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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産売買のプロセスにおいて、最後に待ち構えているのが「クロージング(登記・引き渡し)」です。
通常、アメリカでのクロージングはローンを利用する場合で30日から60日程度かかるのが一般的ですが、最近ではこれを21日、あるいは10日といった短期間で終わらせる「早期クロージング」を求められるケースが増えています。
「早く終わるなら、それに越したことはないのでは?」
そう思われるかもしれませんが、実はここには大きなメリットと、見落としがちな落とし穴が潜んでいるのです。
今日は、現場のリアルな視点を交えて「早期クロージング」の光と影について見ていきましょう。
早期クロージングの良し悪し
早期クロージングについて、買い手にとって最大のメリットは、何と言っても「オファーの競争力」が劇的に上がることです。
アメリカの激しい物件争奪戦において、売り手が求めているのは「確実性」と「スピード」です。
売却代金を早く手にしたい、あるいは次の住まいの購入が決まっている売り手にとって、早く締められる買い手は、多少価格が低くても選ばれる「強力な武器(バーゲニング・チップ)」になります。
一方で、デメリットとして真っ先に挙げられるのが「費用の重複」です。
早期にクロージングするということは、今住んでいる賃貸の解約や持ち家の売却が間に合わない可能性が高まることを意味します。
結果として、新居と旧居の支払いが数週間から数ヶ月重なり、キャッシュフローを圧迫するリスクがあります。
これは精神的にもかなりのプレッシャーです。
また、リフォームを考えている方にとっては、早期クロージングは「先行投資」としての価値があります。
キッチンやバスルームの改装には、材料の発注や許可(パーミット)の取得で数ヶ月かかることも珍しくありません。
早く鍵を手にすればその分早く工事に着手でき、学校の始業や転職などのライフイベントに合わせやすくなります。
ただし、ここで一つ大きく注意するべき点が。
それは
「インスペクション(建物検査)で見つかった不具合への対応」
です。
通常の30日〜60日の期間があれば、売り手に修理を依頼して完了させてから引き渡してもらう交渉が可能です。
ところが、21日といった短期間では、物理的に修理を終える時間がありません。
そうなると、「修理代をクレジット(売却価格からの差し引き)」でもらう形で妥協せざるを得なくなります。
「お金でもらえるなら同じじゃないか?」
と思うところですが、それも良し悪し。
いざ工事を始めてみたら、想定以上のダメージが見つかり、もらったクレジットでは全く足りなかった。。
そうすると、早期クロージングを選んだ瞬間、あなたはそうした「未知のリスク」をすべて背負い込むことになるのです。
さらに、ローン(モーゲージ)を利用する場合、金融機関側の審査スピードも大きな壁になります。
FHAローンやVAローンのように審査基準が厳しいものは、物理的に45日以上かかることも多く、無理に短縮しようとすると土壇場で融資が否決される最悪のシナリオも想定しなければなりません。
結局のところ、早期クロージングが「正解」かどうかは、あなたの「感性」や「覚悟」ではなく、冷徹な「数字」と「準備」で決まるものです。
もし自分がキャッシュ(現金)買いであれば、これほど有利な条件はありません。
けれどもローンを利用し、かつ手元資金に余裕がないのであれば、スピードを優先するあまり足元をすくわれることになりかねません。
私がクライアントにいつもお伝えしているのは、「不確実性をどれだけ許容できるか」という基準です。
不動産取引において、スピードは時に麻薬のような魅力を放ちますが、本質を見失ってはいけません。
大切なのは「早く買うこと」ではなく、「健全な状態で所有し続けること」。
- 早期クロージングは、競合に勝つための強力な交渉材料になる
- リフォーム着工を早められるなど、スケジュール上の利点がある
- 一方で、二重払いの発生や、修理リスクの承継といった金銭的負担も大きい
- ローンの種類によっては、物理的に不可能なスケジュールを組んでしまうリスクがある
まずは自分の資金計画と、利用するローンの限界値を正確に把握すること。
そこを突き詰めるのが、早期クロージングを上手に活用する第一歩になると思います。
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