こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
特別企画として、アメリカ不動産全般についてお伝えしています。
今日は初心者向けに「直接投資プログラム(DPPs、Direct Participation Programs)」についてです。
DPPsは不動産やエネルギー、リース事業など、特定のビジネスへの投資を通じて利益を得る仕組みで、通常の株式投資とは少し異なる特徴を持っています。
基本的な仕組みを簡単に言えば、これらのプログラムではビジネスの経済的成果(とどのつまり利益や損失)が投資家に直接流れるようになっているのです。
この仕組みを「フロー・スルー」と言い、これにより法人レベルの課税を回避することも可能となります。
要するに、ビジネスの利益や損失が直接投資家個人の所得として計上されるわけです。
たとえば、DPPを通じてある不動産プロジェクトに投資したとします。
その不動産が利益を出せば、その利益が直接あなたに分配されます。
その一方で損失が出た場合、その損失も投資家の税務申告に反映されます。
ただしこの損失は「受動的損失」とみなされ、他の受動的所得(DPPや賃貸不動産などからの不労所得)に対してのみ控除できる、というのがルールです。
ここでいう「受動的」とは、いわゆる不労所得のことです。
受動的所得や損失とは投資家がそのビジネスに直接的に関与せず、運営の責任を負わない場合に適用される分類になります。
そこでDPPの場合、一般的にビジネス運営はジェネラルパートナー(General Partner)が担当し、投資家はリミテッドパートナー(Limited Partner:限定責任のパートナー)として参加します。
リミテッドパートナーとしての最大損失額は自分で投資した金額と未払いの出資義務の範囲内に限られるため、個人の資産が危険にさらされる心配はありません。
DPPsの具体例
そのようなDPPsにはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的な例をいくつか挙げてみます。
- 不動産パートナーシップ (Real Estate Partnerships) —商業用不動産や住宅用不動産への投資が含まれます。例えば、アパートやショッピングモールの開発・運営などが典型的な例です。
- エネルギー・リソースパートナーシップ (Oil and Gas Partnerships) —石油や天然ガスの探査、採掘、または生産を目的としたプログラムです。たとえば、新しい埋蔵地を探す「調査型」や、既存の埋蔵地での生産を拡大する「生産型」などがあります。
- 機器リースプログラム (Equipment Leasing Programs) —高価な機器(航空機や建設機械など)を購入し、それを企業にリースして収益を得るモデルです。
- 農業・家畜パートナーシップ (Agriculture and Livestock Partnerships) —農業や家畜の生産・販売を支援する投資です。たとえば、農場運営資金への出資が該当します。
- 映画・エンターテイメントパートナーシップ (Entertainment Partnerships) —映画やテレビ番組、ミュージカルの制作資金を提供するための投資です。
- インフラ・公益事業パートナーシップ (Infrastructure Partnerships) —高速道路や発電所などのインフラプロジェクトへの投資です。
よくある疑問
このように見ていくと、公には分からずともかなり多くのDPP投資が存在していることが分かります。
ちなみに
「DPPに投資している場合、債権者が投資家に直接請求することはない」
とはどういう意味なのかといえば、DPPが負う債務や未払い金がある場合でも、リミテッドパートナーである投資家個人に対して直接返済を求めることはできない、という意味です。
リミテッドパートナーの責任は投資した金額と未払いの出資義務に限定されているため、個人資産にまで請求が及ぶことは通常ありません。
ただし例外として、投資家が運営に積極的に関与した場合には責任が拡大する場合もあります。
。。。
かくして、直接投資プログラム(DPPs、Direct Participation Programs)は通常の株式投資とは異なるユニークな投資機会となります。
私(佐藤)自身はDPPの中でも不動産関連(主に商業施設)によくクライアント様方を案内していますが、自分は出資のみで運用はプロが代行してくれますから、実に時間も加味した費用対効果が高いものです。
受動的所得・損失として扱われるため、税務面でのメリットがある一方でリスクも存在しますが、その仕組みや特性をしっかりと理解した上で、リスク許容度や投資目標に合ったプログラムを選ぶことで、資産形成は着実に進んでいくと思います。
明日に続けます。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。