こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日まで
GDPの成長
人口増加
を軸に、全米を包括的に見ていきました。
テキサス州
フロリダ州
といった市場の不動産物件は米国内でも定評があり、昨日までに見た数字はそれを物語っています。
モーゲージ金利は徐々に下がりつつあるとはいえ、米国市民の認識は
「金利は高い」
という感覚は抜けていません。
けれども圧倒的な物件数の少なさから、物件価格そのものは値下がりの様子を見せていないのです。
ここからカリフォルニア州に視点を移してみたいと思いますが、2024年のカリフォルニア不動産市場は内外のさまざまな要因によって大きな変動を見せています。
カリフォルニア州不動産協会は出した最近の統計によると、金利の上昇が市場にどのような影響を与えているのか、そして消費者の需要がどのように変化しているのかがよく見えてきます。
言っても、GDPでは全米No.1のカリフォルニア市場です。
カリフォルニア州は、全米でも特に重要な不動産市場を持つ州であり、その動向は他の州や国際市場にも大きな影響を及ぼします。
そして過去数年間、カリフォルニアは高い住宅価格、急速な経済成長、そして多様な人口動態の変化に直面してきました。
けれども2023年以降、急激な金利の上昇が市場に新たな課題をもたらしています。
今回はカリフォルニア州不動産協会が取りまとめた資料を元に、カリフォルニア不動産市場の現状をより体系的に捉えてみましょう。
今のカリフォルニア不動産市場の概要
カリフォルニア不動産市場は、アメリカ合衆国の中でも最も動的で多様性に富んだ市場の一つです。
その市場動向は、国内外の経済状況、政策、人口動態など多岐にわたる要因に影響されます。
2023年のカリフォルニア不動産市場では住宅価格の上昇が顕著でした。

上の住宅価格推移のグラフにあるとおり、2023年8月のカリフォルニア州の中位住宅価格は85万9千ドルに達し、前年同月比で3.0%の増加を示しています。
住宅価格の上昇は、経済成長と住宅需要の高まりを反映するものです。
けれどもこの価格上昇は一方で、住宅購入の手頃さを著しく低下させていることも事実。
多くのカリフォルニア州民にとって住宅購入はますます難しくなっており、特に初めて住宅を購入する若年層にとっては大きな障害となっていることが分かります。
事実、資料のデータによれば、2023年のカリフォルニア州の住宅購入可能性指数(Housing Affordability Index)は17%で、これは過去最低の水準です。
そしてここまでの金利の上昇は、住宅市場に直接的かつ広範な影響を及ぼしてきました。

上の金利推移のグラフにあるとおり」、2023年の平均30年固定金利(30-Year Fixed Rate Mortgage)は7.19%に達しており、歴史的に見ても非常に高い水準です。
高金利は住宅ローンの月々の返済額を増加させるため、多くの消費者が住宅購入を控える要因となっています。
かつカリフォルニアの住宅市場におけるもう一つの大きな課題は、住宅供給の不足です。
2023年8月のカリフォルニア州の未販売住宅在庫指数は2.4ヶ月であり、前年同月の2.8ヶ月から減少しています。
この在庫不足が住宅価格のさらなる上昇を引き起こし、消費者にとっての購入難易度を一層高めているわけです。
成長し続けるカリフォルニア州経済
その一方でカリフォルニア州の経済は引き続き成長を続けており、雇用状況も比較的堅調です。
非農業部門の雇用は増加傾向にあり、失業率も全国平均と同程度に抑えられています。
これにより住宅需要が高い水準で維持されていますが、供給の不足と高金利がこれにブレーキをかけている構図となります。
同時に消費者の動向も市場に大きな影響を与えています。
カリフォルニア州では住宅所有の希望が依然として高く、多くの消費者が将来的に住宅を購入したいと考えているのです。
2023年の調査では回答者の82%が将来的に住宅を所有したいと回答。
けれども高金利と住宅価格の上昇がその実現を難しくしているのです。
このような背景から、カリフォルニア州政府は住宅の手頃さを改善するための様々な政策を検討していることになります。
例えば新たな住宅供給を促進するためのインセンティブや、住宅ローンの利子控除の拡大などがそれです。
ただしこれらの政策は一定の効果を上げていますが、住宅価格と金利の上昇を完全に相殺するには至っていません。
。。。
かくして、さわりを語るだけでもカリフォルニア不動産市場の長期的な展望については様々な要因が絡み合っていることが分かるのではないでしょうか。
リモートワークの普及は都市部から郊外への移住を促進し、特定の地域に新たな住宅需要を生み出しています。
また住宅のリノベーションや増築が増加しており、既存住宅の価値向上にも寄与。
多くの住宅所有者が長期にわたって同じ住宅に住み続ける傾向が強まっているのです。
かくも高金利時代のカリフォルニア不動産市場は、多くの課題と機会に満ちています。
住宅価格の上昇、金利の高止まり、供給不足という厳しい環境の中でも消費者の需要は依然として高く、政策改善の余地が残されているわけです。
カリフォルニア市場の今について、もう少し深堀していきましょう。
明日に続けます。
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