アメリカ不動産がもたらす市場価値

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

アメリカ不動産入門の伏線として、基本的な項目についてシリーズでお伝えしています。

基本項目とはいえ多少踏み込んではいますが、ピラミッドの底辺を埋める上で最低限のものに留めておきたいと思います。

そしてアメリカ不動産を所有する時、案外語られることのない項目に

「アメリカ不動産が市場にもたらす価値」

があります。

資本主義社会において繁栄が約束されるのは、「資本に紐づいた価値をもたらす時」です。

不動産資産で分かりやすいのは

１．世の人々に住環境を与える、もしくは職場環境を与える

２．その対価として家賃収入が入る

という、「場の提供」という資本に紐づいた価値があります。

けれどもアメリカ不動産が世に与えるインパクトというのは、住環境や職場環境の提供のみに留まりません。

それ以上に、多くの目に見えない価値を世にもたらしているのです。

そのあたりの流れをおぼろげながらも知っておくと、

「アメリカ不動産は保有するに足る」

という確信と自信が増してくるものです。

ここでは、アメリカ不動産が市場にもたらすインパクトについて外枠を見ていきましょう。

アメリカ不動産が市場にもたらす価値

経済活動の促進

アメリカの不動産市場は経済活動を大きく促進する役割を担っており、その最も顕著な例は建設業の活性化です。

新しい住宅や商業施設の建設は、建築家、工事業者、材料供給業者を含む多くの関連産業に直接的な仕事を提供し、それによって地域経済に大きな影響を与えます。

このようなプロジェクトは、設計から建設、そして管理まで多岐にわたる労働力を必要とし、それは経済全体の雇用創出に寄与するだけでなく、さまざまな技能や専門知識を有する人々に仕事を提供することで、職業訓練やキャリア開発の機会も生み出すものです。

また、建設された不動産が使用されることで、さらなるビジネスチャンスが生まれ、地域コミュニティの成長と発展に貢献しています。

このように、不動産市場は単に物理的な空間を創出するだけでなく、経済活動を推進し、雇用を生み出し、地域社会の活性化に大きく寄与しているわけです。

税収の確保

また、不動産市場は税収の確保において重要な役割を果たしています。

具体的には、不動産の取引や所有に伴う税金が地方自治体の財政を支える主要な収入源となっています。

例えば、アメリカでは不動産の売買時に発生する資本利得税や取引に伴う手数料が州や地方自治体の収益となります。

さらに不動産の所有者は、その物件の価値に基づいた固定資産税を年間にわたって支払う必要があり、これは公共教育、警察、消防、公園、その他の地域社会のインフラやサービスを支える貴重な収入源となります。

加えて、不動産開発プロジェクトはしばしば地域の再開発や新しい商業施設の建設につながり、これが新たな事業所得税や販売税の形で地方自治体の税収を増やします。

このように、不動産市場が生み出す税収は地域の公共サービスの質を高め、より良い生活環境を提供するために不可欠な役割を担っているのです。

金融市場への影響

そして不動産市場は金融市場にも深い影響を及ぼしています。

この市場は特に、住宅ローン市場を通じて金融セクターに大きく影響し、不動産価格の動向は金融市場の安定性に直結しています。

例えば、住宅価格の上昇は、住宅ローンに対する貸し出し増加につながり、これは銀行やその他の金融機関の資産ポートフォリオに重要な影響を与えます。

また、不動産価格の大幅な変動は金融市場に波及し、2008年の金融危機のように大規模な経済的混乱を引き起こす可能性があります。

この危機では、不動産市場の崩壊が住宅ローン証券の価値低下を招き、多くの金融機関が大きな損失を被りました。

さらに、不動産市場は金融政策にも影響を与え、連邦準備制度（Fed）などの中央銀行が利率を調整する際の重要な考慮事項となっています。

住宅市場の健全性は、金融機関のリスク管理、政策立案者の金融政策決定、投資家の市場行動にまで広範な影響を与えるため、金融市場の健全性と直接的に連動しているのです。

都市開発と再生

最後に、不動産市場は都市開発と再生において中心的な役割を果たしています。

例えば、廃れた地区や未開発地域に新しい商業施設や住宅が建設されると、その地域は活性化し、経済的および社会的に再生されます。

ニューヨーク市のブルックリンやサンフランシスコのソーマ（South of Market）地区の変貌は、このような再生の顕著な例です。

これらの地域では、放置された工業施設や倉庫が改修され、住宅、オフィス、小売店へと変わりました。

このような開発は、新しいビジネスの誘致と就職機会の創出を促し、さらには地域社会の機能向上に寄与します。

また、不動産開発は、公共の場の創出、インフラの改善、さらには文化的なランドマークの構築を促進することで、都市の顔と機能を一新し、市民の生活品質を高める効果をもたらします。

これらの変化は、長期的には地域の物件価値の上昇と経済の活性化に結びつき、持続可能な都市成長と社会的な繁栄を支える基盤となるのです。

。。。

かくして、アメリカ不動産市場は

「住環境と職場環境を提供する」

以外にも、市場に大きなインパクトをもたらす存在であることは、押さえておきましょう。

だからこそ、アメリカ不動産への投資は手堅いのです。