物件管理の前知識：保険とリスク管理

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

物件管理の前知識として

• 賃貸市場の理解
• 入居者のスクリーニング
• リース契約
• 物件のメンテナンスと修理
• 法律遵守
• 財務管理
• テナントとのコミュニケーション
• 空室率の管理
• 保険とリスク管理
• 投資のパフォーマンス分析

の項目をお伝えしています。

ごく最近、アメリカ不動産投資家を悩ませている問題の一つに保険があります。

物件を運用する上で保険は必須ですが、その保険料が近年大きく値上がりしているのです。

原因はパンデミック以降の急激なインフレに伴う

人件費増加

材料費増加

といった、保険会社が負担せねばならない費用が爆上がりしていることが上げられます。

とはいえ物件を運用する上で保険は必須である以上、これまで以上に保険内容を見直していく必要があります。

本項ではこの物件運用のサポートツールとも言える、保険とそのリスク管理について見ていきましょう。

保険とリスク管理

アメリカの不動産投資における保険とリスク管理は、投資家が直面する潜在的な損失やリスクから資産を守るための重要な要素です。

この分野では物理的な被害（火災や自然災害など）から賃貸者による損害、さらには賠償責任のリスクまで、さまざまな形のリスクが存在します。

これらのリスクに対処するため、投資家は通常、様々な種類の保険を利用します。

例えば物件保険は火災や洪水などの自然災害による損害をカバーし、賠償責任保険は訴訟リスク（例えば、財産上の事故による訴訟）に対応します。

また収入損失保険は、災害やその他の不可抗力により賃貸収入が途絶えた場合の金銭的損失を補償します。

そしてリスク管理には物件の定期的なメンテナンスやアップグレード、テナントの選定とスクリーニングなど、保険以外の方法も含まれます。

これらの手段を通じて投資家はリスクを最小限に抑え、長期的な利益を最大化することを目指します。

ここでは保険に関して知っておきたい前知識を見ていきましょう。

保険が値上がる理由

近年、アメリカの不動産市場における保険料の急激な上昇には、複数の相互に関連する要因が寄与しています。

まず気候変動により自然災害が増加し、特にハリケーン、洪水、火災などのリスクが高まっています。

これらの災害は保険会社にとって大きな負担となり、その結果、保険料が上昇する傾向にあるのです。

そして建築費用の上昇も重要な要因です。

建築材料と労働コストの増加は不動産の再建コストを押し上げ、保険会社はこれらの高コストを保険料に反映させる必要があります。

また保険市場の硬直化も影響しています。

市場が硬直化するにつれて保険会社はリスクの再評価を行い、それに応じて保険料を調整しています。

これには不動産価格の上昇やリスク評価の変更が含まれることになります。

さらに実をいうと、不動産価格の高騰も保険料上昇の要因となっています。

不動産価格が上昇すると保険の対象となる資産価値も増加し、保険会社はより大きなリスクをカバーする必要が生じます。

また保険の総保険価値を低く申告することで節約しようとする不動産投資家の行為も、市場全体の保険料の上昇に影響を及ぼしています。

これらの要因が組み合わさることで、アメリカの不動産市場における保険料は急激に上昇しているのです。

保険を比較

そこで今のアメリカの不動産市場で保険を複数比較する際には、いくつかの重要なコツを押さえることが必要です。

まず異なる保険会社の提供するポリシーの詳細を慎重に検討するようにしましょう。

これにはカバーされるリスクの種類、保険の限度額、免責額、保険料のコストなどが含まれますが、同時に自然災害などの特定のリスクに対するカバレッジの範囲を詳細に比較することも重要です。

そして保険会社の財務状況や評判を調査し、信頼できる保険会社から選ぶことも考えられ、これは将来的に保険金請求が発生した際の支払い能力と顧客サービスの品質を保証するために必要なものです。

かつ、そのポリシーの柔軟性にも注目し、将来的に不動産の価値が変動した際や追加的なリスクが生じた場合に、保険を調整できるかどうかを確認することが望ましいと思います。

これらの要素を押さえた上で、複数の保険見積もりを取り、価格とカバレッジを慎重に比較検討するようにしましょう。

そしてもちろん、専門家のアドバイスを求めることも有効です。

保険ブローカーや不動産専門の弁護士などの専門家は複雑な保険の選択肢を理解し、あなたの特定のニーズに最適な保険ポリシーを見つける大きな支援者になり得ます。

これらのコツを活用することで、アメリカの不動産市場において適切かつコスト効率の高い保険を選択することが可能になるのです。

保険を活用したリスク管理

ここまでのポイントを押さえた上で、保険を活用したリスク管理は特に不動産投資の分野において非常に重要な戦略です。

不動産投資では様々なリスクが存在しますが、保険を適切に利用することでこれらのリスクを効果的に軽減し、投資の安全性を高めることができます。

まず、保険は予期せぬ損害や損失からの金銭的保護を提供します。

自然災害、火災、水害、盗難、訴訟など、不動産に関連する多くのリスクに対処するために設計されています。

たとえば火災保険は建物が火事で損傷した場合の損失をカバーし、洪水保険は洪水による損害を補償します。

これらの保険は、損害が発生した際に再建や修復費用を賄うために不可欠です。

そして賃貸物件を所有している場合、入居者が負傷したり、財産が損害を受けたりした場合の責任リスクを保険でカバーすることができます。

責任保険は訴訟による費用や賠償金に対する保護を提供し、資産の保全に寄与するので確実に必要です。

また保険はリスク分散の手段としても機能します。

複数の不動産に投資する際、各物件に適切な保険をかけることで特定の物件に集中するリスクを軽減できるのです。

これにより、一つの災害が全体の投資に与える影響を最小限に抑えることが可能となります。

さらに、保険は投資家にとって信頼性のある安全網を提供します。

保険に加入していることで投資家は潜在的なリスクに対して安心感を持ち、より大胆な投資戦略を取ることができるかもしれません。

これにより、リスクとリターンのバランスを適切に管理しながら、投資ポートフォリオを成長させることができます。

かくして保険もまたアメリカ不動産投資において重要な要素の一つですので、しっかりと使い方をマスターするように心がけていきましょう。