease(モディファイドグロスリース)の内容が一定することはありません(物件オーナーの裁量に委ねられる)。
そこで商業賃貸物件の家賃体系がModified Gross Lease(モディファイドグロスリース)になっている場合、どのようにテナント負担が割り当てられるのかはよく精査するようにしましょう。