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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカの賃貸市場に、ある変化が起きています。
National Vacancy Index(全米空室率指数)が2月時点で7.4%に上昇し、2017年以来の高水準に達しました。
「空室率が上がっている」
と聞くと、不動産投資家としては不安になるかもしれません。
けれどもこの数字の背景を理解すれば、見える景色はかなり変わってきます。
まず、なぜ空室率が上がっているのか。
最大の要因は、ここ数年の建設ラッシュです。
特にSouth(南部)とMountain West(山岳西部)では、パンデミック期に大量の集合住宅プロジェクトが着工され、それが今になって続々と完成しています。
供給が一気に増えれば、当然ながら空室率は上がります。
そしてこの供給過多がもたらしているのが、Concession(入居者への特典)の増加です。
Zillow(ジロー)のデータによれば、3月時点で賃貸リスティングの3分の1がConcession付きとのこと。
具体的には
・フリーレント(1ヶ月分の家賃無料)
・駐車場無料
・初期費用の割引
といった特典が、特に新築物件を中心に広がっています。
これは借り手にとっては嬉しい話ですが、投資家にとってはどうか。
ここで見るべきは、地域差です。
家賃が下落しているのは主にSouth(南部)とMountain West(山岳西部)に集中しています。
一方でNortheast(北東部)、Midwest(中西部)、そしてWest Coast(西海岸)の一部では、依然として家賃は上昇基調にあります。
つまり「全米の空室率が上がった」という一つの数字の裏に、まったく異なる二つの市場が存在しているのです。
全米平均の家賃は前年比で3.6%上昇しており、Single-Family Rental(一戸建て賃貸)の平均家賃は$2,183。
マクロで見れば賃貸市場はまだ堅調ですが、ミクロで見ると明暗がはっきり分かれています。
もう一つ興味深いデータがあります。
Median Income(中間所得)世帯が家賃に充てる収入の割合が、27.2%まで低下し、2021年8月以来の低水準になっているということ。
一般的にRent-to-Income Ratio(家賃対収入比率)は30%以下が健全とされますから、この数字はアメリカの賃貸市場が「適正な範囲」に戻りつつあることを示しています。
さらに注目すべきは、Lifestyle Renting(ライフスタイルとしての賃貸)という新しいトレンドです。
かつてアメリカでは「賃貸は家を買えない人が仕方なくするもの」という認識が一般的でした。
けれども最近の調査では、賃貸者の約5分の3が「来年も賃貸を続ける予定」と回答しています。
住宅価格の高騰やライフスタイルの柔軟性を求めて、あえて賃貸を選ぶ層が増えているのです。
とどのつまり、この空室率の上昇は単純に「市場が悪化している」という話ではありません。
供給の正常化と、借り手の選択肢の拡大が同時に起きている過渡期と捉えるのが妥当でしょう。
投資家として考えるべきは、自分の投資エリアがどちらの市場に属しているのか。
供給過多の南部で高い空室率に悩むのか、それとも供給不足が続く北東部や中西部で安定した賃貸収入を確保するのか。
その見極めが、これからの賃貸投資の成否を分けていくように思います。
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