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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産市場の今を捉える中で、「賃貸市場」に注目しています。
「物件を現金購入しました」
という場合でない限り、暮らす上では
モーゲージ支払い
家賃支払い
のいずれかは必ず発生します。
職場から住を提供されている
身内の家に居候中
であればよいのですが、さもなくば居住費は毎月必ず出ていくわけです。
米国の場合、社会問題とまではいかずともそれに近いレベルで、特に都市圏で聞こえてくる悲鳴が
「家賃が信じられないくらい高い」
「家賃上昇率が半端ない」
等の高額な家賃問題でした。
サンフランシスコやニューヨークの例は周知のとおりですが、およそ多くの人々にとっては
「ここで暮らすのは天国」
とは思えないほど、家賃の高さや高額な値上げが問題となっていたのです。
そんな中、昨年からの金利上昇後からここまでの段階で目にする変化に
「家賃上昇の落ち着き」
が確認されています。
その様子は昨日もグラフと統計で確認したとおりですが、そもそもなぜ、アメリカの賃貸市場はその家賃価格が落ち着き始めているのでしょうか。
その中身から見えてくる動きについて、深堀してみましょう。
本日も続けます。
物件価格に同調する家賃
昨日ご紹介した末尾の統計をもう今一度見てみましょう。
過去6カ月 | 過去12カ月 | 2020年3月以降 | ||||
1 | インディアナポリス | (+1%) | インディアナポリス | (+7%) | タンパ | (+37%) |
2 | セントルイス | (+1%) | ルイビル | (+7%) | ツーソン | (+37%) |
3 | オクラホマシティ | (0%) | カンザスシティ | (+7%) | マイアミ | (+35%) |
4 | シンシナティ | (0%) | サンノゼ | (+6%) | ロチェスター | (+35%) |
5 | ヒューストン | (0%) | オクラホマシティ | (+6%) | ジャクソンバイル | (+32%) |
6 | カンザスシティ | (0%) | シカゴ | (+6%) | リバーサイド | (+31%) |
7 | コロンバス | (0%) | コロンバス | (+6%) | フェニックス | (+30%) |
8 | メンフィス | (0%) | シンシナティ | (+6%) | オーランド | (+30%) |
9 | マイアミ | (-1%) | シャーロット | (+6%) | ラスベガス | (+29%) |
10 | ツーソン | (-1%) | セントルイス | (+6%) | サンディエゴ | (+28%) |
上記を見て一目瞭然ですが、最も急速に成長しているはずのメトロエリアがわずか1%の成長に留まっているという事実が全てを物語っているのではないでしょうか。
参考までに、過去6か月間で最も家賃変動のパフォーマンスが悪かった市場は、-6%のプロビデンスとロードアイランドでした。
2020年3月以降で最も家賃の減少が大きかったのはサンフランシスコで-5%でしたが、サンフランシスコの場合は地元特有の要因があります。
事実、サンフランシスコは2020年3月以降の家賃の伸びがマイナスであった2つの市場のうちの1つで、家賃の伸び率が10%未満となった5つの市場のうちの1つです。
かくして、このように俯瞰してみると2022年11月から12月にかけて家賃は事実上、頭打ちになっていることが分かります。
より幅を広げてみても、トップ50のメトロエリアの家賃中央価格の年間家賃成長率は、なんとわずか3%を上回っている程度です。
ただし、この数字は過去数年間に見られた家賃の伸びよりも随分低い数字ですが、実際には
「家賃の値上がりが劇的に過去よりも下がった」
というより、
「アメリカ賃貸市場で数年前まで見られた、『ごく平均的な普通の賃貸市場』が戻ってきた」
というのがより適切です。
その意味では喜ばしいことですが、本質を捉えんとするときに、なぜアメリカ賃貸市場の家賃はこのように落ち着いてきたのでしょうか?
まず一つには、物件価格と同様に賃貸価格にも季節性があり、冬には物件価格と同じく家賃の伸びも下がる傾向にあります。
けれども現在確認できる全体的な下落は通常の季節性の動きよりも大きい変化です。
とどのつまり、この背後には確実に季節性変動以上の要因があります。
米国連邦準備制度理事会が利上げを始める前は、歴史的に低い金利や10年間にわたる不十分な数の新築建設からもたらされた慢性的な住宅不足など、様々な要因により不動産価格が急騰していました。
始末の悪いことにその供給不足は、Covidやロックダウンによる遅延でさらに悪化していたわけです。
その住宅不足は売買市場のみならず、賃貸市場にも同様に影響を与えてきた経緯があります。
けれども昨年から金利が上昇し始めると
「売り手側があえて売却を控える」
という動きが目はじめ、この為に市場に出てくる物件数は急激に減少しました。
ここはまさに2008年との違いであり、現在の多くのホームオーナーは金利の低い30年固定ローンを抱えています(サブプライムローンではなくプライムローン)。
とどのつまり、2008年の時とは全く正反対で
「自分の所有物件を売る理由がない」
のです。
事実、私自身もパンデミック以降に低金利で30年固定金利を獲得できた方々には
「たとえ引っ越しの必要があっても、極力物件は保有された方がよいですよ」
というものでした。
シンプルに、今のアメリカで金利が3%以下の家を売却したり、リファイナンスする必要は全くないのです。
それよりも売却するなら
「現在の家を賃貸に出し、引っ越し先で賃貸に住む」
方がよほど長期的に健全な資産形成を実現できる場合がほとんどです。
かくしてアメリカ全体でこのような基準で動く層が多く、市場に出てくる物件数は減少の一途をたどることになりました。
2008年の時は
「早く売却して整理しないとマズイ!」
が、今回の場合は
「売却すると大損する」
という式で市場に出てくる物件数が大きく減少していることになります。
そして新規リスティングがこの流れで大幅に減少する一方で、メトロエリアの各サブマーケットの家やアパートにおいて、賃貸物件の数が急増していることになります。
ここから、家賃が落ち着いてきた真因を深堀していきましょう。
明日に続けます。
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