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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日は再開発エリアでの土地開発には「物理的な土壌」以上に「法的な縛り」への覚悟が必要という視点でお伝えしました。
今日はその次のステップ、具体的にその土地に「何(どんな用途)を」「どのくらいの規模で」建てるべきかという、戦略的な判断基準について深掘りしてみましょう。
土地開発において、私たちが最も時間をかけて検証するのが「最高最善の利用(Highest and Best Use)」という概念です。
それは単なる理想論ではなく、法的、物理的、そして経済的に最も高い価値を生み出す利用方法を特定する極めてシビアなプロセス。
今回の舞台となっているようなエリアでは、自治体の特定計画によって「教育施設」や「商業施設」といった用途があらかじめ推奨されていることが少なくありません 。
例えば、ある区画では最大6階建ての建物が許可され、建物面積も35,000平方フィート以上が推奨されるといった具合です 。
「そんなに大きなものを建てて、本当に埋まるのか?」
ここで重要になるのが、周辺マーケットの「マクロ」と「ミクロ」両方の視点です。
南カリフォルニアに位置するオレンジカウンティ全体のオフィス市場を見てみると、空室率は15%を超え、クラスA物件に至っては20%以上に達するなど、厳しい適応期にあります 。
けれどもその一方で工業セクターは空室率5%前後と極めて堅調で、供給不足の状態が続いています 。
リテール(小売)セクターに目を向けると、空室率は3%台という驚異的な安定感を見せており、回復傾向が鮮明です 。
もし単なるオフィスビルを建てようとしているなら、それは今の市場の流れに逆行する「ギャンブル」になってしまうかもしれません。
逆に、最新のウェルネス機能を備えた研究開発(R&D)施設や、周辺の1,100戸を超える新規住宅住民の生活を支える体験型リテールを組み合わせた複合開発(Mixed-use)ならどうでしょうか 。
ターゲットとなる顧客が「コスト」ではなく「戦略的な場所」を求めている層であれば、勝機は一気に高まります。
また、カリフォルニア州ならではの「アップゾーニング」や「密度ボーナス」という武器も忘れてはいけません 。
例えば、プロジェクトに手頃な価格の住宅(Affordable Housing)を一定割合組み込むことで、通常よりも高い建物を建てられたり、容積率(FAR)の制限を緩和できたりする制度があります 。
これは限られた土地から生み出される収益を最大化するための、言わば「公認の裏技」です。
もちろんこれを活用するには、自治体との緻密な交渉と、複雑な計算式に基づいた収益シミュレーションが不可欠になります。
さらに、忘れてはならないのが、取得後の「税務コスト」の壁です。
カリフォルニアには「Proposition 13」という強力な法律があり、取得時の価格が税評価のベースになります 。
ただし、更地から建物を建てる(新規開発する)場合は建物の完成時に「再評価(Reassessment)」が行われ、税額が劇的に跳ね上がることがあります 。
「土地の固定資産税は安かったのに、ビルが建った瞬間にキャッシュフローが圧迫される」
このような事態を避けるために、私の場合は企画段階で将来の補完税(Supplemental Tax)まで予測し、投資家へ提示します 。
土地開発とは単にコンクリートの箱を作ることではなく、こうした市場データ、法規制、そして税務のパズルを完璧に組み合わせていく作業なのです。
今回のポイントをまとめます。
- 用途選定(オフィス、工業、リテール)は、最新のセクター別空室率データを基に冷徹に判断する
- 複合用途(Mixed-use)を検討し、特定のセクターのリスクを分散させる戦略が有効
- 自治体の「密度ボーナス」を活用し、容積率や高さ制限を突破して資産価値を押し上げる
- 開発完了後の「再評価」による固定資産税の増額を、あらかじめ事業計画に織り込んでおく
一つ一つのパズルが噛み合った時、その土地はただの不動産から「富を生み出し続ける装置」へと進化します。
明日に続けます。
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