こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日までに、アメリカ不動産価格の歴史的な推移を見てきました。
あくまでも平均的な価格の推移となりますが、

このような全体像を見るだけでも
「アメリカ不動産の価格は全体的に上昇基調にある」
ということが分かります。
その時々の経済状況、或いは
ドットコムバブル
不動産大暴落と世界金融危機
パンデミックアフターショック
等で価格調整が入ることはあるものの、ジワリジワリと上昇し続ける水面に浮かぶピンポン玉のように、一時的に水面下に足を引っ張られたとしても浮力で浮いてきてしまうのです。
投資(事業)である以上そこには一定のリスクがつきものですが、それでも先を見立てやすい上では随分と分かり易い資産カテゴリーに位置付けられることになります。
そこでたった今は全米全体として物件価格の調整期にあることは間違いなく、今の下落傾向が再び上昇基調に変わるとすれば、その大きな変化は
- モーゲージ金利の上昇が落ち着いた時
- その時の金利に人々が慣れた時
あたりから見られるのではないでしょうか。
後者の
「その時の金利に人々が慣れた時」
とはやや表現が曖昧ですが、人は環境に適応しようとする本能があります。
環境とは気候のような自然現象への順応もそうですし、経済状況への順応もあります。
日本の夏は湿度が高く、湿度の低い地域に暮らしている人々が日本で暮らし始めると
「この蒸し暑さは耐えられない」
と最初は思うものですが、それでも最終的に好き嫌いは変わらないにせよ、その気候に順応して快適に過ごそうと努めるものです。
翻ってモーゲージ金利も、過去のアメリカの住宅ローン金利の最高値は1981年に記録されています。
この時期は、高いインフレーション率や経済の不安定さによって金利が急上昇した時期であり、1981年に30年固定金利の住宅ローンの平均金利はなんと
約18.63%
にまで達しており、この記録は今日に至るまでアメリカの住宅ローン金利の最高水準とされています。
ではその時に物件は全く売れなかったのかといえば、そんなことはありません。
もちろん18.63%という高金利は住宅ローンの返済負担を増やし、多くの家族や個人が住宅購入を見送る結果となりました。
市場としては売り手市場から買い手市場へと変わったことがハッキリと記録されています。
また高金利によって住宅ローンの返済が困難になった借り手が増え、不動産の競売や差し押さえが増えるなど、住宅市場における混乱が生じたことも事実です。
けれども事実としては、それでもアメリカ不動産市場は動き続けたのです。
そしてたった今のモーゲージ金利は7.2%あたりです。
過去最高と比較すると、それでも半分以下の値です。
また過去最高と比較することは極端だとしても、過去数十年間のデータを基にすると、アメリカのモーゲージ金利の長期的な平均は約8%から9%とされています。
すなわち、たった今のモーゲージ金利は過去の平均にも及ばないのです。
そうするとここまでの動きはあくまでも
「モーゲージ金利が高くなった」
ではなく
「モーゲージ金利が然るべき水準に戻ってきた」
と言えるでしょうし、昨年3月までのボーナス期間が終了した直後にはギュッと縮んだイソギンチャクのように需要が引っ込んでいますが、時間と共に今の金利で市場が正常な動きに戻り始める可能性は十分にあると見ています。
価格が上昇する市場の気配
そこでここからはマクロからミクロに、地域市場毎に様子を見ていきたいと思います。
アメリカ不動産市場のデータ分析大家、Black Knightによると、本年に入り僅かながらも価格が上昇した地域市場は下記のとおりです。
前月比で価格が伸びている市場
市場(英名) | 市場(日名) | 前月比 |
Columbus, Ohio | オハイオ州コロンバス | 1.08% |
Dayton, Ohio | オハイオ州デイトン | 1.04% |
Hartford, Connecticut | コネチカット州ハートフォード | 1.04% |
Worcester, Massachusetts | マサチューセッツ州ウースター | 1.04% |
Youngstown, Ohio | オハイオ州ヤングスタウン | 0.98% |
Cleveland, Ohio | オハイオ州クリーブランド | 0.96% |
Cincinnati, Ohio | オハイオ州シンシナティ | 0.91% |
Akron, Ohio | オハイオ州アクロン | 0.91% |
Wichita, Kansas | カンザス州ウィチタ | 0.90% |
Toledo, Ohio | オハイオ州トレド | 0.88% |
ただし上記はあくまでも「前月比」の数字であることに注意しましょう。
月々の変動は常に変化する為、単体の数字に頼ることは出来ません。
その前提で上記の市場の中では人口だけで見ると、
Cleveland, Ohio オハイオ州クリーブランド
が最も多く、物件価格が上昇していることは頼もしく思えます。
近年の価格の推移を見てみると

このように推移しており、以外にもオハイオ州クリーブランドはパンデミック後の時期を順調に抜けていく可能性が見受けられます。
ただし、投資機会として私(佐藤)自身が頼もしく見ているのは、実は価格が下がり続けている都市です。
同前月比で価格が下がっている都市について、詳細をみてみましょう。
明日に続けます。
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