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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
マルチファミリー案件における数字の精査を進めています。
この段階ではNOI(Net Operating Income:純収益)の切り口から理解を深めんとしていますが、
NOI = 総収入 - 総支出
となる上で案件の資料上にあるNOIが正しいかを探るには、その因数となる総収入と総支出がそれぞれ、どれだけ正確に近いかを検証していくしかありません。
資料上に記載されている数字は、とりわけそれが売主側からもたらされたものであれば、そこにあるのは「盛られた数字」である可能性は高く、その数字がどれだけ正しいかを調べるのは自分の責任です。
これこそがDue diligence (デューディリジェンス)を行う意義であり、結果に対しては誰も責任を取ってくれませんから、一つひとつ掘り下げて論理的に正確に近い値を求めていくしかないことになります。
そこで昨日まではScheduled Gross Income(予定総収入)をスタート地点として
- 家賃の滞納
- ターンオーバー
- 家賃はどれくらい上昇しそうか
- Market Rent(市場家賃)はいくらか
といったポイントから振れ幅を見てきました。
結果として分かったのは
「当物件は市場平均家賃に近く、物件の商品力としてのこれ以上の賃料の伸びは鈍い」
「家賃上昇は地域市場の平均家賃上昇に伴う公算が高い」
ということでした。
地域市場の住に対する需要が十分に継続される点では満足できますが、年間の収入そのものが市場平均にほぼ並んでいるという意味では、急激な家賃の上昇はさほど見込めないことが分かります。
そこで今度は反対の因数、支出を見ていきましょう。
支出を見る
資料に出されているNOI(純収益)の正しさを推し量る上で
「出るを抑えて入るを増やす」
という商売の基本に基づくのならば、数字を精査する際には
どのような項目に対してどれだけの支出があるのか
総支出はどれくらいかかっているのか
を細かく見ていく必要があります。
手元の資料の中で支出項目と数字が記載されているページに着目し、それぞれを見ていくのです。
そこで今回使用している実例の中で支出項目について記載されているページを引用してみます。
Expense | Amount | Per Unit | Per Bldg. SF | % of SGI |
Property Taxes: | $180,656 | $6,022 | $5.17 | 16.71% |
Insurance: | $13,656 | $455 | $0.39 | 1.26% |
Utilities: | $36,120 | $1,204 | $1.03 | 3.34% |
Management Fee: | $32,100 | $1,070 | $0.92 | 2.97% |
Landscaping: | $7,800 | $260 | $0.22 | 0.72% |
Cleaning: | $6,000 | $200 | $0.17 | 0.56% |
Elevator: | $9,000 | $300 | $0.26 | 0.83% |
Alarm Monitoring: | $1,500 | $50 | $0.04 | 0.14% |
R&M: | $10,200 | $340 | $0.29 | 0.94% |
G&A: | $7,956 | $265 | $0.23 | 0.74% |
Advertising: | $3,000 | $100 | $0.09 | 0.28% |
Payroll: | $6,000 | $200 | $0.17 | 0.56% |
TOTAL OPERATING EXPENSE | $313,988 | $10,466.25 | $8.98 | 29.05% |
Expense Ratio: | 29.5% |
開示される情報は案件により違いがあるものの、上記は典型的な支出を示す表です。
項目としては
- Expense
- Amount
- Per Unit
- Per Bldg. SF
- % of SGI
と並んでおり、Amountには項目ごとの一年間の総支出合計が記載されています。
そこで支出の表を見る時に、ここでもざっくりと
「要は何なのか?」
というポイントを押させる上で大切な指数があります。
上の表の中で最も大切な指数は
「Expense Ratio(支出割合)」
です。
ここではExpense Ratio(支出割合)は29.5%とされていますが、この29.5%とは何の数字でしょうか。
よく見ると、右端の下にも同じく「% of SGI」の項目の合計が29.5%と記載されています。
そこでこの「% of SGI」という項目は何の意味かといえば、SGIは昨日までに総収入の精査で一番最初のスタート地点となった
Scheduled Gross Income(予定総収入)
のことです。
すなわちここで言う「% of SGI」とは「予定総収入の%を占める」という意味になります。
ということは一番上段のProperty Taxes(固定資産税)は16.71%となっていますから、
「固定資産税は予定総収入の16.71%を占めると見込まれる」
という予想がつくことになります。
それぞれの項目に対してこの支出割合が記載されており、その理解で見るとそれぞれの項目の数字の規模感が見えてくるというものです。
最も大きな割合支出は正にこの固定資産税であり、いかに固定資産税という固定費が支出の大きな割合を占めているかが分かります。
支出の精査について、明日に続けます。
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