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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
世界中の誰もが知るとおり、米国のシリコンバレー銀行がChapter 11(チャプター・イレブン)と呼ばれる連邦倒産法第11章の手続きを開始しました。
Chapter 11(チャプター・イレブン)の特徴は
- 再建型倒産処理手続きが主な内容
- 債務者自らが債務整理案を作成
- 債務者主導の再建が可能
とされる、倒産手続きです。
シリコンバレーの事実上の倒産の要因については各種メディアで報じられているとおりですが、
- シリコンバレー銀行とシグネチャーバンクの破綻
- スイス国立銀行がUBSのクレディ・スイス買収を支援したこと
- ファースト・リパブリック銀行の株価が70%以上下落し、全体的に銀行株が打撃を受けたこと
といった一連の動きが同時に見えていることで、あらゆる投資家が行く先の不透明さに戦々恐々としています。
率直に、世の多くの人々が
「あの2008年の世界金融危機の再来が始まった」
と考えているわけです。
世界経済を読み解くうえで、人類史に学ぶことは非常に大切です。
過去に学ぶことでよりたった今の出来事を深く読み取ると同時に、ここから先がどのように展開し得るのかの可能性を見立てることができます。
ただし歴史に学べるとはいえ、全ての人の判断と全ての環境が全く同じにならない限り全く同じ出来事は起こり得ません。
そして現状の危うさを過小評価しないことは大切ですが、けれども
「2008年の世界金融危機の再来か」
という切り口で語るのなら、少なくとも
「2008年のあの時と2023年の今とでは条件が大きく違い、単純に2つの事象を比較できない」
ということが言えます。
2つの相違点を簡単に挙げてみると
▼ リーマン・ブラザーズは投資銀行であり、シリコンバレー銀行とシグネチャーバンクは商業銀行
▼ サイズもかなり異なる
▼ シリコンバレー銀行はアメリカ史上2番目に大きな銀行破綻
▼ リーマン・ブラザーズの資産額は2008年に6000億ドル
▼ 15年間のインフレを調整すると、シリコンバレー銀行はリーマン・ブラザーズの20%程度のサイズ
です。
そして2008年と同様に騒がれているとはいえ、リーマン・ブラザーズとシリコンバレー銀行に混乱が起こった原因は全く異なっています。
リーマン・ブラザーズにとっては、未払いの高リスク住宅ローン(サブプライムローン)に紐づけられた、高レバレッジのデリバティブが原因でした。
その一方で、シリコンバレー銀行の資産は真っ当な債券であり、しかも最も安全な資産の一部とされていたものです。
結局のところ今回の騒ぎは何が原因であり、それはアメリカ不動産にどのような影響を及ぼし得るのでしょうか。
今回は当ブログの趣旨に沿って、シリコンバレー銀行破綻とそのアメリカ不動産市場への影響について見ていきましょう。
2つの銀行はなぜ破綻したのか
各種メディアで報道されているとおりですが、シリコンバレー銀行とシグネチャーバンクが破綻した最大要因となったのは
⇒ かつてないほど長期間に渡り低金利が続いたこと
⇒ 史上最も劇的な金利引き締めが実施されたこと
です。
FRBとしては急激なインフレを抑え込むべく、断続的に政策金利を上昇させ続けてきた経緯があります。
「金利を大きく引き上げなければ、物価高は止まらない」
これは世界中の誰もが納得することであり、短期的に痛みを感じながらも然るべき経済成長率に落ち着ける必要があります。
とはいえ、特にシリコンバレー銀行に関して言えば、経営陣は2021年にパウエル議長が述べた発言を信じていたような節があります。
当時のパウエル議長は
「インフレは一過性のものだろう」
と発言し、実際にシリコンバレー銀行の動きはその言葉を信じるかのようなものでした。
私(佐藤)自身は経済の専門家ではありませんが、経済学に関してプロではない当ブログの過去記事でもインフレが一過性のものではないことは指摘していますし、私(佐藤)などに言われずとも、世の誰もが一過性のものではないと理解していたはずです。
真実は
「シリコンバレー銀行経営陣がパウエル議長の言葉を信じた」
「信じようが信じまいが、それ以外に普段がなかった」
このどちらかは分かりませんが、2008年の金融危機以降、FRBは一貫して金利をゼロかそれに近い水準に保ってきました。
ようやく金利をわずかに上げ始めたと思ったら、今度はパンデミックに襲われ、FRBは再度金利を大きく引き下げました。
政府が複数の景気刺激策を通じて何兆ドルもの資金を経済に注入したにもかかわらず、FRBは2021年を通じてゼロ金利に近い状態を維持し続けたのです。
この時点で先のインフレの兆候は見えていましたし、すぐ先で(2022年以降の現実)ツケを支払うだろうことは誰もが分かっていたことです。
低金利は経済活動を活性化させ生産性を向上させますが、インフレや経済格差、そして特に重要なのは利回り追求による、あらゆる問題を引き起こすことに問題があります。
利回りを追求する場合、金利が非常に低い時にはどのような「無リスク」資産(マネーマーケット口座、国債など)であっても、リターンはほぼゼロに近くなるものです。
数字としては2021年、銀行では普通預金口座にお金を入れておくとで0.1%程度の雀の涙の利息がついていました。
マネーマーケット口座でも0.5%程度です。
そしてシリコンバレー銀行は、パンデミック期間に大ブームを巻き起こしたテック系スタートアップやシリコンバレー企業の御用達銀行でした。
実際のこの時期、シリコンバレー銀行の預金者数は大量に増加しています。
同行の預金額は
- 2018年に490億ドル
- 2020年に1020億ドル
- 2021年に1892億ドル
となり、ピークは1980億ドルにまで達しています。
そしてこの時のシリコンバレー銀行は決定的なミスは
「低金利の時期に利益を追求したこと」
でした(たられば論にすぎませんが)。
行動としては、シリコンバレー銀行は利回りを追い求めて加重平均利回り1.56%、期間10年超の住宅ローン担保証券を800億ドルも購入していたのです。
シリコンバレー銀行破綻とその影響について、明日に続けます。
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