こんにちは。 アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今回はアメリカ住宅市場の「頭金事情」について、最新のデータを元に見ていきましょう。
2024年12月時点で、アメリカの典型的な住宅購入者が支払う頭金は、物件価格の16%となっています。
前年の15%から僅かに増加した形で、金額にすると平均約63,000ドル(約900万円)。
前年比7.5%増の約4,000ドルの上昇で、この背景には住宅価格の上昇があります。
住宅価格が上昇すると頭金の額も増えるため、この傾向はごく自然な流れと言えます。
具体的には、2024年12月のアメリカの住宅中央値は約428,000ドル(約6,100万円)で、前年から6.3%上昇しました。
かつてコロナ禍の住宅購入ラッシュがあった2021年頃は、超低金利(3%以下)のため頭金の割合が急激に増えましたが、現在の頭金割合の増加はそれとは異なる理由です。
現在の住宅ローン金利は約7%と高止まりしており、購入者は毎月の支払いを抑えるため、可能な限り多めの頭金を入れる傾向があります。
ただし、大きな頭金が必ずしも最適な選択とは限りません。
あるシニアエコノミストによると
「現在は買い手優位の市場が増えているため、必ずしも多額の頭金を支払う必要はない」
とのこと。
実際、住宅を現金一括で購入する人の割合は、昨年の34%から約31%に減少しました。
これは金利が一時期のピーク(約8%)から若干下がり、6~7%に安定したことや、投資家の購入が減ったことが理由です。
また住宅ローンの種類別で見ると、FHAローンを利用する購入者は約15%、VAローンを利用する購入者は約7%です。
FHAローンは低所得者や初めて住宅を購入する方に人気があり、通常3.5%程度の低い頭金で済む政府保証付きローン。
VAローンは軍関係者向けで頭金がほぼ不要です。
特に価格が高騰する中、頭金を低く抑えたい層にはFHAローンが再び注目されていることになります。
そこで各都市ごとの頭金やローン利用状況を詳しく見ると以下のようになっています。
【アメリカ主要都市10位 頭金・住宅ローン利用状況(2024年12月)】
都市名 | 頭金割合(%) | 頭金の中央値(ドル) | 現金購入率(%) | FHAローン利用率(%) | VAローン利用率(%) |
---|---|---|---|---|---|
アナハイム, CA | 25.0% | 284,650 | 28.6% | 5.0% | 2.0% |
アトランタ, GA | 10.0% | 37,500 | 31.7% | 18.8% | 6.5% |
ボルティモア, MD | 8.5% | 28,400 | 37.0% | 18.0% | 8.8% |
シャーロット, NC | 14.1% | 50,000 | 33.7% | 13.1% | 6.5% |
シカゴ, IL | 10.1% | 37,500 | 25.9% | 14.3% | 3.1% |
シンシナティ, OH | 10.0% | 32,500 | 34.6% | 15.2% | 5.3% |
クリーブランド, OH | 10.0% | 20,000 | 46.0% | 17.5% | 5.8% |
コロンバス, OH | 10.0% | 34,000 | 27.7% | 13.4% | 6.6% |
デンバー, CO | 15.0% | 84,427 | 27.1% | 15.4% | 6.7% |
デトロイト, MI | 6.5% | 14,795 | 39.0% | 20.6% | 4.3% |
特に頭金の割合が高いのはサンフランシスコ(26.4%)、次いでアナハイムとサンノゼ(共に25%)と、カリフォルニア州の都市が目立ちます。
一方、頭金の割合が低いのはバージニアビーチ(3%)、デトロイト(6.5%)、ボルティモア(8.5%)です。
FHAローンはリバーサイド(25.4%)やプロビデンス(25.1%)で特に人気があり、逆にカリフォルニアのサンフランシスコ(2.1%)、サンノゼ(2.2%)では非常に少ない状況です。
軍関係者向けVAローンは、軍事施設が多いバージニアビーチ(39%)で特に普及しています。
現金購入率が最も高いのはウェストパームビーチ(50.4%)で、これは富裕層や退職者が多い地域特性が影響しています。
。。。
かくして、アメリカの住宅市場は地域によって頭金やローンタイプの利用状況が大きく異なります。
購入検討中の方は、無理な頭金よりも将来的なリフォームや投資の余力を残すなど、自身のライフスタイルに合った戦略を立てることが大切だろうと思います。
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