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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
ここ数年、アメリカの住宅市場では金利上昇と価格高騰が話題の中心でした。
ここに加えて、新たな負担として「ホームオーナーズ保険(Homeowners Insurance)」の高騰が深刻化しています。
保険料の上昇は家を買えるかどうか、維持できるかどうか、そしてどこに住めるのかという生活の根幹に関わる大問題となりつつあるのです。
まずは州ごとの保険料水準を見ていきましょう。
州別保険料コスト(出典:realtor.com)
| 州名 | ローンあり | ローンなし |
|---|---|---|
| アラバマ州 | $1500〜$1999 | $1000〜$1499 |
| アラスカ州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| アリゾナ州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| アーカンソー州 | $1500〜$1999 | $1000〜$1499 |
| カリフォルニア州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| コロラド州 | $2000〜$2499 | $1500〜$1999 |
| コネチカット州 | $1500〜$1999 | $1000〜$1499 |
| デラウェア州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| ワシントンD.C. | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| フロリダ州 | $2000〜$2499 | $1000〜$1499 |
| ジョージア州 | $1500〜$1999 | $1000〜$1499 |
| ハワイ州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| アイダホ州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| イリノイ州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| インディアナ州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| アイオワ州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| カンザス州 | $2000〜$2499 | $1500〜$1999 |
| ケンタッキー州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| ルイジアナ州 | $2000〜$2499 | $1000〜$1499 |
| メイン州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| メリーランド州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| マサチューセッツ州 | $1500〜$1999 | $1500〜$1999 |
| ミシガン州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| ミネソタ州 | $1500〜$1999 | $1500〜$1999 |
| ミシシッピ州 | $1500〜$1999 | $1000〜$1499 |
| ミズーリ州 | $1500〜$1999 | $1000〜$1499 |
| モンタナ州 | $1500〜$1999 | $1000〜$1499 |
| ネブラスカ州 | $2000〜$2499 | $1500〜$1999 |
| ネバダ州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| ニューハンプシャー州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| ニュージャージー州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| ニューメキシコ州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| ニューヨーク州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| ノースカロライナ州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| ノースダコタ州 | $1500〜$1999 | $1000〜$1499 |
| オハイオ州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| オクラホマ州 | $2000〜$2499 | $1500〜$1999 |
| オレゴン州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| ペンシルベニア州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| ロードアイランド州 | $1500〜$1999 | $1500〜$1999 |
| サウスカロライナ州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| サウスダコタ州 | $1500〜$1999 | $1000〜$1499 |
| テネシー州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| テキサス州 | $2000〜$2499 | $1500〜$1999 |
| ユタ州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| バーモント州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| バージニア州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| ワシントン州 | $1000〜$1499 | $1000〜$1499 |
| ウェストバージニア州 | $1000〜$1499 | $500〜$799 |
| ウィスコンシン州 | $1000〜$1499 | $800〜$999 |
| ワイオミング州 | $1500〜$1999 | $1000〜$1499 |
アメリカ国勢調査局が2024年に発表したデータによると、コロラド、ネブラスカ、テキサス、フロリダといった州では住宅所有者が年間2,000~2,499ドルもの保険料を支払っており、全米で最も高い水準にあります。
とりわけフロリダは突出しており、年間4,000ドル以上を払っている世帯も多く、保険料の重荷が生活を直撃しています。
その一方でオハイオやペンシルベニア、ウィスコンシン、バーモント、ニューハンプシャーといった北東部や中西部の州では、年間800~1,500ドル程度と比較的安価に抑えられています。
極端な自然災害が少ない地域であることが、こうした低コストの背景にあるのです。
興味深いのは、住宅ローンを抱える人とそうでない人の間にも大きな差がある点です
ローンを組んでいる人の中央値は1,500~1,999ドルと高く、現金で購入している人の多くが支払う1,000~1,499ドルを大きく上回っています。
さらにコロラドやテキサス、ルイジアナといった州では、ローン所有者の中央値が2,000~2,499ドルと一段と高い水準になっています。
なぜこの差が生まれるのか。
エコノミストによると、ローンを持つ人は比較的若く、資産価値の高い住宅を購入しているケースが多いことが要因とされています。
高価格帯の物件ほど、保険料も跳ね上がるためです。
とはいえ、ローン所有者にとって保険は選択ではなく義務です。
融資を受けるためには保険加入が必須であり、仮に負担が重くても外すことはできません。
逆にローンのない所有者は、保険を解約してリスクを背負うという選択も可能です。
ただし実際に調査では「価格が高すぎれば保険を解約する」と答えた人が58%にものぼり、すでに全米で7軒に1軒が無保険状態だといわれています。
この状況は住宅所有の構造的なリスクを浮き彫りにします。
住宅価格や金利の上昇に加え保険料も高騰していることで、家を持つという行為そのものが30%近く高くつくようになったのです。
かつて「持ち家は安定した資産形成の手段」とされた常識が揺らぎ始めているとも言えます。
特にフロリダのようにハリケーン被害の常襲地帯では保険会社が撤退し、契約更新ができなくなるケースも目立っています。
西海岸では山火事リスク、中西部では竜巻や洪水リスクといったように、地域ごとの災害リスクがそのまま保険料の差となって現れています。
加えて州ごとの規制環境も影響しており、カリフォルニア州のように政府が価格抑制に動けば、逆に保険会社の撤退を招くといった副作用も出ている状況です。
そうすると、これから家を買おうとする人や既存の所有者はどう備えるべきでしょうか。
まずは「保険料を含めたトータルコスト」を必ず計算に入れることが重要です。
多くの人が物件価格や住宅ローン金利ばかりに注目しますが、実際には保険料の差が家計に大きな影響を与えるケースが少なくありません。
例えばフロリダで年間4,000ドル以上の保険料を支払う場合、それは月額に換算すると300ドル以上の追加負担になります。
これは固定資産税や光熱費に匹敵する金額であり、長期的に見れば大きな支出です。
一方オハイオなど保険料が安い州では、その分購入後のキャッシュフローに余裕が生まれ、結果として住宅取得が現実的になります。
保険料は同じ州の中でもエリアや建物の構造、築年数によっても差が出ます。
河川近くや山火事多発地域では高額になりやすいため、購入検討段階で必ず見積もりを取り、総合的に判断する必要があります。
調査では自然災害リスクを調べてから購入する人は全体の30%にとどまっていますが、今後はこれが欠かせないステップになるのではないでしょうか。
。。。
かくして、ホームオーナーズ保険の高騰は単なる「出費の増加」にとどまらず、住宅市場全体に新たな分断をもたらしています。
リスクの高い州とそうでない州、ローン所有者と無借金所有者、この二重の構造的格差がこれからますます鮮明になっていくのではないでしょうか。
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