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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
「アメリカの不動産は上がり続ける」
この言葉を、これまで何度耳にしてきたことでしょうか。
けれども2026年の春、その常識に大きな亀裂が入り始めています。
全米の住宅価格の年間上昇率は、わずか0.7%にまで鈍化しました。
2025年初頭の3.5%成長と比べると、その減速ぶりは明らかです。
ただし、この「0.7%」という数字は、あくまで全米平均の話。
実態は、地域によって天と地ほどの差が生まれているのです。
K字型マーケットという現実
今のアメリカ住宅市場を一言で表すなら、「K-Shaped Market(K字型マーケット)」という表現がぴったりです。
Kの字の上向きの線は、力強く価格が伸び続ける地域。
下向きの線は、価格が下落に転じた地域。
この二つの方向が、同時進行しています。
上を向いているのは、Northeast(北東部)とMidwest(中西部)。
ニュージャージー州は前年比+5.6%、コネチカット州は+5.26%、イリノイ州は+4.91%と、全米平均の数倍のペースで価格が上昇しています。
中西部全体でも平均+3.56%と安定した成長が続いており、特にNewark(ニューアーク)は全米主要100都市の中で最も高い+6.73%の価格上昇率を記録しました。
一方で下向きの線、つまり価格が下落している地域の筆頭がフロリダ州です。
フロリダの住宅価格は前年比で-2.36%と、全米で最も大きな下落幅を見せています。
コロラド州(-1.31%)、ユタ州(-1.11%)、ハワイ州(-1.11%)と続き、かつての「人気投資先」が軒並み逆風にさらされている構図です。
フロリダに何が起きているのか
「数年前まで、フロリダは不動産投資の聖地だったのでは?」
そう感じる方も多いのではないでしょうか。
実際、コロナ禍のリモートワーク普及で大量の人口がフロリダに流入し、価格は急騰しました。
けれども今、その潮流が逆転しつつあります。
最大の要因は「Property Insurance(住宅保険)」の危機です。
ハリケーンリスクの高まりにより、保険料が信じられないペースで高騰しています。
保険料だけで年間数千ドルの負担増となれば、いくら物件価格が「お手頃」に見えても、Total Cost of Ownership(所有総コスト)は跳ね上がります。
その結果、マイアミ、タンパ、オーランドといった主要都市から投資家が撤退し始めました。
Cape Coral(ケープコーラル)やDaytona Beach(デイトナビーチ)など、フロリダの主要マーケットは軒並み「今後12ヶ月で最も価格下落リスクが高いエリア」に名を連ねています。
なぜ北東部と中西部が強いのか
では、好調な地域には何があるのか。
北東部と中西部に共通するのは、「相対的な割安感」と「安定した経済基盤」です。
ニューヨーク近郊のNewark(ニューアーク)やコネチカット州のHartford(ハートフォード)は、大都市圏へのアクセスが良好でありながら、住宅価格がまだ手の届く範囲にあります。
中西部のColumbus(コロンバス)、Indianapolis(インディアナポリス)、Kansas City(カンザスシティ)といった都市も、大学や医療機関を核にした安定した雇用市場を持ち、若い世代の流入が続いています。
「割安で、雇用があり、人が集まる」という不動産投資の基本条件を満たしているのです。
そしてもう一つ見逃せないのが、在庫の偏りです。
中西部と北東部では依然として売り物件が少なく、Inventory(在庫)の逼迫が価格を下支えしています。
一方、南部と西部ではパンデミック前を上回る水準にまで在庫が積み上がり、価格の下押し圧力となっています。
「どこに買うか」が利回りを決める
ここで改めて考えたいのは、「場所の選択」がかつてないほど重要になっているということです。
全米どこで買っても年5〜10%のキャピタルゲインが期待できた時代は終わりました。
今の市場では、場所を間違えれば元本割れ、正しく選べば安定したリターンが期待できるという、まさに「選球眼」が問われる時代に入ったと言えます。
全米で見ると、売り手が買い手を約60万人上回っている状態にあり、これは2025年1月の44万人からさらに拡大しています。
買い手にとっては選択肢が広がり、交渉の余地も生まれている。
けれどもそれは裏を返せば、「選ぶ力」がないと、下落するマーケットの物件を掴んでしまうリスクも高まっているということです。
不動産投資において「タイミング」を語る人は多いですが、2026年の市場が教えてくれているのは、タイミング以上に「ロケーション」が明暗を分けるという事実です。
全米平均の数字に惑わされず、各地域のファンダメンタルズをしっかりと見極めていく。
一つひとつのマーケットを丁寧に読み解いていくことが、今まで以上に大切な時代に入ったように思います。
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