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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカでプリマスと聞くと、ピルグリムたちが上陸した「アメリカ建国の象徴」としてのイメージが強いかもしれません。
プリマスはまさに、サンクスギビング発祥の地でもあります。
けれども現在、現地ではアフォーダブル住宅をめぐる激しい議論が巻き起こっているのです。
歴史ある海沿いの町が、近年の人口流入と価格上昇にどう向き合うべきか。
投資家にとって学べるポイントが非常に多いテーマになります。
今日は、都市開発、40Bの仕組み、地元の本音、そして投資家としてどう読み解くべきかを掘り下げてみていきましょう。
マサチューセッツ州プリマスという街
プリマスはボストンとケープコッドの中間に位置し、アメリカでも有数の広大な町として知られています。
けれども巨大な町でありながら、その住宅市場は急速に変貌を遂げています。
かつてはブルーカラーのサマータウンで、冬にはダウンタウンのレストラン営業が厳しくなるほどでした。
そこに近年では高齢の富裕層や移住者が増加し、海沿いの魅力に価値を見いだす新しい層が流入しています。
街並みの一部は再開発が進み、アートセンターやオーケストラ、レストランシーンも拡大してきました。
この「伸びしろ」と「老朽化」が混在する状況が、開発を巡る緊張を生んでいるのです。
Chapter 40B
議論の中心にあるのは、マサチューセッツ州の住宅政策「Chapter 40B」です。
40Bはアフォーダブル住宅の割合が全体の10%に満たない自治体に対して、一定の条件(20~25%のアフォーダブル枠)を満たす開発であれば、開発業者が地元の規制をスキップできるという制度です。
これにより開発が進む自治体もある一方、地元住民からは「やり過ぎではないか」という不満が出やすい制度でもあります。
プリマスでは過去8年間で4,500戸以上が建設され、そのうち1,000戸以上が40Bを通じた開発でした。
その勢いは凄まじく、消防や警察への負担が大きくなっているとのこと。
その中でも議論の的になっているのは、Pulte Homesによる163戸の新規コンドミニアム計画です。
場所は北プリマスの既に混雑したエリアで、地元行政は「インフラの許容量を超えている」と反発しています。
その一方で「プリマスには本当にアフォーダブル住宅が不足している」という点では全員が同意しています。
ただし問題は価格設定。
40Bにおけるアフォーダブル住宅の価格は「ボストン広域エリアの平均収入」を基準に決められます。
そのためプリマスではアフォーダブル住宅の家賃が市場賃料とほぼ同じ、場合によっては高いことすらあるのです。
地元住民からすれば「これでは若い世代が住めない」という声が生まれるのも無理はありません。
事実、プリマスの住宅価格は急上昇しています。
2023年の中央値は$549,900。
それが2025年には$749,500へと大きく跳ね上がりました。
2年で約$200,000の上昇です。
かつての「手頃な海沿いの町」から、ボストン郊外の高級住宅地にむしろ近づいています。
地元の若い購入者たちは、住宅ローン、PMI、修繕費などに苦しみ、購入のハードルが急激に上がっているのが現状です。
これを投資家の目線から言えば、「富裕層流入による需給ギャップが継続する都市の典型例」です。
実際のところ、町としてはこの40Bの圧力から逃れる方法もあります。
それが「10%のアフォーダブル比率」を達成し、セーフハーバーに入ることです。
セーフハーバーに到達すれば町は40B案件を拒否できるようになり、開発計画のコントロールが取り戻せます。
プリマスは今、その境界線ギリギリにいます。
それを踏まえ、町は独自に土地を買って用途を調整できる「ランドバンク制度」の導入も検討しています。
これが可決されれば、町が主体となる計画的な開発が可能になり、投資家・住民・行政の利害調整もスムーズになるかもしれません。
それでも続く議論としては、
歴史保全と経済成長を両立できるのか。
若い世代が住める町を維持できるのか。
富裕層の流入で地域性が消えてしまうのか。
答えは簡単ではありませんが、けれどもプリマスが抱える課題は今のアメリカ国内で多くの成長都市が抱えるアメリカ住宅市場の縮図でもあります。
魅力ある海沿いの町に投資需要が集まり、結果的に地元の若者が住みづらくなる。
それはボストン近郊だけでなく、カリフォルニア沿岸、テキサスの人気都市、ハワイのリゾートエリアでも共通しています。
投資家として重要なのは、こうした「開発圧力」「インフラ容量」「地元の政治動向」「制度の仕組み」を読み解き、長期的な価値がどちらへ動くのかを見極めることです。
プリマスのように
次のポートランド
次のポーツマス
と評される町は、再評価されるタイミングが必ず訪れます。
。。。
かくして、歴史ある町で起きているこの手の議論は、未来のアメリカ住宅市場を占う上で極めて示唆に富んでいます。
投資家として、制度の穴、地元の反応、価格変動、人口流入といった複数の要素を組み合わせて判断する姿勢が必要になるのです。
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