投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。
こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
最近、ニュージャージー州で「エミネントドメイン(Eminent Domain)」という言葉が注目されています。
エミネントドメインとは、政府が公共事業などの目的で民間所有地を強制的に取得する権限のこおtです。
けれども現在ニュージャージー州で起きているエミネントドメインの使われ方は、これまでの常識を覆すような事例が多発しているようです。
特に話題となっているのが、Toms Riverという街でのケースです。
この町の市長は160年の歴史を持つ教会を取り壊し、跡地にピックルボールのコートや公園を建設するため、エミネントドメインを使って土地を没収しようとしています。
もともとこの教会の土地にはホームレスのためのシェルターが建設される計画がありました。
教会側の弁護士はこの措置を憲法違反であり、宗教の自由への侵害だとして強く非難しています。
地元住民の間でも意見は真っ二つです。
新しい公園を歓迎する声もあれば、長年地域のシンボルとなってきた教会を守りたいという声も強まっています。
さらに問題を複雑にしているのが、州全域でこうした事例が相次いでいることです。
たとえば、Cranbury Townshipでは、175年もの歴史を持つ家族経営の農場がエミネントドメインで強制収用されようとしています。
その目的は低所得者向けの住宅を建設することですが、この農場は周囲を倉庫街に囲まれており、住宅として適した環境とは言い難い状況です。
さらに驚くべきことに、この土地は過去10年で開発業者から2000万ドルから3000万ドルという高額のオファーを受けていました。
農場主がこれを拒否し続けてきた結果、今度は地元政府がエミネントドメインを用いて土地を収用しようとしているわけです。
アメリカ合衆国農務長官もこの問題に強い関心を示し、家族経営の農場を守るための措置を取ることを表明しています。
ではなぜ、ニュージャージー州ではこのように頻繁にエミネントドメインが行使されるようになったのでしょうか。
その背景にはニュージャージー州独自の「再開発法(Redevelopment Law)」があります。
この法律により、民間の土地が別の民間の開発業者へと簡単に移転できる仕組みが整っているのです。
また「Quick Take」という制度も大きな要因となっています。
この制度の下では、政府が土地の所有権を取得するためには裁判所に初期の提示価格を供託するだけでよく、迅速に土地の所有権を取得できる仕組みが整っています。
要するに、裁判が終了する前でも政府はプロジェクトを進められるため、土地所有者が法的な措置を取るに必要とされる時間がない場合もあるのです。
ちなみに、ニュージャージー州は2035年までに14万6000戸以上の低所得者向け住宅を供給する義務があります。
これは州の最高裁判所が定めた「マウントローレル・ドクトリン(Mount Laurel Doctrine)」という方針に基づくものです。
従来この再開発法は公平で効率的に低所得者向け住宅を整備することが目的ですが、実際には貴重な歴史的財産や地域のシンボルを犠牲にするケースが頻発している様子。
その一方でこうしたエミネントドメインに抵抗し、土地を守り抜いた成功例もあります。
モンマス郡では民間空港が地元政府のエミネントドメインによる収用計画に対し、法的に勝利しました。
空港オーナーはこれにより土地を守るための多額の弁護士費用を回避し、その資金を空港のアップグレードに投資することが可能になったほどです。
こうした事例を見ると、エミネントドメインによる収用を回避するためには法律に精通した専門家の支援を受けることが不可欠なのは間違いありません。
特に土地所有者の権利を保護するためには地元政府の真の目的を見極め、迅速かつ戦略的な行動を取ることが必要です。
結局のところニュージャージー州でのエミネントドメインの多発は、州の法律や制度の活用法が原因となっています。
土地をめぐる権利と公共の利益、このバランスをどう保つのか。
ニュージャージー州で繰り広げられるエミネントドメインの動きは、全米で同様の問題を抱える他の州にも大きな影響を与える可能性がありそうです。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。