こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
先日、起業しているアメリカ人の友人と飲みながら話していた時のこと、ふと彼のビジネスの話になりました。
今年はとりわけ調子が良いようで、ホクホクの笑顔で終始話をする彼。
ふと、
「(カリフォルニア州の法人税を避けるため)テキサス州のような、州への法人税が免除される地域に移転は考えないの?」
と聞いたところ、唸りながらも
「州への法人税が免除されたとしても、結局は他の部分で出費がかさむんだよね」
と実に真っ当な答えを伝えてきました。
日本人にも有名な例としては、北米トヨタの本社がカリフォルニア州トーランスからテキサス州プレイノ市に移転した例がありますが、全米では
アラスカ州
フロリダ州
ネバダ州
サウスダコタ州
テキサス州
ワシントン州
ワイオミング州
ニューハンプシャー州(特定の投資収入に対して税金が課される場合があります)
テネシー州(特定の投資収入に対して税金が課される場合があります)
この9つの州が
「州への法人税を避けられる」
として知られています。
この中でもテキサス州のような、全米から優秀な人材を集める仕掛けづくりに長けた場所では人口が勢いよく伸びていることは周知のとおり。
少なくとも州に対しては法人税を支払う必要がないのであれば、それだけ会社にはキャッシュが蓄えられることになります。
けれども前述の知人が言うように、法人税がかからなかったとしても、他で高額な負担を強いられることはよくあるのです。
例えばテキサス州は
「固定資産税が高い」
ことで知られています。
また固定資産税以外にも
売上税(Sales Tax):テキサス州では売上税が比較的高く、州の売上税率に加えて、地方自治体による追加の売上税が課されることが一般的でこれにより、商品やサービスの消費に対する税負担が増加。
使用税(Use Tax):これは、州外から購入した商品に対して支払う必要がある税金で、通常、売上税と同じ税率が適用。
特別課税(Special Assessments):特定の地域で提供される特定のサービスや施設のために追加で課される税金があり、例えば、地域の開発やインフラ整備に関連する費用などがこれに含まれる。
事業許可料やライセンス料(Business Permits and Licensing Fees):特定の業種や活動を行うために必要な許可やライセンスの取得に伴う費用。
といったものが、大きな負担となるのです。
これらの税金や料金は、法人税の代わりとして必ずしも直接的に設定されているわけではありませんが、州の収入を支えるための重要な要素となっていることは間違いありません。
そうすると、単純に「法人税がかからない」というだけでは、お金の支出がないとは言い切れないわけですが、そうすると
「固定資産税のみならず、その他の税負担も含めて、全体的に税金が安い州」
はどこなのでしょうか。
このことはあらゆる経営者にとって有益な情報になるかと思いますが、不動産投資家としても法人設立の際の検討事項として把握しておきましょう。
包括的に税負担の低い州
結論からいえば、所得税がない9つの州の中でも6つの州が、全体的な税負担が最も低い10州のリストに含まれています。
ランクで見ると、下記の順です。
アラスカ州:全国で50番目に低い税負担(すなわち、国内で最も税負担が低い)
ワイオミング州:48番目に低い税負担
フロリダ州:47番目に低い税負担
テネシー州:46番目に低い税負担
サウスダコタ州:44番目に低い税負担
ネバダ州:41番目に低い税負担
つまり、これらの州は所得税がないにもかかわらず、他の種類の税が比較的低いため、税負担が全国で見ても低いということです。
数字が大きいほど税負担が低く、アラスカは全米で最も税負担が低い、ということになります。
ちなみに、この包括的な税負担が低い州の順番には驚きの要素も見受けられます。
例えば国内で7番目に高い所得税負担を持つデラウェア州は、比較的低い売上税と財産税のおかげで、全体的な税負担では第45位に位置しています。
また州所得税のないはずのテキサス州は平均的な州税負担7.56%となり、総合結果は中間的な第37位にランクされています。
ということは、
「テキサス州に引越すことはかなり有利」
「トヨタやテスラは大正解」
という神話は必ずしも正解ではないことになります。
そして個人所得税のない最後の州であるワシントン州は、税負担8.04%でさらに悪く、第29位にランクです。
ニューヨーク州は国内で州税が最も高い州として第1位にランクされ、平均税負担はなんと12.02%です。
このエンパイア州に続くのはハワイ(11.8%)、バーモント(11.12%)、メイン(10.74%)、カリフォルニア(10.4%)です。
税金がトップ10に入った他の北東部の州には、コネチカット(第6位)、ニュージャージー(第9位)、ロードアイランド(第10位)が含まれます。
中西部からは、ミネソタ州とイリノイ州もランクされ、それぞれ第7位と第8位です。
ちなみにこの統計によると、噂で聞く
「共和党寄りの州では、平均的に税負担が低い」
という傾向は確かに、数字的にも当てはまるようです。
前回の大統領選挙での投票によって定義されるレッドステートは、平均税負担ランクが30.84で、平均ブルーステートランク20.08よりもリストで低い位置にあるのです。
。。。
かくして、経営者のみならず不動産投資家としても、これらの州別の傾向については押さえておきましょう。