こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
本年の物件売買が本格化し始める前に、売り手と買い手の双方の視点からポイントをお伝えしています。
アメリカ不動産市場全体としては
「売り手市場でも買い手市場でもない」
と言われていますが、実際にはその実は
- 地域市場
- 立地
- 物件タイプ
により大きく変わってきます。
昨今は物件価格の高さから、特にミレニアム世代では
「家は高すぎて買うものではない」
「賃貸物件で十分」
とする流れから、特に一戸建てが立ち並ぶコミュニティは人気があります。
とはいえ、ミレニアム世代のトレンドとは別に中年層から上になると自分の好みに合った物件が出てきたのであれば隠れ需要が一気に表に出て、瞬発力よろしくオファーを入れてくるものです。
そこで本年に物件取得に動きたい方々にとっても十分にチャンスは巡ってくるはずですが、今の時期に売却を検討するにあたり切っても切れない要素はやはりモーゲージ金利です。
概ねひと昔前の平均的な水準に落ち着きつつあるとはいえ、今はまだ金利が高いとされる時期。
このような時期に物件購入を進めるべきか否か、モーゲージ金利の観点から検証してみましょう。
金利が下がるのを待ってから家を探し始めるべき?
今現在も多くの人々は住宅ローン金利が下がるまで待ってから市場に参入しようと考えています。
けれどもあまりに待ちすぎると、金利が高いときに購入した場合よりもコストがかかる可能性があるものです。
すなわち低い金利にこだわるあまり、ニーズに合った家を見つけることが難しくなり、競争に勝てずに購入機会を失う可能性があるということです。
表面上は、金利が下がるのを待つことは賢明な計画のように思えます。
けれども待つことが案外、コストにもなってしまうのです。
もし金利が7%から6%に下がれば、中価格帯の住宅の住宅ローン支払いで月額約221ドルの節約になります(ケース:420,000ドルの家に20%の頭金を払い、30年固定金利のローンを組む場合)。
金利が5%に下がれば、月額で430ドル以上の節約です。
けれども金利が下がった後に市場に参入することを考えている場合、同じことを考えているのは自分だけではないはず。
金利が半ポイントまたは1ポイント下がるたびに、より多くの購入希望者がPre-approval Letter(プリアプルーバル レター)を取得し、より大きなローンを組むことができるようになることは確実です。
ということは、限られた物件販売数に対して多くの競争者が現れる可能性が高い、ということです。
過去数年間で、私たちは需要が供給を上回ると何が起こるかを見てきました。
オファー競争が勃発し、価格が急騰し、初めての購入者が投資家や年配の購入者とオファー競争をして負けることはよくあります。
そうやって価格が吊り上がっていくと、高い物件価格は低い住宅ローンの金利による節約効果を打ち消すことになるのです。
率直に、今のままアメリカ経済の底力が保たれて予期せぬ災害がなければ、このような状況は再び発生すると思うのです。
低金利はより多くの家主が自宅を市場に出すことを促すかもしれませんが、それらの物件は購入希望者により急速に取り囲まれるでしょうし、皮肉なことに低い住宅ローン金利は需要が供給を上回る場合、特に住宅不足を悪化させる可能性があるわけです。
結局のところ、どんな物件が市場に出されても状態が良く、自分が暮らしたいエリアに立地し、適切に価格設定されていれば、パンデミックの時のように数日で売れることがあります。
初心者が心掛けるべきことは
このような金利の動きに付随したトリックについては、初めての購入者はとりわけ考慮する必要があります。
金利はすでに平均6.5%あたりに下がっており、ここからは多くの購入希望者が市場に出てくると予想されるからです。
もちろん免責をかねて添えると、現在の金利で安心して月々の支払いができない方々に無理に物件購入を奨励する意図はありません。
やっとのことで購入できる家を無理して購入することはお薦めできませんし、住宅所有はほとんどの初心者が想像するよりもずっと高額です。
突然高額な緊急事態が発生する可能性もあり、その時には発生する可能性のあるあらゆる事態に対応できるよう、口座には十分な資金を確保しておくことが重要です。
そして未だ家を購入できない人には貯金を続け、収入を増やす方法を探し、より小さな家や安価なエリアにある物件を検討することも考えられます。
反対に今日の金利で購入できる人にとっては、市場に出ているものを見始める良いタイミングかもしれません。
そしてここからの金利下落の局面においては今日購入して後に金利が1ポイントまたは2ポイント下がった場合、住宅ローンの借り換えを検討することも出来ます。
もちろんリファイナンシングには数千ドルかかることもありますが、金利がどれだけ下がったかによって家主が大幅にコストを節約できる可能性があるものです。
金利が下がるのを待っても、今から物件オーナーになる準備をしておけば、いざ市場が活発になったときに有利に立ち回れるはずです。
頭金をできるだけ貯金し、クレジットスコアを改善し、レンダーが自分の申込書をより好意的に見るように、明らかにコントロールできる範囲のより大きなローンを組むために準備と整えるとよいのではないでしょうか。