こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカでの投資機会全般について、特別企画としてお伝えしています。
今回は、ヘッジファンドとファンド・オブ・ヘッジファンズ(FOF)についてです。
「ヘッジファンド」
とはよく聞く言葉ですが、そもそもがヘッジファンドとは何か、という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
簡単にいえば、ヘッジファンドとは
「高リスク高リターンを追求しつつも、資本を守ることを目指す投資ファンド」
の一種です。
アメリカの場合、ヘッジファンドは通常「有限責任組合(Limited Partnership)」の形態で運営され、投資家は100人以下に制限されています。
「なぜ100人以下なのか?」
と思われるかもしれませんが、これはSEC(証券取引委員会)の登録義務を免除するためです。
けれどもSECへの登録義務がないため、ヘッジファンドは透明性が低いという特徴があります。
例えば、ミューチュアルファンドの場合は投資家に提出される目論見書(プロスペクタス)が非常に詳細で、SECにも提出される義務があります。
けれどもヘッジファンドではプライベートプレースメント覚書と呼ばれる簡略版の書類が使われ、内容は必要最低限です。
この違いが、ヘッジファンドの性質をよく表しています。
具体的な特徴を見ていきましょう。
ヘッジファンドの特徴
まずヘッジファンドが採用する投資戦略は、通常の投資信託よりもリスクが高いのが特徴です。
例えば、次のような戦略が用いられます。
- レバレッジの活用:借り入れを活用して資金を増やす。
- 空売り:株価が下がることで利益を得る手法。
- 「デリバティブ(オプションや先物)」の利用。
こうした戦略を聞くと
「これではただ危険な投資ではないか?」
と思われるかもしれません。
けれどもヘッジファンドの本来の目的は、市場環境にかかわらずプラスのリターンを追求し、資本を守ることにあります。
リスクを取ることで、安定した利益を目指しているのです。
報酬体系
続いて報酬体系についていきましょう。
ヘッジファンドの典型的な手数料体系は、「2と20」と呼ばれるものです。
- 管理手数料:年間運用資産の2%
- パフォーマンス手数料:利益の20%
例えば、年間リターンが10%であればそのうちの20%(つまり2%)がファンドマネージャーの報酬となるわけです。
「少し高すぎるのでは?」と思うかもしれませんが、パフォーマンス手数料は利益を上げた場合のみ発生する仕組みです(それでも高いことは事実)。
また、一部のファンドではハードルレートが設定され、例えば4%を超えた場合にのみ手数料が発生するという条件もあります。
流動性とロックアップ期間
そして、ヘッジファンドの投資にはロックアップ期間という概念があります。
これは一定期間(例えば1年)、資金の引き出しが制限される仕組みです。
これによりファンドが安定した運用を行える一方で、投資家にとっては資金が拘束されるリスクがあります。
このように、ヘッジファンドは流動性が低い投資であると言えます。
とはいえ、ヘッジファンドは基本的に機関投資家や認定投資家(高額資産を持つ個人)向けです。
通常、最低投資額は50万ドルから100万ドルで、一部では2500万ドルを求められることもあります。
このような高額な基準があるため、ヘッジファンドは限られた投資家層のみが利用できる投資手段となります。
ファンド・オブ・ヘッジファンズ(FOF)
そうすると
「ヘッジファンドは高額すぎて手が出せない」
と思うところです。
そこで登場するのが「ファンド・オブ・ヘッジファンズ(FOF)」です。
FOFは複数のヘッジファンドに分散投資する仕組みのファンドで、最低投資額が2500ドル程度と低く、一般投資家にも手が届く仕組みです。
また、分散投資によりリスクを軽減できるメリットもあります。
とはいえ、FOFにも注意点があります。
それは、コストの高さです。
FOFには、含まれるヘッジファンドの手数料(例:2と20)に加えて、FOF自体の運営費用もかかります。
そのため投資家にとっての実質的なコスト負担が大きくなる場合が多いのです。
また、FOFを通じてヘッジファンドに投資しても、流動性の問題は解決されません。
ヘッジファンド自体のロックアップ期間や償還要件がそのまま適用されるため、短期間で資金を引き出すのは難しいのです。
。。。
かくして、ヘッジファンド系をまとめると
- ヘッジファンドの特徴:リスクが高く、透明性が低い。
- 報酬体系:「2と20」の仕組み。
- 投資適合性:機関投資家や認定投資家向けで、一般投資家には適していない。
- FOFの特徴:分散投資や低額投資のメリットがある一方で、コストと流動性に課題がある。
となります。
ヘッジファンドやFOFは、投資の選択肢として非常に魅力的ですが、その特性やリスクを理解することが極めて大切です。
「高リスク高リターン」と聞くと夢が広がるかもしれませんが、具体的な仕組みやコストを知ることで、より現実的な判断力を身につけるようにしましょう。
明日に続けます。
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