こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカで不動産投資家兼コンサルタントとして活動し始めて結構な年月が経ちますが、それなりの割合で
「マルチファミリーは初めての投資に適しているのでしょうか?」
とうい類の質問を頂くことがあります。
マルチファミリーとは複数世帯物件のことで、日本でいうアパート物件がそれに相当します。
不動産投資は法人・個人としての資産形成手段の一つであり、結論、ポートフォリオを安定させたいのであれば不動産投資は必須であろうと同時に、不動産投資にそれなりの比重をおいていきたいのであれば、どこかの時点でマルチファミリーのレベルに進む必要があると思います。
それでは
「一戸建てやコンドミニアムのステップを飛ばして、最初からマルチファミリーにいくことはありですか?」
と問われれば、その答えは常に
「その法人・個人の状況によります。」
という無難なお返事に終始することになります。
ここでいう状況とは何かといえば、
- その投資家の性格
- 目標
- (それまでの)経験
といった、十人十色の要素の掛け算が答えになり、必然的に状況によって異なるのです。
例えばその法人・個人の財務状況や投資に時間や労力を費やすことができるかどうかにもよるでしょうし、はたまたその投資家が参入しようとしている市場によっても変わってきます。
言い方を変えると、その法人・個人の今あるステージによって異なる為、そこまでは私(佐藤)には見えず、自ずとその法人・個人が答える質問になると思うのです。
そこで唯一私(佐藤)に出来ることは、マルチファミリー投資のメリットとデメリットを提示して
「なるほど、自分たちは最初からマルチファミリーにいけるだろう」
「いや、とてもじゃないけれど自分は最初からマルチファミリーは無理」
と考えられる選択肢をお伝えすることのように思います。
これを面談で行うとすれば
一戸建て住宅への投資
マルチファミリー物件への投資
のそれぞれのメリットとデメリットと比較してお見せすることであり、
目標
財務状況
と照らし合わせた上で
メリット
デメリット
がどのようにマッチするかを考えるのです。
そして法人・個人様が決断するのを助けるべく、主には本項でお伝えするようなマルチファミリー投資の基本的なメリットとデメリットをお伝えしています。
またより全体的な見通しを得るべく、他の不動産タイプの投資へのメリットとデメリットについても補足しているのです。
そこで、ここでは簡単にマルチファミリー物件への投資のメリットとデメリットを見ていきましょう。
マルチファミリーのメリット
まずはマルチファミリーのメリットについて、要点を絞って羅列してみます。
より多くのキャッシュフローが期待できる
マルチファミリーの最大のメリットは、キャッシュフローの増加です。
複数のユニットがあるため、その分より多くのキャッシュフローが期待できます。
必ずしも投資利回りが良くなることが保証されるわけではありませんが、一戸建て住宅と比較するとより多くのキャッシュフローが生まれてくることは間違いありません。
一戸建て住宅の場合は投資利回りが良かったとしても、通常はそれほど多くの現金を生み出すことはないのです。
管理全てが1つの場所に
マルチファミリー物件はその構造から
庭が1つ
屋根が1つ
給湯器やHVACユニットが1つ
(管理の為に)車で向かう場所も1つ
各点検個所も1つ
です。
とどのつまり、ほとんどすべてが一箇所に集約されているため、メンテナンスや運営コストを抑えるのに役立ちます。
一方で一戸建て住宅の場合、複数所有しているとそれだ場所が散らばっていることになります。
また、一戸建ての場合も屋根や庭などの構成要素はマルチファミリー物件と同じですが、それらが戸数分だけ存在するわけです。
結果として、管理コストは一戸建ての方がどうしてもパフォーマンスが落ちるのです。
完全に空室になることはめったにない
そしてここもマルチファミリーの利点ですが、テナントが退去したあとはしばらく空室になります。
けれどもマルチファミリー物件は複数戸ある分、その全ての戸が空室になることはほとんどありません。
つまり、「常にキャッシュフローがある」ということです。
また一戸建ての場合は治安の悪い場所になると
「空室期間に、いつの間にか見知らぬ者が勝手に物件で暮らしていた」
ということもあり得ますが(治安の悪い場所ほどあり得ます)、マルチファミリーの場合は他のテナントが明らかにおかしい行動をするものがいれば管理人に教えてくれる場合が多いのです。
テナント自身は自分が暮らすユニットが安全であればよいわけですが、けれども隣同士、或いは同じ構内に見知らぬ者がおかしな行動をしていると自分にも害が及ぶ可能性がありますから、良い意味でプロパティマネージャーに教えてくれるものです。
このようなテナントによる自発的監視システムなるものは、一戸建てや商業用物件の場合ではほとんど期待できませんし、これらの場合は空室が出た途端、しばらくは賃貸収入が途切れてしまうのです。
テナントを比較的簡単に見つけられる
いつの時代でも誰にでも暮らす場所は必要とされます。
誰もが住む場所が必要であるからこそ、適切なエリアに投資し、適切な物件を所有すれば、家賃を支払ってくれるテナントは必ず見つけることが出来ます。
一戸建て賃貸物件
アパート物件
このどちらが賃貸が付きやすいかを示す明確なデータはありませんが、私(佐藤)自身の感覚でいえば
適切なエリアで家賃が市場平均よりも少し安い部屋
これは引き合いが結構あるものです。
反対に商業用物件などの他の種類の不動産では、マルチファミリーレベルの引き合いは期待できないものです。
ユニットの一つに住むことができる
またユニットの一つに住むことは、特に初めて投資家にとっては大きなメリットと言えます。
大げさな大きいアパート物件ではなかったとしても、特に小規模マルチファミリー(2、3、4戸建て)からスタートする場合、一戸建てと同じ種類のローンを受けることができます。
俗にアメリカではこのことを「ハウスハッキング」と呼びますが、自分が所有するマルチファミリーに自分で暮らすことで、生活コストそのものを大きく引き下げることが出来るのです。
同時に一戸建て物件と同じく
「住居用物件枠でのモーゲージローン組み」
が可能になると同時に、他のユニットの賃貸収入をモーゲージローン返済原資としてカウントすることができ、融資審査もそれだけ有利に運べるのです。
マルチファミリー物件について、明日に続けます。