昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
高金利時代のカリフォルニア州不動産市場についてお伝えしています。
カリフォルニア州の不動産市場の現状を理解するには、「住宅所有の需要とトレンド」という視点から見ていくことが重要です。
この州では過去数十年で多くの変化があり、様々な要因が市場に影響を与えています。
ご存知のとおり、カリフォルニア州は全米でも特に住宅価格が高騰しているエリアとして知られています。
実際に住宅所有率も全国平均と比べて低い傾向にあるのです。
2020年のアメリカ国勢調査によると、カリフォルニア州の住宅所有率は54.6%で、全国平均の65.8%を下回っています。
このことは間違いなく、高い住宅価格や生活費、特にベイエリアやロサンゼルスといった都市圏での影響が大きいことが要因です。
それに加え、カリフォルニア州の住宅価格は近年急激に上昇しました。
Zillowのデータによると、2023年時点での州全体の中間住宅価格は約70万ドルに達したとのこと。
これは全米平均の約37万ドルと比較してほぼ2倍であり、この原因としては
高い需要と供給の不足:カリフォルニア州の主要都市圏では、人口増加と経済発展に伴い住宅の需要が急増しましたが、新築住宅の供給が追いついていない。
経済的要因: テクノロジー産業の発展やエンターテインメント産業の集積が特定の地域に高所得者層を集中させている。
地理的制約: カリフォルニア州は海岸線に位置しており、開発可能な土地が限られているため、価格上昇に繋がっている。
ということが言えます。
そして住宅ローン金利の変動は、住宅市場に直接的な影響を与えます。
2020年からのパンデミック期間中、FRBが金利を引き下げたことで、住宅ローン金利も大幅に低下しました。
この低金利環境は多くのバイヤーにとって購入の好機となり、住宅市場の需要を押し上げたのです。
けれども2023年に入ってからはインフレーションの懸念から金利が再び上昇し始めており、同時にここから徐々に金利が落ち着く上で、やはり相対的な需要は変わらないことが予想されます。
ここである意味、時効になった案件を一つ紹介しますが、
上の物件はつい最近、私(佐藤)のクライアントが狙っていた物件です。
市場に出てきてすぐに知らせていたのですが、クライアントがファイナンシング購入に際しオファー時に提出が必要となるプリアプルーバルレターを取り寄せている間に、なんと数日で契約に入ってしまったのでした。
理由は簡単で、
優れた学区
安全な地域
に立地する物件は特に人気があり、需要に対する供給の少なさから、複数のオファーが入るのです。
テクノロジーとリモートワークの影響
また近年、テクノロジーの進化とリモートワークの普及が住宅市場に新たなトレンドを生み出しています。
パンデミック以降、多くの企業がリモートワークを継続する方針を採用し、従業員は高額な都市部を離れ、より手頃な郊外や他州への移住を選ぶケースが増えました。
この結果、都市部での住宅需要は一時的に緩和されましたが、郊外地域や他州での需要が増加するという現象が見られました。
このことは投資の勢いも加速させつつあります。
いっても、カリフォルニア州は国内外の投資家にとっても魅力的な市場です。
特に中国や日本などのアジア圏からの投資も活発で、これが住宅価格の上昇を後押ししています。
カリフォルニア州政府のデータによれば、2010年代半ばから後半にかけて外国人バイヤーの購入額は年間数十億ドル規模に達しているとのこと。
これらの投資は主にロサンゼルスやサンフランシスコといった主要都市圏に集中しています。
住宅政策と未来の展望
そのような背景の中、カリフォルニア州政府は高騰する住宅価格と低い住宅所有率に対処するため、様々な政策を実施しています。
住宅供給の増加を目指した規制緩和や、低所得者向け住宅の建設促進などがその一例ですが、2022年には州政府が約20億ドルを投じて、住宅供給の拡大とホームレス問題の解決を図る計画を発表しました。
近い将来にはこれらの政策が効果を発揮し、市場の安定化に寄与することが期待されます。
またテクノロジーの進化や働き方の多様化により、新たな住宅需要の形態が出現する可能性もあるのではないでしょうか。
例えばリモートワークの継続に伴い都市部から離れた地域での住宅需要が増加し、全体の価格抑制につながるかもしれません。
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最後に、間近のカリフォルニア州の住宅市場に関する主要な統計データを記載しておきます。
住宅価格: 2023年の中間住宅価格は約70万ドル
住宅所有率: 2020年時点で54.6%
住宅供給: 新築住宅の着工件数は年間約10万戸
住宅ローン金利: 2021年には約3%、2023年には約4.5%に上昇
これらのデータはカリフォルニア州の住宅市場の現状を如実に物語っているのではないでしょうか。
すなわち高額な住宅価格と低い住宅所有率の中、高い需要の中にも供給が少ない現状は、今後も州政府や市場関係者にとって大きな課題となるはずです。
かくして、カリフォルニア州という大きな船は不動産市場においてもそのダイナミズムが続いていくことが伺えるのではないでしょうか。
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