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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
「売るか、持ち続けるか」
は投資家にとって最大級の意思決定です。
結論から言うと、最適解は「目先の現金需要」と「長期の複利」を同じ土俵で数値化し、税金と再投資先まで含めて比較した人だけが勝ちます。
金利がやや低下し在庫が依然として薄く、買い手の熱量が戻りつつある今は、売却に傾きやすい時期です。
けれども、
「売ってから何に入れるのか」
が曖昧なままの売却は、戦略ではなく撤退に近い動きです。
投資顧問の世界では
「広く分散された株式インデックスの実質リターンが年率7%〜10%、住宅価格の上昇は3%〜4%」
という統計的な比較がよく用いられます。
この相対差を聞くと、多くの人が「なら売って株へ」と短絡しがちです。
けれどもその判断は必ず「今の手取り利回り」と「借入条件」と「税後キャッシュフロー」で分解してから判断した方がよいと思います。
例えば、現在価値$500,000の賃貸を持ち、経費と空室控除も含めて年間の手残りが$20,000なら現況利回りは4%です。
4%という数字だけを切り取ると物足りなく感じますが、元本の一部は家賃で返済が進み、見えない複利が積み上がっています。
その一方売却してキャピタルゲイン税を払い、残った現金を株式に回せば日々の手間は減り、期待リターンは理論上は高まります。
どちらが正しいかは、
「今、現金をどれほど必要としているか」
で分岐します。
学費、事業資金、住宅購入など明確な目的があれば、タイムラインに沿って売却→再配置は合理的です。
目的が曖昧で
「とりあえず利回りが低いから」
という理由なら、もう一段深く数字で検証しましょう。
検証の第一歩は、税前ではなく「税後」で比較することです。
長期譲渡の税率は所得で変わり、多くの投資家は15%〜20%のレンジに入ります。
減価償却の取り崩しも別建てで課税されるため、単純なゲイン税だけで見積もらない方がよいです。
売却か否かを判断する計算式
概算の考え方はシンプルです。
売値−(取得価額−累計償却)=課税ゲイン
ここに長期譲渡税と減価償却回収税を乗せ、加えて州税も積みます。
手取りの売却益が出たら、次に
「どこへ、どのコストで、どのボラティリティを受け入れて」
再投資するのかを決めます。
株式インデックスはコストも低く、流動性も高く、税効率も改善されています。
けれども、価格変動は日々のメンタルコストを要求します。
不動産の強みは毎月の賃料という「私的年金」を作れる点と、インフレ局面で家賃が上がりやすい点にあります。
さらにレバレッジを適切に使えば、自己資本リターンは物件利回り以上になり得ます。
高金利局面で固定3%台のローンを抱えている人は、そのローン自体が価値資産でもあります。
同じキャッシュフローを再現しようとして今の金利で買い直すと、条件が悪化してしまう可能性が高いからです。
結果として「安い長期固定を保っている既存物件」は、売ると再取得が難しい希少資産という視点も忘れない方がよいと思います。
一方的な「株>不動産」でも「不動産>株」でもなく、バランスシートにおける最適配合を探ることが本質です。
判断フレームワークで見てみる
次に、具体的な判断フレームを見てみましょう。
1.今後3年の現金需要を洗い出し、必要現金と期日を明確化します。
2.物件ごとに「税後手残り利回り(Net Cash Yield after tax)」と「ローン償還による純資産増加」を合算し、実効的な総合リターンを出します。
3.売却した場合の「税後手取り額」と、それを株式や短期T-Billに投じた場合の想定レンジ(ベースケース、弱気、強気)を並べます。
4.保有を続ける場合の「賃料改定シナリオ」と「修繕資本支出(CapEx)計画」を保守的に織り込みます。
5.管理負荷とストレスのコストを現金換算して加点・減点します。
この五つを同じ表で比較すると、感情ではなく数字が意思決定を導けるのです。
ここで、ありがちな二つのケースを考えます。
ケースAは、単身で相続先も限定的、かつ大家業を楽しめない投資家です。
この場合は「一部売却→一部保有」で、分散とストレス軽減の両立が現実解になります。
二戸持っているなら一戸を売却し、株式インデックスや短期国債に振り分け、もう一戸は賃料改定と運営最適化で実効リターンを底上げします。
ケースBは、定年期に入り可処分所得の安定を重視する投資家です。
この場合はデットサービスカバレッジと空室耐性を高め、固定費を下げ、現金クッションを厚くしたうえで保有が有利になりやすいです。
税務面では、1031エクスチェンジが「売りたいけれど税を繰延したい」人の橋渡しになります。
より高い収益物件やメンテの軽いアセットタイプへ組み替える際に有効です。
けれども、タイムラインの制約と同種資産の要件が厳密なので事前設計とプロの伴走が必須です。
そしてもう一つの選択肢は、キャッシュアウト・リファイナンスです。
金利が許すなら売らずに一部のエクイティを現金化し、別の投資に回すことも可能です。
けれどもDSCRと将来のリスクを慎重に測り、借り過ぎないことが肝心。
また数字の比較だけでなく、運営力も勝敗を分けます。
- 入居者層の最適化
- 更新率の改善
- 実費精算の徹底
- 税評価額の是正申請
- 光熱費のデマンド対策
など、運営の一手でネットは大きく変わります。
運営改善の余地が大きい物件は安易に売るより「磨いてから」評価の高い出口を選ぶと、手取りが一段増えます。
逆に、立地の構造劣化や修繕負債が大きい物件は、早めの出口が合理的になることもあります。
最後に、意思決定の落とし穴を三つだけ。
一つ目は、税前数字だけで比較してしまうことです。
必ず「税後」で見てください。
二つ目は、売却後の現金の置き場が決まらないまま売ってしまうことです。
マーケットは待ってくれません。
三つ目は、金利の再調達リスクを軽視することです。
低金利ローンを手放すコストは、見えないが確実に存在します。
今日の相場環境では、「部分売却によるリバランス」と「運営の質向上による実効利回りの底上げ」という二本柱が多くの投資家にとって現実的な最適解になりやすいと考えます。
売却も保有も正解になり得ますが、正解にするのは設計の精度です。
もしあなたが今すぐ現金が必要で運用先のルールも決まっているなら、税後の手取り最大化を軸に売却を段取りしましょう。
もし現金需要が限定的で安い固定金利を抱え、運営改善の余地があるなら保有と磨き上げが報われやすい局面です。
迷うときは、「3年の現金需要」「税後の実効リターン」「金利の再調達コスト」の三点を一枚にまとめ、数字で語らせてください。
売るか持つかの分岐は、自分の目標とタイムラインが答えを教えてくれます。
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