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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカの住宅市場ははっきりと二つに割れているようです。
高所得層の買い手と売り手は依然として選択肢が多く余裕をもって取引を進められる一方で、一般の家庭は限られた選択肢と上昇し続けるコストに苦しんでいます。
この分断は、まさに「K字型経済」と呼ばれる2025年の現実そのものを映しているかのよう。
経済がショックを受けたあと、一部の層だけが急速に回復し(Kの上向きの線)、その一方で多くの人々が取り残されていく(下向きの線)。
このK字型の分岐が、いま住宅市場にもっとも明確に現れているのです。
富裕層の余裕
上位層の売り手は、まさに「時間を買う」ことができます。
複数の不動産を所有し、キャッシュフローに余裕があるため、最良の買い手が現れるまで待つことができる。
反対に一般の家庭は「売ってから買う」という流れが必要なため、次の住まいの購入を急ぐ中で価格を下げざるを得ないケースが多いのです。
リスティングが増えて価格がやや落ち着いてきたとはいえ、その恩恵を受けられるのは上位層のみ。
Realtor.comのデータによると、ラグジュアリー住宅市場では価格の調整がわずか0.5%にとどまり、販売期間も79日と、中央値の62日と比べても大きな差はありません。
要するに上位市場は「冷え込んではいるが、止まってはいない」のです。
特にカリフォルニア州サンタバーバラやコネチカット州ブリッジポートなど、富裕層が集まる都市では、200万ドル以上の物件の約半数がキャッシュで取引されています。
資金力そのものが、今の住宅市場における最大の「優位性」になっていると言えます。
下層に押し寄せるリスク
その一方で、所得下位層の家庭はかつてないほど厳しい状況に置かれています。
住宅価格の下落が始まった都市が全米の5分の1に達しているにもかかわらず、購入希望者が増えていません。
その理由はシンプルで、住宅購入にかかるコストが収入の伸びをはるかに上回っているからです。
エスクロー関連の費用は過去5年間で45%増加し、実質的な住宅ローンの支払いは72%も上昇しています。
たとえ住宅価格が一部で下がっても、金利や保険、税金の上昇によって「支払い総額」は減っていないのです。
さらに調査によると、主要100都市のうち4分の3が依然として「過大評価」された状態。
供給が少し増えても、一般層には手が届かない市場が続いています。
見かけ上は「買えるチャンスが広がっている」ように見えても、実際にはその扉は固く閉ざされたままなのです。
消えゆくミドルクラス
K字型経済の最大の問題は、「中間層の空洞化」です。
1970年代には成人の約6割が中間層に属していましたが、2020年代には半分にまで減少しました。
収入の上位層と下位層の格差が拡大し、もはや経済全体が「上位層の支出」に依存している状況です。
特にニューヨーク・マンハッタンでは、その傾向が顕著です。
2025年第2四半期のデータによると住宅取引の69%がキャッシュ購入で、ローンを前提とした契約は過去10年で2番目に少ない水準。
富裕層が市場を動かし、その他の層が取り残される。
その構図は、まさにK字の上下を象徴しています。
もし上位層の消費が止まったら
この不均衡な構造の最大のリスクは、「上位層頼みの経済が、もし減速したらどうなるか」という点にあります。
アメリカ経済は富裕層の信頼と支出意欲の上に成り立っている一方で、株式市場の調整や金利再上昇などが起これば、その支出も一気に冷え込む可能性が高いのです。
そうなれば中間層はすでに脆弱で、下層は余力がなく、経済を支える層が消える。
住宅市場は「国民の信頼指数」を映す鏡とも言われますが、いまのそれは限られた層の余裕を映すだけになっている歪な構造。
かつては住宅市場の動きが国全体の景気回復を後押ししました。
けれども今は一部の層だけが上昇し、残りの大多数が取り残される形。
この「K字型の分岐」が続く限り、住宅市場が本当の意味で回復することはありません。
アメリカの住宅市場は今、経済格差の最前線に立っています。
上位層がどこまで支え続けるのか。
そして、その支えが揺らいだとき、残された市場はどこへ向かうのか。
その答えが見え始めたのが、この2025年だったのかもしれません。
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