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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今日は、住宅購入と老後資金という二つの大きなテーマを同時に揺さぶる、非常に興味深いニュースについて触れておきたいと思います。
何かといえば、トランプ政権が401(k)を住宅購入の頭金に使えるようにする構想を検討しているようです。
これは単なる制度変更の話ではなく、アメリカの住宅市場全体に影響を与えかねない、大きな政策アイデアです。
まず概要から整理します。
この構想は、ドナルド・トランプ大統領が来週ダボスで発表する可能性があるとされており、ホワイトハウス国家経済会議の委員長であるケビン・ハセット氏が、Fox Businessのインタビューで明かしました。
仕組みとして語られているのは、住宅購入時に例えば10%の頭金を入れ、その住宅のエクイティの一部を401(k)の資産として組み入れる、という考え方です。
住宅価格が上昇すればその分が401(k)の価値にも反映され、結果として老後資金も増える、という理屈です。
つまり「家を買うこと」と「老後に備えること」を、分断せずにつなげようという発想です。
これによって若い世代が直面している「流動性の制約」、つまり頭金を用意できない問題を解消できるとの説明がなされています。
背景には、ここ数年で住宅購入のハードルが急激に上がっている現実があります。
金利上昇とインフレの影響で、平均的な頭金額も月々の返済額もほぼ倍近くになっているという状況です。
そのため「収入はあるが、頭金がない」という層が大量に生まれている中、ここで登場するのが401(k)という巨額の資金プールというわけです。
アメリカでは401(k)に莫大な資産が積み上がっており、それを住宅購入に振り向けられれば、確かに即効性はあります。
実質的に「自己資金による頭金支援」が可能になるからです。
けれども同時に大きな懸念もあり、それはこの政策が完全に需要サイドの対策だという点です。
もし多くの人が401(k)から資金を引き出して住宅を買えるようになれば、需要は一気に高まります。
その結果、住宅価格そのものが上昇してしまう可能性があるのです。
つまり個々人の購入能力は上がっても、市場価格全体の手頃さはあまり改善しない、という指摘です。
特に供給が慢性的に不足している北東部や中西部では、逆に住宅価格高騰を加速させる恐れがあります。
さらに、401(k)そのものへの影響も無視できません。
401(k)の最大の強みは、税制優遇、複利効果、そして分散投資にあります。
そこから資金を引き出すことは、長期的な資産形成にとってリスクになり得ます。
住宅という単一資産への偏りが強まる点も、慎重に考える必要がある中、この構想が単発のアイデアではない点も重要です。
トランプ政権は住宅市場の価格の手頃さを改善するため、複数の施策を同時に進めています。
例えば、Fannie MaeやFreddie Macに対し、最大2,000億ドル規模のMBSを購入させる構想もあります。
また、大規模な機関投資家が住宅を買い占める動きを抑制しようという姿勢も見せています。
住宅を「住むための場所」として個人に戻そうとする意図は、一貫しているようです。
一方、民主党側も住宅供給を増やすための政策案を複数提示しています。
超党派の住宅改革法案も検討されましたが、昨年末に下院で停滞しました。
そうした中で、現時点では、401(k)を住宅購入に使える法律は存在しません。
ただしIRAについては、初めての住宅購入に限り、最大1万ドルまで10%のペナルティなしで引き出せる例外があります。
今回の構想は、その401(k)版とも言えるものです。
ここまで見てくると、この政策は「個人にとっては魅力的だが、市場全体では慎重な検証が必要」という性質を持っていることが分かります。
短期的には家を買える人が増えるかもしれません。
けれども中長期的には、価格上昇や老後資金への影響という副作用が出る可能性があります。
不動産の現場にいる立場から見ると需要を刺激する政策だけでなく、供給をどう増やすかがやはり鍵だと感じます。
頭金の問題を解決しても、売る家そのものが足りなければ根本解決にはなりません。
かくして、401(k)を使った住宅購入というアイデアは、希望とリスクの両方を併せ持つ政策だと言えそうです。
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