こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産投資家にとって影響が大きい、FHAローンの居住要件に関する最新情報をお届けします。
2025年3月26日、アメリカ住宅都市開発省(HUD)はFHAローンに関する居住要件を大幅に改定しました。
具体的には、「非永住者(non-permanent residents)」が今後、FHAが保証する住宅ローンの対象外となります。
今回の改定は連邦政府がアメリカ国民の財政的利益を最優先し、政府保証ローンプログラムの健全性を確保するための措置です。
HUDによると、非永住者は移民法の制限によりアメリカ国内での長期滞在や安定した就業が不透明なため、ローン返済能力にリスクが伴うと判断したとのこと。
この改定に伴い、FHAのSingle Family Title IおよびTitle IIプログラムから「非永住者」カテゴリは完全に削除されます。
実施時期については2025年5月25日以降に発行されるFHAケースナンバーから完全適用されるようですが、即時適用も可能となっています。
より厳密には、この改定の背景にはHUD長官スコット・ターナー氏と国土安全保障省(DHS)長官クリスティ・ノエム氏が締結した「アメリカ人のための住宅プログラムに関する覚書(American Housing Programs for American Citizens MOU)」があります。
この覚書はアメリカ国民の税金が不法移民に流用されることを防ぐために作られたもので、特に住宅支援分野における連邦資金の適正利用を目指すものです。
現在、アメリカ国内の約59%の不法移民世帯が福祉プログラムを利用しており、年間約420億ドルもの費用がかかっています。
また、公営住宅や助成住宅の居住者約900万人に対して適切な情報共有がなされておらず、資格の確認が十分に行われていない問題がありました。
バイデン政権下では不法移民が公的住宅を利用できないようにするため、州や自治体レベルでの法整備が進められてきましたが、今回のHUDの措置はその流れを一層強化するものとなりそうです。
この改定が不動産投資家に与える影響を考えると、特に外国籍の顧客や非永住者をターゲットにしてきた不動産市場や物件への投資戦略には再検討が必要ということになります。
またFHAローン利用層が限られることから、短期的には住宅購入者数が減少し、特定の市場で一時的な需要低下が見込まれる可能性もあります。
その一方で長期的に見ると住宅ローンの返済安定性が向上ことはあるかもしれません。
今後の動向をしっかり見据え、引き続き市場の動きを見極めながら柔軟な対応を心がけていきましょう。
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