こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
1~4戸の住居用物件に関わる控除についてお伝えしています。
不動産投資に対して資金を投じる場合、その方向性は
- 資産価値を高める
- 資産保全を図る
の二種類があります。
これを税金の側面から整理して考えると
資産価値の動き ⇒ Cost Basis(コスト ベイシス)の変動を観察しながらTax Shelter(タックス シェルター)で資産価値をコントロール
資産保全の動き ⇒ 適度にメンテナンスを施しながら健全なリターンを維持
となり、所得税については後者の資産保全の動き、言い換えると資産運用の過程でャッシュフローをコントロールすることが推奨されます。
そこで昨日は住居用物件の中でも自宅用物件について、その控除対象をお伝えしました。
自宅に使用している物件でも控除できる項目については案外知られていませんが、固定資産税や年間利息を始めとして、控除対象となるものはそれなりにあるものです。
これらの税制は住宅購入意欲を少しでも高める意図で仕掛けられており、それこそ固定資産税の高い物件では相応の控除が期待できることになります。
そして不動産投資家として把握しておくべきはもちろん、住居用物件のもう一つの使い方である賃貸物件の控除です。
賃貸物件は自宅物件よりも遥かに多く控除として許される項目が多く、このあたりは不動産運用を事業として見た時に、事業所得に対する控除のそれと考え方はほぼ同じです。
賃貸物件からの収入について期待できる控除について見ていきましょう。
賃貸物件の控除対象
所有者が収入を得る不動産に関しての税制は、多くの国々で特定の控除を許容しています。
これにはいくつかの理由があり、その一つは不動産投資を奨励し経済の成長をサポートするためです。
収入を得る不動産の所有者が所得税申告書で控除できる項目と、それがなぜ許されるのかの詳細をいくつか見てみます。
ローン利息
不動産を購入するためにローンやモーゲージを利用した場合、そのローンの利息は控除対象となることが多いです。
この点は自宅用物件も同じですが、不動産投資家にとっては資産を購入する際の金融的障壁を軽減し、更なる投資を促進することになります。
減価償却
不動産は時間とともに劣化し、その価値が減少することが一般的です。
この価値の減少を反映し、税制上の控除が許容されるのが減価償却ということになります。
これにより物件のメンテナンスや更新に関するコストの一部を補填することができます。
固定資産税
地方自治体や国に支払われる固定資産税やその他の税金も、所得税から控除することができます。
これは所有者が固定資産税と税金という、二重に課税されるのを防ぐ意味もあります。
保険
また不動産に関連する保険料も控除の対象となり得ます。
これには火災保険や賠償責任保険などが含まれ、投資家がリスクを管理し、財産を保護するためのコストを補助することになります。
管理費
物件の管理や運営に関連する費用も控除対象です。
これにはプロの物件管理会社に支払う費用や、テナントとの対応に関するコストなどが含まれます。
メンテナンス
物件の維持や修理にかかる費用も控除できます。
これは物件が賃貸可能な状態を維持するための必要経費と見なされるためです。
公共料金
水道、ガス、電気などの公共料金も控除対象となります。
控除負荷項目
反対に、空室損失に関しては控除できないとされています。
空室損失とは「空室で家賃収入がない」場合、その未収入分を損失とする考え方です。
考えてみれば実際の収入がないことが損失にならないことは当然ですが、実際に発生した損失ではなく潜在的な損失は控除対象にはなりません。
それとは別に、前払いの家賃については物件の所有者がそれを受け取った年に課税されます。
これは前払いされた家賃がその年に実際に収益として認識されるためです。
資産売却からの控除
そして収入を得る不動産、特に収益住宅の売却に伴う損失についての税制は多くの国や地域で独特な規定が存在します。
その基本的な考え方は、不動産投資家が経済的な損失を経験した場合、それを他の所得から控除できるというものです。
けれどもこのような控除には通常、特定の制限や条件が付与されることが一般的です。
この概念の解釈とその背後にある理由について、ポイントをいくつか見ていきましょう。
不動産の売却損失とその背景
不動産投資家が不動産を購入する際、投資家はその資産の価値が将来的に増加することを期待しています。
しかし市場の変動や経済的な条件あるいは物件自体の問題など、さまざまな理由で資産の価値が減少することもあり、このような状況では不動産投資家が物件をその減少した価格で売却する場合、原則として売却損失が生じることになります。
税制上の考慮
多くの税制では、このような売却損失を他の所得から控除することを許容しています。
これは不動産投資家が経済的困難に直面した場合のリスクを軽減するためであり、また投資家が今後の投資活動を続けるインセンティブを提供するためです。
けれどもこの控除には一定の制限が存在することが多いので注意が必要です。
控除制限について
一般的に売却損失を他の所得から控除する際の制限は、控除できる金額の上限や控除が適用される所得の種類など、さまざまな形で存在します。
これらは税収の損失を防ぎ、また制度の乱用を防止するための措置として導入されています。
このあたりのルールは地域市場によって違いがあり得ますので、公認会計士を始めとする専門家に確認するようにしましょう。