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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アパートコンプレックスの失敗例を取り上げています。
結論を述べると、今回の実例から取り出せる最大の学びは
「物事の成長には自然なスピードがある」
という本質ではないでしょうか。
自然界を見ても分かるように、種を上で土から芽を出し、花を咲かせるまでには時間がかかります。
適切な土壌と水を灌ぐ中で、全ての植物はそれこそ自然なスピードで育まれるものです。
同じように、人の成長にも然るべき適切なスピードがあるように思います。
目の前のことに全力を尽くし、常に最善を心がけることは素晴らしいことです。
けれども
成長すること = 見た目が変化すること
ではないでしょうし、目に見える変化がすぐには現れなかったとしても適切なスピードで成長していくことの方がよほど大切なように思います。
このことは個人の成長のみならず、法人としての成長もまた同じです。
とある高名な税理士さんが
「事業はゆっくりと成長させるくらいがちょうどいい」
と述べていたのを聞いたことがありますが、個人的にはこの意見に賛成です。
「トップスピードで成長していく」
とは聞こえが良いものですが、不自然なスピードで進めすぎてしまうとかなりの確率で歪が出てしまいます。
今回の実例ではガジャベリ氏のケースを取り上げていますが、
「不労所得のみで暮らせるようになりたい」
そんな想いには何ら非はないものの、昨日ご紹介したような派手さのみを強調する学習環境に身を置いたことは正しい選択ではなかったかもしれません。
「これこそ自分が求めていたものだ」
と一気に引き込まれたことは容易に想像がつきますし結局は本人の選択だと言われればそうなのですが、やはりホワイトベルトからブラックベルトへと何段も階段をスキップするような方法では、どこかに歪が出てしまうものです。
その様子は、下記に紹介するエピソードにも垣間見ることが出来ます。
その詳細を見ていきましょう。
市長も立ち入ったアパートコンプレックスの様子
かくしてガジャベリ氏はある高級会員制の不動産投資クラブで
「自分のお金をほどんと使わずに不動産資産を築き上げる」
という手法を学びます。
ここではその詳細は省きますが、日本語ではシンジケートと呼ばれる投資家から資金を集めて物件に投資する手法です。
多くの場合は自分自身も出資する場合があり、ガジャベリ氏自身はどれだけ出資していたのかは不明ですが、通常は90%以上は
投資家から集めた資金
融資資金
で運用が開始され、投資家達はその配当を受け取ることになるのです。
この場合のシンジケートは比較的小口で受け付けられていたようですが、中にはミリオン単位で出資していた個人もいた様子。
結果として総額で5億ドル以上の資金をもって7,000戸以上のサンベルト・アパートメント・ビルの運用が開始されていました。
ところがこの
「7,000戸以上のサンベルト・アパートメント・ビルの運用」
という聞こえは
「すごい!」
と思わせるところですが、実際の運用は非常にお粗末だったことが分かります。
2021年12月に投稿されたアップルズウェイ(ガジャベリ氏が設立した会社)の投資家向けビデオには、ティンバーリッジと呼ばれるヒューストンの704ユニットの集合住宅が紹介されていました。
アップルズウェイはその月にこの団地を5,670万ドルで購入し、家賃を引き上げ、洗濯機や屋根付きカーポートなどのテナント料を追加することで投資家のリターンを2倍以上にする計画を立てていたのです。
投資家達が見たビデオにはきらめくプールを囲むようにアパートが配置され、整然とした複合施設が映し出されていました。
ところが2022年の夏には、その同じプールの水は病的な緑色に変色していたといいます。
駐車場にはゴミの山が散乱し、ネズミやカビが発生し、違法な立ち退きを含めて物件管理者が建物を適切に維持管理していないことについて市当局に苦情を申し立てられています。
アップルズウェイの元アセット・マネージャー、キム・アレクサンダー氏によると、ガジャベリ氏は古いエアコンが故障しても新しいエアコンを買うことを拒否していたと言います。
アレクサンダー氏が証言するには、ガジャベリ氏は空室になっているアパートからエアコンのない部屋までその運んでいたというのです。
そして2022年7月、ついにヒューストン市長が物件を視察に訪れる事態となり、法的措置を取ることが発表されました。
「今、人々が住んでいる状況は非常に嘆かわしい」
とのターナーヒューストン市長の会見。
他の非営利団体職員も視察後に
「ここには私たちの誰も住みたいとは思わないでしょう。」
との感想を述べています。
ここまでで分かるとおり、ガジャベリ氏があるべき物件管理の方法を心から理解していたかと言えば、残念ながらそうではなかったようです。
事業である以上はボランティアではありませんし、まして投資家からお金を集めている以上はそこには大きな責任が発生します。
けれども上記のエピソードを知るだけでも、ガジャベリ氏が
物件を所有する者としてのテナントへの責任
投資からのリターン
のどちらに重きを置いていたかは一目瞭然です。
不動産資産を所有してかつその物件を賃貸に出すことはあらゆる方面に対して責任が生じることになりますが、
テナントへの責任
投資家への責任
このどちらを果たすべきかといえば、その答えは
「両方への責任を果たさねばならない」
です。
まずはテナントの安全を守り、適切な住環境を順守する。
その上で投資家への責任もきちんと果たす。
不動産投資にはそのようなバランス感覚が問われることになります。
けれども残念ながら、この失敗例は運が悪かったというよりも人災の側面が強いような気がするのです。
明日に続けます。
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