こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
もし「家を売ろう!」と思った瞬間に買い手が見つかったら、誰でも「やった!ラッキー!」と思いますよね。
わざわざ不動産ポータルに掲載したり、オープンハウスを開いたり、内覧対応をしたりする必要がない……なんだか手間が省けそうで、お得感があります。
ですが、実はそう単純でもありません。
アメリカの不動産情報サイトの記事では、
「買い手を自力で見つけたとしても、まだまだゴールまでのマラソンが残っているので、不動産エージェントが必要になることが多い」
と強調されています。
今日は、その理由をわかりやすくまとめてみました。
口約束は危険!法律面の整備が必要
買い手から「この価格で買いたいんだけどどうかな?」なんて口頭で言われ、「よし、話がまとまった!」と思う人も多いでしょう。
けれども、不動産の売買では口頭(ヴァーバル)オファーは法的拘束力を持ちません。
不動産売買には「売買契約書」や「重要事項説明」、「ローン特約の有無」など、地域や州によって異なる書類や条件が必要になります。
ここが素人にはとてもハードルが高い部分。
書類を間違えて作成したり抜け落ちがあったりすると、後々のトラブルになりかねません。
エージェントはこうした法的に必要な書類をきちんと整え、
「誰が何をいつまでにやるか」
を明確に定めてくれます。
また、買い手の手付金(アーネストマネー)の受け取り方やエスクロー口座の扱いなども、売り手を守るために不可欠な仕組みです。
万が一買い手が途中で逃げても、手付金をそのまま返さずに済む場合があるのはこの仕組みのおかげですね。
売却価格だけではない、“契約条件”の調整
買い手さえ決まればあとは価格の合意だけ……と思うかもしれませんが、不動産売却にはさまざまな条件(条項)がついてきます。
- 売却に含まれる家具・家電は?
- 買い手がローンを組めるかどうかの条件(ローン特約)
- 引き渡しのタイミング、追加で必要な修繕の範囲
- アプリ査定(評価額)の結果に基づく再交渉
これらの条件を曖昧なままにしておくと、後々「こんな話は聞いてなかった!」という揉め事に発展しかねません
エージェントは契約書に必要事項をしっかり明記し、売り手・買い手の双方が納得した状態で契約に進めるよう調整をします。
もちろん
「もう買い手と直で話してるから、仲介手数料分は自分たちで得したい」
と思う気持ちもわかります。
けれども売却手続きは想像以上に長く、かつ途中で何度も“想定外”が起こるもの。
- 住宅ローン審査で買い手がつまずく
- 物件検査(ホームインスペクション)で思わぬ不備が見つかる
- アプリ査定に納得できない買い手が値引き交渉を始める
- タイトな締め切りや平日しか動けない各種専門家との日程調整
こうした状況で、売り手と買い手が直接連絡を取り合いながら一つひとつ交渉するのは、精神的にも時間的にも大きな負担です。
その点、不動産エージェントは多くのケースを経験しており、問題が起きてもスムーズに解決策を提案してくれます。
仲介手数料は交渉可能
そしてアメリカでは、仲介手数料(コミッション)は法律で定められておらず、エージェントと自由に交渉ができます。
例えば記事では「家が25万ドル(約3000万円)で売れる場合、6%の手数料なら1万5千ドル(約180万円)になる」と説明されていますが、実際には「自分で買い手を見つけてきた」ケースでは、仲介手数料が下がることもあります。
エージェントには遠慮せず、
- 通常の売却業務(広告やオープンハウスなど)はほぼ省けるのでは?
- 自分で見つけた買い手なので、エージェントに支払う手数料を減額できないか?
といった交渉を試みる価値は十分にあります。
売り手と買い手が直接コミュニケーションをとると、意見の食い違いがそのまま感情的なトラブルに発展することがあります。
「悪気はなかったのにうまく伝わらなかった」
ということも珍しくありません。
エージェントが間に入ることで、プロの客観的視点や交渉ノウハウが活きてきます。
意図しない感情の衝突をやわらげる“クッション”として機能してもらえるだけでも、十分に価値があるものではないでしょうか。
。。。
かくして、物件売却にあたり買い手を自力で見つけることに成功した方も、ここからが本当の“マラソン”です。
法的手続き、契約書の作成、条件交渉、そしてクロージングまでの調整など、エージェントが担う役割はまだまだ山のように残っています。
仲介手数料はエージェントと交渉しながら柔軟に進めつつ、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに取引を終えるためにも、専門家の力を借りるメリットは大いにあるというのが結論です。
ちなみに、
「そうはいっても、FSBOをもって手数料を極小化したい」
という売主を対象に、弊社では疑似FSBOとなる、FSBOサービスも請け負っています。
売り手と買い手の直接交渉を軸にしつつも、専門家のサポートを得たいという方は、そのようなサービスを検討してみてください。
結果的に手間も時間も節約でき、安心感も得られるはずです。
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