こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
1月中旬、アメリカの30年固定金利の住宅ローンが再び7%を超えたというニュースを耳にした方も多いと思います。
この金利は2021年末には3%未満だったことを考えると改めてその水準に近づいてほしいものですが、6%台に落ち着いてきたかと思いきや、再び7%台に。
本項の時点では6.9%あたりをウロチョロしています。
ここにきて、なぜ再び大きく金利が上がったのでしょうか。
そして、これから金利が下がる可能性はあるのでしょうか。
本項では初心者の方にも分かりやすく、現在の状況とその背景、そして金利が下がるための条件についてみていきましょう。
住宅ローン金利の現状(2025年1月)
現在、30年固定金利の住宅ローンは7%を超えた後に6.9%前後にあります。
言わずもがな、2021年末の3%未満からの大きな変化です。
昨年までに一度6%台まで下がっていたものが、再び7%台を超えたということです。
専門家によると、この金利が6%を下回るのは2026年以降になる可能性が高いとのこと。
つまり、しばらくの間、高い金利が続くと考えられています。
そして高金利に加えて住宅価格も上昇しているため、多くの方にとって住宅購入のハードルが高くなっています。
なぜ金利が再び上昇した理由
住宅ローン金利が上がった理由の一つは、10年米国債の利回りが上昇したことです。
従来、アメリカのモーゲージ金利は10年米国債をベンチマークにしているきらいがあります。
住宅ローン金利はFRB(連邦準備制度理事会)の基準金利よりも、この10年米国債の利回りに影響を受けやすいのです。
そして1月にはこの利回りが4.6%に達し、9月の3.6%から急激に上昇しています。
この利回りの上昇には、トランプ元大統領の政策がインフレを引き起こすのではないかという投資家の懸念が影響していると考えられています。
同時にまた、2023年の地域銀行危機により、融資基準が厳しくなったことも金利上昇の要因とされています。
金利が下がるための条件
そこで一般市民としては当然金利が下がり始めることを期待したいところですが、金利が下がり始めるためにはいくつかの要素が必要です。
例えば、
- インフレの抑制
インフレ率が安定して低下すれば、10年物米国債の利回りも下がる可能性があります。
インフレが続く限り、投資家はより高い利回りを求めるため、金利が下がることは難しくなります。
- 経済成長の減速
経済が減速すると、住宅市場や消費全体への需要が減少し、金利が緩和される可能性があります。
- FRBの金融政策
FRBが基準金利を引き下げ、さらに量的緩和を進めることで、住宅ローン金利にも下方圧力がかかることが期待されます。
- 市場の安定化
地域銀行危機のような金融市場の不安要素が解消されると、貸し手のリスクプレミアムが低下し、金利も下がる可能性があります。
これらの要素が現れたとすれば、相対的に金利が下がる方向に動く可能性は高いと見られています。
金利上昇の影響
そこで実際にモーゲージを組む立場にとっては、どのような影響が考えられるのでしょうか。
例えば30年固定金利で30万ドルの住宅ローンを組む場合、5%の金利では月々の返済額が約1,610ドルですが、7%になると約1,996ドルとなり、400ドル近く増えます。
ちょっとした金利の違いが毎月の支出に大きな影響を与えるため、金利の動向を見ながら、物件購入には慎重な判断が必要となるわけです。
このような状況下で、住宅を購入するべきかどうか悩む方も多いと思います。
結論だけ先にいえば、今の時期はもう少し様子見の方がよいかもしれません。
余程の理由がないのであれば様子見の方がよいと思いますが、どうしても購入を検討せねばならない場合、下のような2つのポイントを参考にしてください。
- 大きな頭金を用意する
頭金を多めに用意することで、住宅ローンの借入額を減らし、毎月の返済額を抑えることができます。
- 変動金利を検討する
お薦めはできませんが、短期間で返済する予定がある場合は固定金利よりも低い変動金利を選ぶことで、現在の高金利を回避できる可能性があります。
けれども変動金利は将来の金利上昇リスクも考慮する必要がありますので、より慎重な検討が必要です。
- 今は賃貸を続ける
それでも難しければ無理に住宅を購入せず、賃貸で生活を続ける選択肢も一つです。
その間に頭金を貯めたり、将来の市場状況を見極めるのでよいのではないでしょうか。
。。。
かくして、住宅ローン金利が高止まりしている現在、住宅購入は慎重な判断が必要になるかと思います。
金利が下がるためにはインフレの抑制や市場の安定化といった条件が必要であり、すぐに実現するのは難しいかもしれません。
そこでどうしても購入の必要があれば大きな頭金の用意や賃貸生活の継続など、自分に合った選択をすることが大切です。
ただし、金利が下がるのを待つのも一つの手ですが、その間に住宅価格がさらに上昇する可能性もあります。
それゆえに、予想される価格上昇も踏まえた上で結局はどちらを取るべきか、慎重に判断した方がよいと思うのです。
引き続き市場の動きを理解しながら、賢い選択を心がけていきましょう。
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