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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日はプロフォルマで抑えるべきポイントについて解説しました。
プロフォルマの計算式を理解した後は、いよいよ実践編です。
GP(ゼネラル・パートナー)が作成した資料は、一見すると完璧な論理で構成されているように見えます。
けれども投資家として彼らのオフィスを訪ね、あるいはウェブ面談をする際、あえて「彼らが触れてほしくない部分」に光を当てる必要があります。
それは意地悪をしたいからではありません。
あなたの大切な資産を預けるに足る、誠実なパートナーであるかを確認するための「試金石」なのです。
今日は、多くのGPが質問されるのを嫌がる、しかし投資家としては絶対に外せない「数字のツッコミどころ」をガツンとお伝えします。
これは甘い言葉の裏に隠されたリスクを浮き彫りにする、投資家のための「非常ブレーキ」となるはずです。
1. 「ブレークイーブン(収支分岐点)の入居率は何%ですか」
これは、物件が赤字に転落するまでの「余裕」を問う質問です。
プロフォルマには「入居率95%」といった理想的な数字が並びますが、現実はそう甘くありません。
もし景気が後退し入居率が下がった場合、何%までならローンの返済を続けられるのか。
「80%まで下がっても持ちこたえられます」という具体的な数字が即座に返ってくるかどうかが重要です。
この数字を把握していない、あるいは答えを濁すGPはリスク管理の「安全装置」を軽視している可能性があります。
入居率の余裕こそが、嵐の海を渡るための「船底の厚み」なのです。
2. 「修繕積立金(Replacement Reserves)の根拠を教えてください」
アメリカの古い物件を扱うバリューアディ型投資では、建物の維持管理が収益を大きく左右します。
多くのGPは、NOI(純運営収益)を高く見せるために、毎月の修繕積立金を意図的に低く見積もることがあります。
「1戸あたり年間$250」といった定型的な数字が置かれている場合、それは現場の実態を反映していないかもしれません。
「エアコンの耐用年数や屋根の状態を考慮すると、この金額で本当に足りますか?」
この一言で、彼らがどれだけ「現場」を深く理解しているかが露呈します。
現場を知らない数字は砂の上に建てられた城のようなもので、いつ崩れてもおかしくありません。
3. 「感度分析(Sensitivity Analysis)の結果を見せてください」
不動産投資において、金利やキャップレートは常に変動する不確定要素です。
「もし出口のキャップレートが予想より0.5%上昇したら、投資家のリターンはどう変わりますか?」
「もし金利が1%上がった状態でリファイナンスが必要になったら、どう対処しますか?」
こうした「もしも」のシナリオを幾通りもシミュレーションしているGPは、非常に信頼できます。
逆に、バラ色のシナリオ一つしか用意していないGPは投資家を導く「羅針盤」を持っていないに等しいのです。
最悪の事態を想定する力こそが、プロとしての「感性」の証といえます。
4. 「GP報酬の『優先順位』はどうなっていますか」
投資家への配当よりも先に、自分たちの管理手数料や買付手数料を優先的に受け取る仕組みになっていないかを確認してください。
「投資家がまず優先株配当(Preferred Return)を受け取り、その後にGPのボーナスが発生する」
という構造が理想的です。
GPが「自分たちが儲ける前に、まず投資家を勝たせる」という哲学を持っているか。
数字の配分(ウォーターフォール)の中に、彼らの本性が色濃く反映されます。
この質問は彼らにとって最も「痛い」部分かもしれませんが、パートナーシップの根幹を成す「フィルター」です。
5. 「リノベーションの家賃上昇幅が実現できなかった場合、次の手は何ですか?」
バリューアディ投資のプロフォルマでは、「一部屋$200の家賃アップ」といった計画が前提になります。
けれども、もし近隣に新築物件が建ち、思うように家賃が上げられなかったらどうなるのか。
「その場合はリノベーションのスピードを落とし、キャッシュを温存します」
あるいは
「共用部分の付加価値サービスで補填します」
といった次の一手(プランB)があるかどうか。
一つの戦略が崩れた瞬間に立ち往生してしまうような計画は、投資ではなく「ギャンブル」に近いものです。
不確実性をどうコントロールするかを突き詰める姿勢こそが、投資家が最も重視すべきポイントです。
まとめ
GPが嫌がる質問を投げかけることで、以下のことが明確になります。
- リスクの解像度: 理想だけでなく、現実の厳しさを直視しているか。
- 誠実さ: 不都合な数字を隠さず、正直に説明する姿勢があるか。
- 専門性: 現場の状況と数字を一致させる深い洞察力を持っているか。
- 利益の合致: 投資家の利益を自分たちの利益よりも優先する仕組みになっているか。
こうした「鋭いツッコミ」を入れることで、GP側も「この投資家はウルトラCの小細工が通用しない相手だ」と認識します。
その緊張感こそが、健全な投資環境を作るための第一歩となります。
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