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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
いまフロリダ州では、固定資産税(Property Tax)をどこまで削減すべきかをめぐって州政府と議会が真っ向から対立しています。
税負担が軽いはずの無所得税州フロリダで、なぜ税金をめぐる攻防がこれほど激しくなっているのでしょうか。
その背景には、急激な住宅価格の上昇と人口増加、そして公共サービス維持のための財源不足という、三つの現実があります。
その一方で政治的な駆け引きによって、減税を望む有権者たちが逆に「何の救済も得られない」という結果に終わるリスクも浮上しています。
今日は8つの減税案の概要を整理しつつ、どの案が現実的な救済をもたらすのかを考えてみましょう。
フロリダ州減税案の概要
フロリダ州は全国で30位の固定資産税負担率に位置しています。
所得税がないにもかかわらず、テキサス州(7位)よりも税負担が軽いとは言い切れません。
その理由は明確ですで、急激な住宅価格の上昇と人口増加が地方自治体のインフラ需要を押し上げたからです。
州全体で学校、道路、公共安全などに必要な資金が不足し、自治体はやむなく税収を引き上げる動きに出ました。
その結果、長年住み続けた家の評価額が突然跳ね上がり、住民が支払いに苦しむケースが続出しています。
こうした中で、議会には7つの憲法改正案と1つの法案が提出されました。
どの案も減税を掲げていますが、その内容と影響は大きく異なります。
この点、州知事ロン・デサンティス氏は複数の案が同時に投票にかけられること自体を「政治的ゲーム」だと批判しています。
60%以上の賛成が必要な憲法改正案を乱立させれば、票が分散してどれも成立しないというわけです。
確かに複数案が競合すると、どれも中途半端な支持しか得られず結果的に「何も変わらない」可能性が高まります。
こうした政治的応酬の裏で、実際にどの案が家計を救うのかが見えにくくなっているのが現状です。
それぞれの提案を内容別に見ていきましょう。
HB 215
まず最も現実的とされるのが「HB 215」です。
これは憲法改正ではなく法律改正案であり、議会の承認だけで成立します。
主な内容は、地方自治体が税率(Millage Rate)を引き上げる際に3分の2の賛成を必要とするという制限と、既婚者が最大50万ドルまで住宅控除を合算できるようにするというものです。
地味ではありますが財政への影響が最も少なく、長期的に安定した制度を目指す案です。
けれども、メディア映えしないため政治的には注目度が低いという弱点があります。
HJR 213
「HJR 213」は、課税評価額の上昇率を3年ごとに3%に抑えるという穏やかな抑制策です。
税額が極端に増えないようにする“ブレーキ”の役割を果たしますが、減税というより緩和の性格が強い案です。
HJR 211
「HJR 211」は住宅を買い替える際にこれまでの税控除をすべて持ち越せるようにする提案で、富裕層や長期保有者に有利とされています。
その一方で、初めて住宅を購入する層や賃貸世帯には直接的な恩恵が少ないのが難点です。
HJR 209
「HJR 209」は保険加入を条件に10万ドルの控除を与える仕組みですが、保険料高騰で無保険世帯が2割に達する現状ではかえって不公平を拡大する恐れがあります。
HJR 207
「HJR 207」は、住宅評価額の25%を非課税にする案で、より広範囲に恩恵をもたらします。
金額が固定ではないため、住宅価格上昇にも対応しやすい柔軟性があります。
HJR 205
「HJR 205」は65歳以上の高齢者のみに全額非課税を適用する案で、固定所得の高齢者には救済策となります。
けれども減税が移動の抑制につながり、空き家や世代交代を妨げる懸念も指摘されています。
HJR 203
「HJR 203」は、10年間かけて非学校分の固定資産税を段階的に廃止するという壮大な構想です。
州政府はその間に新たな財源を確保する必要がありますが、現実には売上税(Sales Tax)の引き上げやサービス削減が避けられないとおpも割れます。
HJR 201
最後に、最も大胆なのが「HJR 201」です。
2027年1月から住宅の非学校分の固定資産税を全廃するという内容で、最も政治的に人気がある一方、最も持続不可能とも言われています。
短期的には劇的な負担軽減が得られるものの、地方財政は崩壊に近づき、低所得者ほど消費税負担の増加に苦しむことになる可能性があります。
。。。
こうした大規模な減税案が成立すれば、影響は税収だけにとどまりません。
地方債、年金基金、保険会社などがリスクを再評価し、信用格付けが下がる恐れもあります。
それによって自治体の資金調達コストが上昇し、結局は住民に跳ね返るという悪循環も生まれかねない状況です。
とどのつまり、仮に減税が実現しなくても検討しているだけで市場に不安が広がるのです。
実際、とある夫婦は自宅の改修後に評価額が再算定され、税額が1万5千ドルから一気に9万ドルに跳ね上がりました。
長年住み続けた家を手放すかもしれないという現実が、いま多くの家庭に迫っています。
フロリダ州の固定資産税制度が複雑化しすぎた結果、誰もが「制度は壊れている」と認めながらも、修正方法では合意できないという状況です。
結局のところ、最も現実的なのは極端な減税ではなく、上昇の抑制を丁寧に積み重ねていくことかもしれません。
フロリダ州では今、地方財政と住民生活、その両方を守るバランスが求められています。
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